気温が上がったあとの霜には要注意
霜注意報の発表基準
霜注意報は、霜によって災害が発生するおそれがある場合に発表されます。
霜が下りても災害が発生しなければ霜注意報は発表されません。
南西諸島など、霜がめったに下りない南の地方では、気温が低くなって霜が下りる場合には霜注意報が発表になりますが、多くの地方では、真冬は霜が下りても霜注意報は発表されません。
冬は、植物が冬ごもりをしているために、霜が下りても被害が発生しないからです。
多くの地方では、霜注意報が発表となるのは、冬を挟んで秋の早霜期と、春の晩霜期ですが、東京地方や近畿地方など、霜が下りる前に収穫が終わる地方では、秋の早霜に対する霜注意報は発表しません(図1)。
霜注意報の発表期間は、地方気象台等と地方自治体等で打ち合わせを行って決めており、例えば、気象庁ホームページによると、次のようになっています。
東京地方の霜注意報の発表基準:
(千代田区)4月10日~5月15日 最低気温2度以下
(八王子市)4月10日~5月15日 最低気温2度以下
東京都伊豆諸島北部の霜注意報の発表基準:
(大島町)早霜・晩霜期 最低気温3度以下
このため、平成30年(2018年)12月16日(日)の東京都心は霜が下りることが分かっていても霜注意報は発表せず(実際の最低気温0.4度)、伊豆大島では霜が下りるとして霜注意報を発表する(実際の最低気温が2.8度)ということがおきます。
繰り返しますが、霜注意報は、霜が下りるかどうかが対象ではなく、霜によって災害が起きるかどうかが対象です。
3月25日の放射冷却
日本の上空を寒気が通過し、寒の戻りとなっていますが、3月25日の朝は、大きな移動性高気圧におおわれて晴れる見込みです(図2)。
このため、広い範囲で放射冷却によって冷やされ、寒い朝となる見込みです。
3月25日の予想最低気温は、九州南部から南西諸島を除くと、5度以下です(図3)。
気温は、地表から約1.5メートルで観測した温度ですので、この気温が3~4度になると、地表は氷点下になり、霜が下ります。
このため、各地の地方気象台等では、霜注意報を発表して注意を呼び掛けています(図4)。
令和2年(2020年)は早めに霜注意報発表
令和2年(2020年)は、西日本を中心とした全国的な暖冬と、それに続く、暖かい日が多い3月によって、植物の生育が進んでいます。
東京では、14日にさくらが開花し、これまでの最早記録を更新しました(3月22日に満開)。
例年であれば、4月に入ってから晩霜に注意が必要となることから、霜注意報を発表するのは4月以降としている地方気象台等が少なくないのですが、その地方気象台等でも、令和2年(2020年)は3月中に霜注意報を発表しています。
気温が上がり、植物が生育したあとの霜には要注意です。
図1の出典:気象庁資料をもとに著者作成。
図2、図4の出典:気象庁ホームページ。
図3出典:ウェザーマップ提供。