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金利上昇より痛手!火災保険料10%引上げで住宅購入にも影響あり?ライフプランに影響も

高橋成壽お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA
保険料上昇で家計が苦しくなるイメージです。(提供:イメージマート)

住宅にかける火災保険の保険料が10%程度引上げになると報道されました。自然災害の激甚化などにより、火災保険事業が赤字になっていることが原因のようです。数年来引上げが続いた火災保険料は今後どうなるのでしょう。既に家を持っている人、これから家を買う人にどのような影響があるか考えます。

■金融庁の保険モニタリングレポートには何が書かれている?

2023年に公開された保険モニタリングレポート(金融庁2023年6月)によると、火災保険は収入保険料の20%程度を占めていること、過去10年間恒常的に赤字になっていることが記されています。

金融庁の資料から抜粋
金融庁の資料から抜粋

(1)赤字の原因

①過去に契約した長期契約が構造的に赤字であること

②自然災害の増加

とあります。

火災保険を持続可能なビジネスとするには、保険料改定(引上げ)が必須であり、火災保険料への対応で、損害保険会社の二極化が進んでいる可能性があると指摘されています。これは、消極的対応の損害保険会社と積極的対応の損害保険会社で、損害保険会社としての存続可能性が変化してくることを示唆したものだと言えそうです。

(2)2022年の自然災害リスクへの保険金支払い

台風14号の支払件数 157,958件 支払保険金1,045億円

台風15号の支払件数 27,095件 支払保険金534億円

となり、再保険(保険会社が使う保険)を使うまでには至らないものの、大規模災害の支払いのための拠出を取り崩すことになったとあります。(追加積立を実施し異常危険準備金の残高は大きく減少しないよう取組んだ)

住宅ローン金利上昇より話題になりづらい火災保険料引上げ

住宅ローン金利を巡る記事はニュースとして興味を引きやすいのか、常に話題に上ります。しかし、これまでは長期間金利を引上げることができませんでした。

一方の火災保険料は、毎年のように引上げになり、保険料負担が逓増しているにもかかわらず、大したニュースにならずにいます。

家計に対するインパクトは、いつ上がるかわからない住宅ローン金利よりも、実際に上がり続けている火災保険の方が大きくなります。

以前は、一戸建ての火災保険料は35年一括払いで100万円位でしたので、年3万円程度でした。現在は一戸建ての価格にもよりますが、5年契約で20~30万円とすると、年4~6万円と、倍近く上がっていることになります。

本記事では地震保険については深く取り上げませんが、火災保険料よりも保険金額の最大50%までしか補償されない地震保険料の方が高いなど、自然災害リスクが目に見える形で表れています。

火災保険の収支が長期赤字であることは、今後いくらでも保険料を引上げる可能性があることの予兆となります。

既に家を持っている人への影響

既に家を所有している人は、今後住宅ローン金利引上げ以外にも、家計負担を増やす要素があることを認識しましょう。今回のテーマである火災保険の他、地震保険も値上がりが続いています。

物価上昇に伴い実質賃金や実質年金受給額が目減りする中で、見直しづらい固定費である火災保険料が引上がるとすると、長期的なライフプランにも影響が出てくるでしょう。

これから家を買おうとする人への影響

多くの人は、ある程度住みたい地域を決めて家を買っていると思いますので、火災保険の安い地域を選択するのも1つのアイデアです。今後、水害のリスクに応じて保険料が上下されますので、ハザードマップなどを確認し自然災害の起こりやすさを確認してから不動産を購入した方が良さそうです。そのうち、不動産価格が自然災害リスクに合わせて変化することになるかもしれません。

広い家を考えている人は少し面積を小さくしてみたり、建物価格に影響する建築資材を変更してみたりと、工夫の余地はあるでしょう。

賃貸の人にも影響が出る可能性

賃貸住宅では火災保険料など無関係と考えるかもしれません。しかし、住宅は誰かが所有しています。公的な住宅であっても同じです。建物の保有のため火災保険に加入することは免れませんから、家賃が火災保険料を反映することになるでしょう。

もし公営住宅で火災保険料の引上げを考慮せずに据え置かれたとしたら、公費で火災保険料を負担していることに他なりませんので、随時家賃を改定する必要があるでしょう。

大家さん、住宅の所有者にとっては、火災保険料の引上げは賃貸利益の圧迫につながりますので、契約更新のタイミングで家賃引上げの通知が来る可能性があります。

つまり、家を持つ持たないにかかわらず、家計の最も大きな負担の1つである住居費が上昇することにつながります。

お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA

日本人が苦手なお金を裏も表も解説します。お金の情報は「誰がどんな立場から発信したのか見極める」ことが大切。寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター代表。無料のFP相談・IFA相談マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「アセマネさん」を運営。1978年生神奈川県藤沢市出身。慶応大学総合政策学部卒業後、金融関係のキャリアを経て有料FP相談を開始。東海大学では非常勤講師として実務家教員の立場から金融リテラシー向上の授業を担当。連載:会社四季報オンライン。著書:ダンナの遺産を子どもに相続させないで。メディア出演、メディア掲載多数。

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