2億年も変わらず生き延びているゴキブリ 知れば納得のすごい能力
毎日暑くなってきて、ゴキブリ(以下本文ではGと記載)が活動する季節です。見かけたらとてもイヤな気持ちになりますが、Gの知識を持っていれば役立つこともあるかと思います。今回は嫌いだからこそ知っておきたいGの能力をお教えします。
Gはいつから地球にいるの?
Gは2億年前から地球に生息していたことがわかっています(※)。博物館で、Gの化石を見たことがありますが、現代に生きているGと大きさはほぼ変わらず、Gだと識別できる特徴的な形をしていました。2億年前から大きさや身体の特徴が変わっていないようです。
飛ぶのが下手
Gの化石に付いている翅(はね)は、現代のGより長い形態のようです。おそらく、昔は今より飛ぶことができたのだろうと想像できます。なぜ翅が小さくなったのかは、様々な憶測がありますが、2億年の間に生き延びるためには、地下での生活も余儀なくされたことから、Gの翅が退化したのではないかと考えられています。
足がとても速い
Gの秒速は150cmという海外での研究報告があります。これは、Gを3cmとすると、自分の身体の50倍の距離を1秒間で進んでいることになります。160cmの人間に置き換えると、1秒間に80m進むことになるのですごい速さです。Gは地面から飛んで逃げることができないので、自身の身を守るために脚の筋肉が発達してより速く進むことができるようになったようです。
泳ぐことができる
ある程度の時間であれば泳ぐことができます。Gのカラダはワックスのようなもので覆われていて、水をはじくので、水の中に落ちても沈みません。また、Gの呼吸はカラダの脇にある気門(胸に1対、お腹に4対)という穴で行っていますが、気門には水が入らないようにできているので、体内に酸素がある間は水の中にいることができます。
実際に泳いでいる姿を見ると、後ろ足でバランスを取り、前脚を犬かきのように動かして泳いでいます。でも、泳ぎたいというよりは必要に迫られて泳いでいるような感じでした。
狭い隙間に入れる
Gのカラダは厚みがありません。家の中に出てくるクロGの成虫で実験したことがありますが、2mmの隙間があればカラダをねじ込んで通ることができました。幼虫ならもっと狭い隙間を通ることができると思います。Gは外から家の中へ入るときは、網戸やドアなどのほんのちょっとの狭い隙間から入ってきているのでしょう。
ガラスのようなツルツルした面も歩ける
家の中に出てくるGの脚の先端には吸盤の役目をした褥盤(じょくばん)というものが付いています。この褥盤を使ってツルツルしたガラス面も登ることができるのです。また爪もあるので、爪が引っかかる場所では天井なども歩くこともできます。
卵は生まれるまで守られている
化石に残っているGの中には産卵管を持ったものがいます。産卵管は卵を地中に産み付けるための管で、コオロギやスズムシなども持っています。しかし、現代のGには産卵管はありません。家の中に出てくるクロGの卵は「卵鞘(らんしょう)」と呼ばれ、大きさ1cm×0.5cmで黒褐色、その硬い殻の中に卵が包まれ、乾燥などから守られています。なぜ産卵管がなくなったかはわかっていませんが、産卵管より卵鞘の方が繁殖するのに都合がよかったのではないかと考えられます。
森の中の掃除屋さん
世界には4,600種以上のGがいると言われていて、日本では現在63種類が確認されていますが、家の中に入ってきて害虫と呼ばれている種類は4~5種類程度と僅かです。その他の多くのGは森林や砂漠など野外に住んでいます。Gの生息地は、熱帯~温帯地方が主になるので、そのあたりの森林では、森のお掃除屋さん=分解者として重要な役目を果たしています。もし、森の中にGなどの分解者がいなくなれば森林の生態系は崩壊してしまうでしょう。
レスキュー用ロボットに
アメリカのコロラド大学では、Gの体の構造をロボットに活かす研究もされています。Gは自身の体重の900倍の衝撃を与えられてもダメージを受けないことや、丈夫な外骨格でありながら柔軟性のある筋肉で繋がっているので、狭い隙間にカラダをねじ込んで通ることができます。このことから、災害時にビルなどが倒壊した時、このGロボットを小さな隙間から入れて救助活動をさせるというもので、今後の活躍が期待されています。
コロラド大学以外にも日本を含め世界中の大学や研究機関でGの特性を活かしたロボットの開発が進められているようです(※)。
最後に…
Gの能力をいろいろご紹介しました。このようなすごい能力を持っているから2億年も前から生き延びてきたのだと納得です。森林の中にいるGは生態系にとって役立っていますので放っておいてあげていいでしょう。ただ、家の中に入ってくるGは人を襲うことはないのですが、病原菌を運んできたり、人によってはアレルギーの原因になったり、何より見た目が不快ということもありますので、駆除することをお勧めします。
※駆除方法はこちらの記事をご参照ください