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【年度内五冠ロード】藤井聡太三冠(19)王将リーグ1回戦で強敵・糸谷哲郎八段(32)と対局開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月27日。大阪・関西将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ1回戦▲糸谷哲郎八段(32歳)-△藤井聡太三冠(19歳)戦が始まりました。

 対局がおこなわれるのは関西将棋会館5階・御上段(おんじょうだん)の間。両対局者ともに9時41分頃に姿を見せ、席に着きました。上座の藤井三冠の後ろ、床の間には4人の永世名人の書が掛けられています。

 1981年、大阪市福島区に建設された関西将棋会館。2023年度内には高槻市への移転が予定されています。

 本局隣りの御下段(おんげだん)の間には▲菅井竜也八段-△豊島将之竜王戦が配されています。

 前期の棋王挑戦者である糸谷八段は、今期も初戦に勝ち、ベスト8にまで進みました。一方、藤井三冠は3回戦で斎藤慎太郎八段に敗れ、今期、棋王挑戦の可能性はなくなりました。

 しかし藤井三冠は、10月に開幕する竜王戦七番勝負で、豊島竜王への挑戦を決めています。そのシリーズを制すれば史上最年少で四冠。そして王将挑戦、獲得となれば、年度内に五冠まで達する可能性があります。

記録係「それでは時間になりましたので、糸谷先生の先手番でお願いします」

 午前10時。記録係の合図で両対局者は「お願いします」と一礼。持ち時間各4時間の対局が始まりました。

 糸谷八段はさほど間をおかず、初手に2筋、飛車先の歩を突きます。

 藤井三冠はまず紙コップを口にして、ハンカチで手を拭いたあと、8筋、飛車の前の歩を一つ前に進めました。

 5手目。糸谷八段は7筋の歩を突いて、角筋を開きます。そのあとで両者はスーツの上着を脱ぎました。

 戦型は角換わり(かくがわり)に進んでいます。

 糸谷八段は攻めの銀を手早く繰り出す「早繰り銀」(はやくりぎん)に出ました。対して藤井三冠はバランスのよい「腰掛銀」(こしかけぎん)に構えています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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