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若い教職員の加入率上昇は「組合」への期待のあらわれか。教職員団体は、その期待に応えられるのだろうか。

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:milatas/イメージマート)

 教職員団体、つまり「組合」への加入が増えている。とはいっても、全体的な加入率の低下は続いている。増えているのは新規採用教職員の場合で、それも微増でしかない。

 文科省は3月8日、「令和2(2020)年度 教職員団体への加入状況に関する調査結果について」を公表している。昨年10月1日現在における、教職員団体への加入状況である。

 それによれば、教職員全体の加入率は前年度より0.6ポイント少ない31.4%である。加入率は1971年度に上昇したのを最後に一貫して下がりつづける傾向に、歯止めはかかっていない。一方の非加入の割合は、68.6%で0.6ポイント増となっている。

 団体別では、日本教職員組合(日教組)が0.4ポイント減の21.3%、全日本教職員組合(全教)が0.2ポイント減の3.2%、全日本教職員連盟は0.04ポイント減の1.9%となっている。

 しかし新規採用教職員だけにかぎってみれば、昨年度に比べて全体で0.5%の上昇となっているのだ。2019年度は23.8%だったが、2020年度は24.3%である。微増とはいえ、全体的な加入率低下に歯止めがかからないなかで上昇していることは、注目に値する。

 もっとも2018年度は25.7%なので、それに比べれば下がっている。とはいえ全体の加入率が一貫して減少傾向が続いているなかで、新規採用教職員の加入率は2011年の22.6%から少しではあるが上昇傾向が見えている。

 教職員が過重労働を強いられるブラック化は、すでに社会問題化しているといっていい。それに新型コロナウイルス感染症対策やGIGAスクール構想の前倒しなどもくわわり、教職員の多忙化には拍車がかかっている。そうしたなかで新規採用教職員は不満と不安を大きくし、戸惑いすら覚えている。働く環境だけでなく教育そのものについての疑問も大きくしている。

 それが、加入率上昇につながっているにちがいない。働く環境や教育そのものの改善につながる道を、教職員団体との関係に見出そうとしているということだ。

 つまり、教職員団体は期待されている。問題は、そうした期待に教職員団体が応えていけるかどうかである。若い新規採用教職員の声に耳を傾け、そこから提議されてくる問題に真摯に取り組んでいけるかどうかが、今後の教職員団体を左右するはずだ。

 耳を傾けず、真摯に取り組むこともしなければ、新規採用教職員の加入率も低下していくことになる。若い教職員に期待されている現在、教職員団体としては、いまが正念場かもしれない。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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