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澤村拓一が記録した優秀なスタッツ。前の投手が残した走者に生還された割合は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
澤村拓一(ボストン・レッドソックス)Oct 3, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、澤村拓一(ボストン・レッドソックス)は、55試合に登板して53.0イニングを投げ、奪三振率10.36と与四球率5.43、防御率3.06を記録した。

 ア・リーグで救援50イニング以上の64投手中、澤村の防御率は21位に位置する。奪三振率は29位、与四球率は59位(ワースト6位)だ。いずれも、トップ20には入っていない。

 ただ、イニングの途中から登板した時に、前の投手が塁上に残していった35人の走者のうち、生還されたのは6人。17.1%だ。この割合は、ア・リーグで登板時に背負っていた走者が20人以上の70投手中、6番目に低い。走者30人以上の23投手に限ると、リーアム・ヘンドリクス(シカゴ・ホワイトソックス)の10.0%(30人中3人)とワンディ・ペラルタ(ニューヨーク・ヤンキース)の13.3%(30人中4人)に次ぐ。

 ア・リーグ全体の割合は34.1%、レッドソックスのブルペンはリーグ5位の30.7%だった。もっとも、ア・リーグ東地区では、5チーム中4位だ。ちなみに、澤村がイニングの途中で降板した時に、残していった走者は18人。後続の投手は、そのうちの6人に生還されているので、割合は33.3%だ。

 レギュラーシーズンの162試合目に、レッドソックスは、ワシントン・ナショナルズに先制され、3回裏に押し出しの四球で2点目を献上した。なおも、1死満塁。さらに点差を広げられても、おかしくなかった。だが、そこでクリス・セールからマウンドを引き継いだ澤村は、最初に対戦した打者にゴロを打たせた。6-4-3の併殺により、イニングは終わった。

 この試合に勝ったレッドソックスは、同じくシーズン92勝のヤンキースとともにワイルドカードを手にした。もし、敗れていれば、91勝のトロント・ブルージェイズと並び、ポストシーズン進出をかけて163試合目を行う必要があった。

 澤村は、被本塁打こそ9本と少なくない――9イニング平均1.53本は救援50イニング以上の64投手中ワースト5位――ものの、被打球はゴロが多めだった。ファングラフスによると、ゴロ率は51.8%。この割合は、64投手の上から13番目に位置する。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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