「最後のチャンス」、クリスマスの演説で挽回(?)したスペイン国王フェリペ6世
スペイン国王フェリペ6世の10月3日の演説は、カタルーニャ人に大きな失望を与えた。
前回の記事:カタルーニャの選挙に向けて (2) スペイン国王の演説に対する疑問。王室とEU(欧州連合)と。
しかし国王は、クリスマス恒例の演説で多少の挽回をしたようだ。
欧州の国王がクリスマスにテレビ演説を行うのは、日本では英国のエリザベス2世の例で知られているかもしれないが、スペインでも同様に行っている。
プチデモン氏「最後のチャンス」
クリスマスイブを前にして、プチデモン氏はロイターのインタビューに答えた。
氏は「(カタルーニャ自治権を停止した根拠となった条項)155の国王には、訂正をする最後の機会がある」と述べた。つまり、恒例の国王のクリスマス演説は「重大な間違い」を正す最後の機会だとメッセージを発したのだった。
「国王はスペイン政府の警察に参加することを決めたのだ」「彼は155の君主となることを望んだ。異なる複数の解決方法を歓迎しうる国の国王ではなくて、スペイン政府の国王であることを望んだのだ」。インタビューの間、国王が以前の発言を修正するようにうながし、「最後のチャンス」を利用するように求めた。
国王の演説はどう変わったか
クリスマスの日曜の夜9時の放送で、国王フェリペ6世は「共によく生きるのに困難な年」であり、「カタルーニャの状況によって特徴づけられた」と認めた。複数のメディアが報じた。
クリスマスの演説のせいか、大変まじめな様子ではあるものの、前回よりもずっとリラックスした柔らかい口調であった。
動画や画面はこちら:スペインの有力紙「EL PAIS」のサイト
そして、スペインが「成熟した民主主義」として導くことができるに違いないカタルーニャの問題を「克服するために、全ての社会の妥協」が必要になるだろうと述べた。
選挙後、国王は政治家達に「特に多様なカタルーニャ社会の複数性を尊重する」ことを期待していると述べた。「道筋は、安定を見出すためには、対立にはなりえない。そして、すべての人の妥協と責任感によって、対立ではない道を経なければならないだろう」とも語った。
国王は、今回は語る場所を変えて演説した。背後に映っているのは、2枚の無難な絵と、写真立ての家族写真と、赤いポインセチアであった。
しかし突然ここまで内容が変わるとは、一体何なのだろうかと、日本人としてはとまどってしまう。
「国王」「王室」と一口に言っても、色々あるのだ。前回の記事にも書いたように、世界では王室・皇室がある国は、圧倒的少数派である。日本の皇室を見ている感覚で世界の王室を見ると、大勢を見誤る可能性があると、つくづく感じた。
ともあれ、これで少しはスペインとカタルーニャの対立が収まるといいのだが。