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自分を強くする「感情コントロール」2つのテクニック

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

自分に甘い人は、強くない人

どうすればビビらなくなるのか、どうすればもっとチャレンジ精神を持つことができるのか、どうすれば自分を律することができるのか、どうすれば決めたことをやり切ることができるのか……。

頭でよく考えれば、わきあがる感情をコントロールできるのに、ついつい「ムリです」「難しいです」と口にしたり、「今日ぐらいいいだろう」「明日からやろう」と自分を甘やかしたりすることってありませんか。

「甘やかす」ことは「優しくする」の反意語。

自分を甘やかすことは、自分を優しく扱わない、ということですからお勧めできません。発作的にわき起こる感情をコントロールし、自分に強くなるテクニックを知り、実践しましょう。

自分を強くする「トラッキング技術」

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。なかなか達成しない目標を絶対達成させるためには、組織改革が不可欠。しかし、これがなかなか難しい。コンサルティングするなかで一番こまることは、組織改革をするのに、ビビッている人が多すぎることです。「10」の事柄を「12」とか「13」にしても「改革」などできません。

外部のコンサルタントをわざわざ招聘しているわけですから、経営陣が求めているのは「抜本的な改革」です。つまり「10」の事柄を「10000」とか「30000」にするぐらいの気持ち、覚悟が必要です。

何か新しいことをはじめたり、これまで継続してきたことを思い切ってやめる勇気。その決断をするのに必要な「強さ」が欠落しているのです。今回ご紹介するのは、自分を強くするためのテクニック「プレトラッキング」「バックトラッキング」の2つです。

「トラッキング」とは「追跡」とか「検証」を意味します。「プレトラッキング」とは、事前に追跡すること。反対に「バックトラッキング」とは、事後に追跡することです。(造語)

たとえばあなたが、組織を変えるためのプロジェクトリーダーを任されそうになっているとします。正直なところ、できればやりたくない。できれば別の人にリーダーをやってもらいたいとあなたは思っています。

しかし、それが「論理」的なものではなく、単なる「感情」的な判断であるなら、あなたの人材的価値は下がります。なぜなら気分で仕事をしていると評価されるからです。

したがって、論理的な判断をくだすための事前検証をしましょう。これが「プレトラッキング」です。

もしも、そのプロジェクトリーダーを任されたら、自分はどれぐらいの時間を奪われるのか。従来の業務をどれぐらい犠牲にしなければならないのか。自分にそれほどのスキルやメンバーとの関係性はあるか……と。

想像の世界で、未来への轍を踏んでいくのです。そこに想像していたようなリスクはなく、成長した自分の姿を認めることができたら、「引き受けたほうがいい」という判断をしてしかるべきです。

それでも感情を抑えられないなら、なぜリーダーに推されているのに自分は嫌がるのか? 単なる条件反射的にイヤと思っただけか? つまり気分か? と自問自答してみましょう。感情に流されるのを防ぐためです。

そして実際に引き受けてからも、正しく検証(事後検証)することです。これが「バックトラッキング」です。

リーダーを引き受けた結果、他部署のメンバーとの関係が非常に深まった。上司から向けられる視線も変わったし、何より驚いたのは、本来の業務が以前よりもスムーズにまわるようになったこと。それにプロジェクトリーダーといっても、想像していた以上に時間もとられないし、周りのからのサポートが手厚いのでプレッシャーも少ない。引き受けてよかった――。

こんな風に「バックトラッキング」したら、「やはり、こういうプロジェクトは引き受けるべきものだ。今後も積極的にチャレンジしていこう」と思えます。

いっぽうで、

リーダーを引き受けたら、想像以上に負荷が重いことを知った。上司は「たいしたことない」と言っていたのに、残業が増えたし、休日出勤もある。メンバーは誰も手伝ってくれないし、家族からも文句を言われる。引き受けるんじゃなかった。

……と、このように「バックトラッキング」することもあるでしょう。

新しい行動しない限り、強くなれない

「プレトラッキング」の精度を上げるには、まず「バックトラッキング」の経験が必要です。そして「バックトラッキング」するためには、何事も新しいことにチャレンジすることです。

アレコレ考える前に、まずやってみる。そして、そのまま放置せず、正しくバックトラッキングするのです。自分の判断は正しかったのか、そうでもなかったのか、と。何か新しいことをやり、それを検証する経験が豊かになれば、今度は未来の轍を追跡することも容易です。

結局、恐れてばかりで行動力のない人は、想像力が乏しいのです。行動の経験が少なければ、想像ではなく、単なる「妄想」に振り回されることになります。

お酒を飲んではいけないと思っていても、飲んでしまう人のことを考えてみます。まずはプレトラッキングです。飲まずにその日を過ごしたらどんなことになるのか。後悔するでしょうか。飲まなくても楽しんだ日があったり、健康で、周囲に迷惑もかけない日があった。そうバックトラッキングした経験が何度かあれば、容易にプレトラッキングできることでしょう。

自分を強くするためには、感情に流されないこと、感情を巧みにコントロールすることです。そのために「プレトラッキング」と「バックトラッキング」する習慣を身に付けてみませんか。条件反射で判断するのではなく、「30秒」でいいから、立ち止まって考えるのです。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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