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トップリーグ集団感染続出。開幕節2試合中止に対策は。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:アフロスポーツ)

 国内最高峰のラグビートップリーグ。今週末にあたる1月16日から行われる開幕節全8戦のうち、2戦が中止となった。12日、日本ラグビー協会が公式発表した。

 この日までにトヨタ自動車で13名、サントリーで7名、キヤノンで24名の新型コロナウイルス感染症陽性者が確認され、各チームで試合開催に必要な体制が整わないことから、協議の末にサントリー対トヨタ自動車、リコー対キヤノンの2試合の中止が決まった。

 開催中止となった試合は代替試合を設けず、「ジャパンラグビー トップリーグ規約」第39条および第57条に基づき、両チームに勝ち点2ずつを加算する。

 同日、トップリーグの太田治チェアマンがオンラインで会見。ガイドラインの見直しや濃厚接触者の認定などについて聞かれた。会見中には「クリスマス、年末で…」と選手の私的な時間を管理する難しさについても言及した。

 以下、オンライン会見時の一問一答(編集箇所あり)。

「本日午前中リリースしました通り、トップリーグの複数チームから多数の感染者が出たこともあり、協議の上、2試合を中止にした。楽しみにしていただいたファンには申し訳なく思っています。お詫び申し上げます。

 世界的にコロナが拡大している中、政府の出す方針のもと安心安全を担保しつつ準備をしていたのですが、ガイドラインを準備して、チームと一緒になって準備をしてまいりましたが、コロナの怖さ、脅威を感じています。

 一方で感染した選手については重症化している選手はいませんが、1日も早い回復を祈っている。今後しっかりと、予防施策をしたうえで、何とか、こういう状況をチームと共有し、ガイドラインの見直し予防策、行動管理の徹底をおこない、安心、安全な運営を目指して大会開催に尽力したい」

――感染状況をどう捉えるか。

「全部はわかっていませんが、リーグに来ている情報としては、リーグが隔週でしているスクリーニング検査でこういう結果が出ている、という状況と、あとは各自、各チームが体調管理をおこなううえで熱、体調不良者が出た場合に、しっかりと検査をして陰性、陽性の判断を受けるというような状況です。現時点で我々が掴んでいるのは、チームが発表した数字(だけ)です。今週木曜までにスクリーニングの状況、結果を連絡いただくことになっています。それを受けて発表の仕方を考えていきたいです」

――いま言われた木曜締め切りの検査の報告状況は。そのほか、全員の陰性を確認されたチームは何件あるか。

「具体的には差し控えますが、集計中です。一部、陰性報告のチームもあるし、検査結果の報告も来ていないチームもある。全部出揃った段階で何かしらの形で発表できれば」

――発表できない理由は。

「いちいち出すよりは、まとめて出すほうがよろしいと思います」

――キヤノン、サントリー、トヨタ自動車がどの時点で復帰出来るのかなどの判断は。

「全部はちょっとわかっていないですが、キヤノンさん、サントリーさんについては『いついつまでまで自宅待機』という日程感を保健所から連絡いただいています。ただその後どういったチーム活動をするかは、協議をしているということです」

――東芝の感染ケースでは、濃厚接触5人。開幕戦を辞退する申し出はないのか。

「はい、ございません」

――その場合は、実施の方向で。

「いまのところはそういう状況になりますね」

――東芝はチーム活動を停止中。さほど練習せずに開幕戦に挑む可能性が高い。練習不足を理由に開幕戦をおこなわない可能性はないのか。

「情報共有をしながらどう判断するか、その辺も協議をしている」

――チーム内での感染防止策を徹底しても、活動時間外の選手の行動を管理するのは難しい。例えば、大学のチームがしたように居住エリアから一歩も出ないといった策は現実的ではない。

「行動管理をどこまでやるかに尽きます。練習環境、住居の堂々管理をどうするのか。住居から外に行く時をどう(チェック)するのか。チームの方と共有しながら実施しています。外部との接触を制限するとか、一般的に政府が言っている会食を自粛するとか、そういったようなことを管理するというところ…。

最終的には(誰が)濃厚接触者(かの)の判断は保健所の判断になります。保健所の皆さんと連携しながら行動管理をしていく…。それがいま考えているところです」

――ガイドラインを見直すとしたら、どこを。

「スポーツ庁の指示に従い、この状況を相談しながら改正版を2版、出している。政府に知見が固まっているので、3版目にはその辺を加味した内容を。行動様式、コンディショニングなどを盛り込み、文言修正を検討していくことになるかと思います。

 政府の指針に基づいた、密をなくすには15分以上接触しない、マスク、手指消毒を徹底するとか、食事では(周辺に)カバー、バリアをつける、距離を空ける(などがある)。そうしたことを実施していても感染するということですので、非常に怖い状況かなと思います。

 ラグビー競技自体で濃厚接触者と認定されるケースは非常に稀です。日常生活における接触、行動がポイントになると思います」

――ラグビーにおける濃厚接触者の例は。

「少ないですね。トップリーグではないと聞いています。グラウンド以外のところです。ミーティング、食事をしているといったようなところでの接触、時間…といったところですね」

――ラグビーの練習を一緒にしていた選手が濃厚接触者に認定されたケースもあるようだが。これはリーグとして把握していないのか、それとも保健所とのやり取りの末に「ラグビーの練習による濃厚接触者はいない」としているのか。

「基本的には濃厚接触者の認定は、行動のところで、ラグビー活動そのもので認定されたのは少ないと聞いております」

――ラグビー活動での濃厚接触はないのか、稀だがあるのか。

「いまのところ私が聞いている範囲では、ない。他のリーグ、学生? …では、そういう認定がされたと聞いたことはあります」

――ミーティングでは濃厚接触があったと。

「ミーティングで一緒だったから、とは限定されていません」

――Jリーグのクラブでも、マスクをしないままミーティングに出て濃厚接触者になった例がある。

「ミーティングでは、マスクは全員がしている。稀な例では、移動のバスで1席飛ばしで乗っていたのに、(濃厚接触者と)認定されたケースがありました(追って広報担当者が『このバスの話は今回の3チームとは無関係。過去の事例として聞いてください』と説明)」

――防ぐのは難しい?

「難しいですが行動指針を守ることで感染拡大を防ぐ。一番のポイントに置くのは濃厚接触者の認定のこと。チームの人数が多いものですから、全員が濃厚接触者に認定されるとゲームができなくなる。しっかりと小グループ、政府から出た行動指針を守りながらラグビー活動をしていく…といったことに尽きると思います」

――リーグとしての検査は隔週で実施している。増やす意向はないのか。

「いまのところ隔週で考えています」

――いま感染者が出ているチームは、来週までに何人の選手が試合に出られるかを知るため検査を受けなくてはいけないはず。これは、各チームに任せる、ということか。

「リーグとしては隔週(に実施)。濃厚接触者や感染者が出た場合は保健所の指示により検査となる。出た段階で体調管理、コンディショニングをしっかりしてもらうというのが大方針です」

――海外のラグビーファンは海外の選手が陽性かどうか、興味がある。サントリーのボーデン・バレット選手、トヨタ自動車のキアラン・リード選手、マイケル・フーパー選手、ウィリー・ルルー選手は大丈夫なのか。

「個人名の公表は基本的にはしないことになっています。その辺はできかねます」

――ガイドラインの見直しについて。

「移動時の予防策は追加しなきゃいけない。それ以外にも先ほど言ったように、スポーツ庁のアドバイスをいただきながら協議したい」

――今回開幕前に感染拡大。ラグビーの集団感染の背景は。

「僕も専門家じゃないのでわからないですが、ラグビー以外の行動のところだと思います。限定しちゃうとまずいので控えさせていただきますが、イベントだったりとか、クリスマス、年末年始といったところで、わからないですけど、気が緩んだかもしれません。…こういったことがあると思います」

――購入済みチケットは使用できるとのことだが、変更は。

「変更はありません。ただ払い戻しへの体制は整えています」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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