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竜王挑戦権を獲得するのは永瀬拓矢王座か? 藤井聡太二冠か?8月12日、挑決三番勝負第1局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月12日。東京・将棋会館において第34期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局、永瀬拓矢王座(28歳)-藤井聡太二冠(19歳)戦がおこなわれます。

 これまで豊島将之竜王(31歳)のあとに生まれた棋士が竜王戦七番勝負に登場したことはありません。永瀬王座、藤井二冠のどちらが三番勝負を制しても、初の竜王挑戦となります。

 永瀬王座は今期、最高クラスの1組で堂々の優勝を果たしました。

 本戦ではベスト4の位置から登場。梶浦宏孝七段(4組優勝)の快進撃を止める勝利で、挑決に進みました。

 永瀬王座が挑決に進出するのは2015年以来2度目となります。

 藤井二冠は今期、2組で優勝しました。

 藤井二冠は竜王ランキング戦において、デビュー以来無敗の24連勝中という信じられないような記録を継続中です。ランキング戦では5期連続優勝。本戦進出も5期連続となります。

 藤井二冠は今期本戦では、山崎隆之八段(1組3位)、八代弥七段(2組2位)を降して、ついに挑決まで進出しました。

 永瀬王座と藤井二冠の過去の対戦成績は永瀬1勝、藤井4勝です。

 昨年2020年の棋聖戦、王位戦、そして今年2021年の竜王戦と、3度目の挑決での対戦となりました。

 豊島竜王との対戦成績(8月7日時点)は、永瀬王座は8勝7敗2持将棋で勝ち越しています。

 一方、藤井二冠は4勝8敗で負け越しています。現在は王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負で現在、豊島竜王・叡王と対戦中。対局数はどんどん増え、星取りもまた大きく変化していくかもしれません。

 もし竜王戦でも藤井二冠が挑戦すれば、3つのタイトル戦の番勝負だけで7+5+7=最大19局指す可能性があります。

 これまで同一カードによる年間最多対局数は23局(2000年度・羽生善治-谷川浩司、2005年度・羽生善治-佐藤康光)。場合によっては、その数字に近づく可能性もあるのかもしれません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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