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ゴロフキンのトレーナー、アベル・サンチェスが語るアッサン・エンダム対村田諒太リマッチのポイント

杉浦大介スポーツライター
(写真:Action Images/アフロ)

アベル・サンチェス

 1955年、メキシコのティファナ生まれ カリフォルニア州のビッグ・ベア・レイクに“ザ・サミット”と呼ばれるジムを構え、選手育成にあたる。これまでテリー・ノリス(アメリカ)、ミゲル・アンヘル・ゴンザレス(メキシコ)といった多くのトップボクサーを指導。現在はミドル級の帝王ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)のトレーナーとして有名になった。

村田に必要なのは経験

ーー2014年にゴロフキンと村田諒太がスパーリングをしたときのことを覚えていますか?

AS:覚えていますよ。リョウタはまだ若く、経験不足は感じましたが、スキルは確実に備えていました。五輪金メダリストがみんなそうであるように、才能は素晴らしかったですね。ゲンナディとスパーリングをしたときはまだプロで6、7戦しかしていなかったと思いますが、今ではより経験を積み、前回のタイトル戦でも良い試合をしました。どうして負けになったのかは理解できませんが、今週末に再戦が用意されているのは知っています。1度タイトルを獲れば、長く守る選手になるでしょう。近い将来にミドル級の脅威の1人になってくる可能性はあると思います。

ーー村田に関して最も印象に残る部分は? 

AS:意志の強さ、粘り強さです。「前に、前に」というブルドッグのようなメンタリティを持っている。このスポーツにおいてそんな心構えは重要です。ファンが再び見たいと思うのはそういったファイター。リョウタは観客を喜ばせられる選手です。

ーー今後、ゴロフキン、サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)、ダニー・ジェイコブス(アメリカ)といったミドル級のエリートレベルまで上がっていくために、村田には何が必要だと思いますか?

AS:今の彼にはまだプロのトップレベルで戦った経験が不足しています。ジムではハイレベルのトレーニングを積んでいると思いますが、実戦経験は何にも代え難いもの。ファイトする必要があるのです。エンダムとの再戦は貴重な経験になると思いますし、今後もベテランと戦っていくと良いでしょう。ジムでの練習相手にも経験豊富な選手を登用すべきです。

ーー特に層の厚ミドル級において、13戦目で世界タイトル挑戦というのはユニークだったと言えるかもしれませんね。

AS:その通りです。リョウタがプロで戦ってきた期間はごく短いものです。ゴロフキンはアマで350戦、プロでも2006年から長いキャリアを築いてきました。才能がある選手でも、次の段階に到達するためには時間が必要なもの。先ほども言いましたが、リョウタは経験を重ねればトップレベルに到達できる選手だと私は感じています。

リマッチではすべてのラウンドを奪う気持ちで

ーー村田とエンダムの第1戦は見ましたか?

AS:大部分は見ました。すべてではないですが、目は通しました。私の周囲の人間はみんなリョウタが勝っていたと話しています。 

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ーー第1戦の内容、展開を踏まえ、10月22日に行われるリマッチはどんなファイトになると思いますか? 

AS:初戦の経験から、リョウタはもう自分にやるべきことを理解しているでしょう。第1戦でやったことを、より明白な形でやろうとするはずです。 エンダムは経験豊富なタフガイなので、再び判定勝負と思います。そして、リョウタの方がより優れたファイターだという私の考えに変わりはありません。

ーー再戦の鍵になる要素を挙げるとすれば? 

AS:リョウタは全ラウンドを奪いにいく必要があります。ジャッジの手に勝負を委ねてはいけない。第1戦でやったことと基本的に同じことを、より研ぎ澄まされた形でこなし、見ているものにアピールする。初戦も誰もが彼が勝ったと思っているのだから、彼に実力があることはみんなわかってます。あとはクエスチョンマークを残さないように努力することが重要になります。

ーー今の時点では現実的ではありませんが、村田がタイトルを奪った場合、ゴロフキン対村田の実現がいずれ視界に入ってくると考えますか? 

AS:それは間違いないですよ。リョウタが今回の試合でタイトルを奪い、何度か防衛することが条件になります。それさえ果たせば、現実的な話になり得ます。ゲンナディはまだ35歳なのだから、38歳くらいまでに対戦は可能でしょう。日本で開催すれば凄いイベントになるんじゃないですか? 

ーーそうですね。報酬など、条件面を考えたらまとめるのは容易ではないでしょうけど・・・・・・。条件次第でゴロフキンは日本での試合にも同意すると思いますか?

AS:もちろんです。ゲンナディが世界中のどこでも戦うことはこれまでの彼のキャリアで証明されているはずです。彼は1つの場所にこだわるタイプではありません。ウクライナでも、パナマでも、モナコでも、イギリスでも、どこでも問題なく戦ってきました。もちろん条件次第ですが、日本にも喜んで行きますよ。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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