セリエAの罰金をファンが身代わり申し出、ローマ選手は感謝も辞退 クラファンのお金はどこへ?
ローマの街を二分するダービーマッチは、世界でも有数のアツい試合だ。それだけに、勝者の高揚感も計り知れない。その中での行為が物議を醸した。
4月6日に行われたダービーは、1-0でホームのローマが勝利した。近年、ラツィオに苦汁を飲まされていたなか、クラブのレジェンドであるダニエレ・デ・ロッシの監督就任後初ダービーで白星。喜びは格別だった。決勝点をあげたジャンルカ・マンチーニはなおさらだろう。
そのマンチーニが試合後、クルヴァ(ゴール裏スタンド)のサポーターから受け取った旗を振り回して喜んだことが問題となった。ラツィオカラーに大きなネズミの絵が描かれた、「アンチラツィオ」の旗だったからだ。
侮辱にあたるとして、マンチーニの行為は議論を呼んだ。
選手は「敬意を欠いたわけではなく、サポーターと喜びたかっただけ」と強調。「不快にさせるつもりはなかった」と謝罪した。
だが、ラツィオの一部ファンや関係者は怒りを表した。例えばOBのフェリペ・カイセドは「マンチーニ、恥ずかしいやつだ」と投稿している。
出場停止処分が科される可能性も報じられたが、最終的にマンチーニには5000ユーロ(約82万5000円)の罰金が命じられた。
ラツィオのクラウディオ・ロティート会長は「ラツィオの選手なら決してやらないだろう」と批判。「適切な処分だと思うか? スポーツの価値を尊重しているか?」と怒りを表している。
しかし、処分に納得していないのは、一部のローマファンも同じだ。あるサポーターの弁護士は、「低俗なからかい」もローマダービーの一環と主張。「マンチーニの罰金を我々が払おう!」と、クラウドファンディングでファンに寄付を呼びかけたのである。
これに一部のローマファンは賛同。すぐに5000ユーロの目標額に到達し、最終的には1万ユーロ(約165万円)を突破した。
ただ、実際にサポーターのお金が罰金支払いにあてられることはないようだ。状況を知った選手本人が、SNSでファンに感謝しつつ、集めたお金を寄付に回すように求めている。
マンチーニは「あらためて、ピッチ内外を問わず、みんながそばにいてくれるのだと感じさせてくれたよ」と投稿した。
「当然、支払いは自分がする。でも、多くの人が参加して集めてくれたお金の一部を『Locanda dei Girasoli』(ダウン症の人たちの職業紹介団体)に寄付してほしい」
呼びかけた弁護士によれば、集まったお金の一部は、『Locanda dei Girasoli』のほか、さらに別の団体にも寄付する予定という。
ローマは4月11日、ヨーロッパリーグ準々決勝ファーストレグでミランと対戦する。デ・ロッシ監督は前日会見で騒動の影響はないと断言。終わった話として、選手は「心身ともに好調」と話した。
「そうでないはずがない。あのようにダービーを決めたら、ローマのような街では守護者となるんだ」
行動の是非やラツィオ陣営の怒りはともかく、マンチーニはサポーターの後押しを受けてミランとのビッグマッチに臨む。
※1ユーロ=165円で換算