渡部建みたいに外食慣れした働き者男性の胃袋をつかむ手料理。キーワードは「継続性」です
平均年収780万円の独身男性40人。食生活は乱れがち
平日は朝6時起床。朝食はコンビニで買って出社し、始業時間の8時半までは英語や業務に関する勉強。仕事が始まったらひたすら集中し、昼食は仲間と一緒に社食へ。午後も猛烈に働き、仕事が終わるのは早くて夜10時。それから上司と飲みに行く。もしくは合コン。週末はゴルフを楽しみたい――。
筆者は2年ほど前から、日本の企業社会で働く独身男性を取材している(楽天オーネット「婚活のミカタ」での連載はこちら)。婚活中の女性を主な読者としているため、男性の職業と年齢は絞らざるを得ない。すなわち、大企業で働く正社員もしくは公務員、医師などの難関国家資格を持って働く20代半ばから40代前半。婚活の場では第一段階で高評価を受ける男性たちである。今まで取材に協力してくれた40人の平均年収は約780万円。都会でも家族を養っていける金額だ。
ただし、彼らは忙しい。仕事にも遊びにも前のめりで取り組む人が多い。電通の事件以降、残業を減らす傾向は強まっているが、競争に負けるのが何より嫌いな彼らは自宅でのんびりはしない。勉強もしくは交際に時間とお金を自己投資したがるのだ。合コンやゴルフすらも「コミュニケーション能力を高める場」と位置づけていたりする。
一方で、食生活は乱れがちだ。朝食抜きの人は多く、週5で仕事がらみの飲み会がある弁護士やビールメーカーの営業マンもいる。医者なのに「食事はあまりとらない。おやつを食べて済ませる」と明かした男性もいた。40人のうちで、「朝はトーストを焼いて食べる」程度も含めて日常的に自炊をしている人は8人。全体の2割に過ぎない。独身一人暮らしの女性との大きな違いだ。
キーワードは継続性。料理も健康もお金も「長く続く」ことが重要
賢い彼らは気づいている。このままの生活では近い将来に体を壊してしまうリスクが高まる、と。その危機感が結婚へのモチベーションにつながることも少なくない。料理上手の女性に「胃袋をつかまれ」たくなるのだ。
と言っても、高級食材と調味料を何種類も使うような凝った料理を欲しているのではない。彼らは外食で塩分を取り過ぎているため、自宅では調味料が控えめなシンプルな料理のほうを好む。意外と節約家だったりもする。ただし、いわゆる「おふくろの味」を求めているわけでもない。母親の料理を絶対視するようなマザコン男性は決して多くない。
先日、結婚を発表したお笑い芸人の渡部建(44)は外食好きのグルメとして知られ、自宅では糠漬けを大事にしているとテレビ番組で語っていた。働き者でありつつ、食へのこだわりは極めて強い。その結婚相手であるタレントの佐々木希(29)は、彼に「ヘルシー系」の「適当な」手料理を出しているという。これこそ正解である。
キーワードは、継続性なのだ。手料理が続き、健康が続き、お金も続く。結果として、結婚生活も続く。その漠然とした予感を得られるかどうかが、引く手あまたの独身男性が結婚に傾くポイントの一つだと思う。
栄養バランスが良くてそこそこおいしい料理を5種類ぐらい覚えていたら十分なのだ。こちらも忙しいときは鍋でもいい。野菜と肉がたくさん入った鍋を食べる前に、ちょっと塩辛でも出してみよう。酒好きな男性は大満足だろう。その夜は糖質を控えるために炭水化物をとらずに寝てしまう。
翌朝、鍋の残り汁にご飯を入れて、卵を落として刻み葱をパラリ。熱いおじやの出来上がりだ。安くて、旨くて、簡単で、健康的。一石四鳥の朝食をとりながら、男性は「ああ、この人とならずっと楽しく豊かに暮らしていける」と感じるだろう。