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「鳥山明氏の追悼でニューヨーク・タイムズの紙面がドラゴンボールの道着に」は誤り。デザイナーの作品

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
問題の投稿。現在は500万回以上閲覧されている。Xより筆者キャプチャ

 「鳥山明先生の追悼のためにニューヨーク・タイムズが紙面をドラゴンボールの亀仙流道着にした」という投稿が画像とともにXで拡散していますが、誤りです。画像はグラフィックデザイナーによる作品です。

追悼で紙面が亀仙流の道着に? 作品画像を見て勘違いか

 問題の投稿はミュージシャンの高野寛氏が3月9日にポストしたもので、新聞の紙面いっぱいに亀仙流の道着が描かれている画像とあわせて「New York Times の追悼紙面、デザインが素晴らしい」と紹介されていました。

 しかし、これは誤りです。

 画像はニューヨーク・タイムズの一面に、その日の日の出を描くNYTシリーズというペイント作品を手掛けているグラフィックデザイナーのショー・シブヤ氏が作成したものです。

 作品はインスタグラムで公開されており、これを第三者が転載したものを見た高野氏がニューヨーク・タイムズの追悼紙面だと勘違いしたものと思われます。

 なお、ニューヨーク・タイムズは公式サイト上でその日の一面をPDFで閲覧できるようにしており、最新の3月8日の紙面はバイデン大統領が掲載されているものでした。

ニューヨーク・タイムズの最新の紙面。公式サイトより筆者キャプチャ
ニューヨーク・タイムズの最新の紙面。公式サイトより筆者キャプチャ

訂正&謝罪するも問題の投稿は削除せず

 このデマを閲覧した多くのユーザーからの指摘を受け、高野氏は同日に訂正と謝罪(現在は削除済み)をリプライのかたちで問題のポストに連ねていますが、肝心の問題になっている投稿の削除がされていないためデマが拡散し続けている状況です。

 拡散している投稿とそのリプライでは閲覧数が圧倒的に異なるため、コミュニティノートやリプライで指摘がついていても高野氏と同じように転載された画像とその情報だけを見て勘違いする人が一定数生まれてしまうことが予想されます。

 勘違いにより間違った情報を発信してしまうことは誰にでもあることですので、もしもこうした状況に陥ったときは問題の投稿を削除したうえで、訂正や謝罪を行う対応をおすすめします。

3月9日14時04分追記

 高野氏が問題の投稿を削除していることを確認しました。あわせて関連する投稿すべてが削除されているようです。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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