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クルードラゴン宇宙船、ISSへドッキング。往路はすべて成功

秋山文野サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)
NASA TV中継より
Photo Credit: (NASA/Joel Kowsky)
Photo Credit: (NASA/Joel Kowsky)

日本時間2020年5月31日午後11時16分、スペースXの「Crew Dragon Endeavour(クルードラゴン・エンデバー号)」は国際宇宙ステーション(ISS)へと船体を接触させ、ソフトキャプチャー(ドッキング)した。11時27分には12箇所のフックでしっかりと船体を固定するハードキャプチャーを完了。日本時間6月1日の午前2時2分ににISS側のコマンダーのクリス・キャシディ宇宙飛行士がハッチを開けてボブ・ベンケン宇宙飛行士、ダグ・ハーリー宇宙飛行士を出迎え、両宇宙飛行士はISSへと入室した。クルードラゴンの初有人飛行DEMO-2は、往路の飛行すべてに成功した。

5月31日早朝4時22分に米フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられたクルードラゴン宇宙船は、12分後にファルコン9ロケットと切り離され、ISSへの飛行を開始した。

宇宙飛行士との交信イベント中のクルードラゴン船内 NASA TV中継より
宇宙飛行士との交信イベント中のクルードラゴン船内 NASA TV中継より
クルードラゴンの船内 NASA TV中継より
クルードラゴンの船内 NASA TV中継より

飛行中の31日昼ごろ、クルードラゴン宇宙船内の2人の宇宙飛行士と地上をつなぐ交信イベントが実施され、コマンダーのダグ・ハーリー宇宙飛行士がクルードラゴンDEMO-2のカプセル(宇宙飛行士が搭乗する部分)の機体名を「Endeavour(エンデバー)」と命名した。エンデバー号はベンケン、ハーリー宇宙飛行士が最初に搭乗したスペースシャトルの機体名にちなむ。クルードラゴンのカプセルは基本的に1回の飛行で使い捨てとなるが、これまで「カプセル206」と番号で呼ばれていた機体は正式な名称を持つこととなった。

ISSから撮影された地球を背景に飛行するクルードラゴン NASA TV中継より
ISSから撮影された地球を背景に飛行するクルードラゴン NASA TV中継より

クルードラゴン・エンデバー号は、数度のエンジン噴射を行いながら徐々に高度を上げ、ISSと並走するかたちで接近した。エンデバー号の自動装置によってドッキング手順は滞りなく進行し、予定時刻よりも10分ほど早く、モンゴルの上空でソフトキャプチャーを実施することとなった。3時間近くかかった気圧調整などの準備の後、2人の宇宙飛行士はノード2の入り口を通ってISSへ入室した。

ISSへ入室するボブ・ベンケン宇宙飛行士 NASA TV中継より
ISSへ入室するボブ・ベンケン宇宙飛行士 NASA TV中継より
続いて入室するダグ・ハーリー宇宙飛行士
続いて入室するダグ・ハーリー宇宙飛行士
ベンケン、ハーリー宇宙飛行士はISSクルーとともに到着セレモニーを無事に行った。NASA TV中継より
ベンケン、ハーリー宇宙飛行士はISSクルーとともに到着セレモニーを無事に行った。NASA TV中継より

日本時間の6月1日午前2時半ごろ、国際宇宙ステーション第63次長期滞在クルーでNASAのクリス・キャシディ宇宙飛行士、ロシアのアナトーリ・イヴァニシン宇宙飛行士、イヴァン・ヴァグナー宇宙飛行士ともに、ダグ・ハーリー宇宙飛行士、ボブ・ベンケン宇宙飛行士を迎える歓迎セレモニーを実施。ノード2(ハーモニーモジュール)のハッチに貼られた最後のスペースシャトル・アトランティス号のミッションでやってきた星条旗を背景に、NASAのジム・ブライデンスタイン長官らコマーシャルクルー計画の関係者と挨拶を交わした。

DEMO-2ミッションでのベンケン、ハーリー宇宙飛行士のISS滞在はまだ正式に発表されていない。今後行われる、ISSへの宇宙飛行士輸送ミッション「クルー1」の準備状況によるとされており、5月29日の打ち上げ前会見でブライデンスタイン長官はクルー1打ち上げを8月末目標としているが、詳細な日程は今後の発表を待つ必要がある。クルードラゴン宇宙船は、最大で210日間ISSに係留することができる。

サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)

1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。

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