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この秋、「注目の若手女優」が出演しているテレビCMは!?

碓井広義メディア文化評論家

●「DODA」の清野菜名さん

先日、あるテレビ局の役員と雑談していて、「最近注目している若手女優は?」と聞かれました。とっさに名前を挙げた一人が、清野菜名(せいのなな)さんです。

最初に「このひと、誰だろう?」と思ったのが、昨年、唐沢寿明さんと共演していたミツカンのCMでした。それはメガネをかけた店員役で、爽やかな笑顔が印象に残りました。

次に目を引いたのは、清水富美加(現・千眼美子)さんも出演していた映画『暗黒女子』です。清野さんは、表向きの明るさとは異なり、心に闇を抱える早熟な女子高生を好演していました。

また先月終了したドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)では、石坂浩二さん演じる脚本家と、かつて恋愛関係にあった新進女優とその孫娘の二役に挑みました。

そしてこの秋から、『やすらぎの郷』と同じ枠で始まった『トットちゃん!』で、(まだ出番が来ていませんが)あの黒柳徹子さんを演じます。まさに旬の若手女優の一人と言えるでしょう。

DODA(デューダ)の新作CM「それぞれの転職」篇では、真剣に転職を考えるOLさんに扮しています。目指しているのは「もっと自分を活かせる会社」。

「明日の自分」を自ら創っていこうとする、そのはつらつとした姿に、ステップアップを続ける清野さん本人が重なって見えます。

●「ACジャパン」の飯豊まりえさん

家族などをかたる、振り込め詐欺の手口を聞くと、「なぜ、こんなものに引っ掛かるのだろう」と思ったりします。

しかし、侮ってはいけません。昨年度の被害額は、なんと375億円! しかも被害者の多くが高齢者です。

その対策として有効なのが、家族の間で決めた合言葉、いや「愛言葉」なのだそうです。

たとえば、ACジャパン・NHK共同キャンペーン「合言葉 家族を守る愛言葉」篇の飯豊まりえさん。彼女は、一人暮らしのおばあちゃんに電話をかける時、まず「タマ(祖母の飼い猫の名前)、まっ白け」と言います。

他人には何のことか分からなくても、これで、間違いなく「本人」だと確認できるんですね。優しくて、気が利いて、お茶目なおばあちゃんと談笑する飯豊さんは、まるで本当の孫みたいです。

今年の夏、飯豊さんはドラマ『パパ活』(FOD×dTV共同制作)で、親子ほど年の離れた大学教授(渡部篤郎さん)を好きになる女子大生を、リアルな空気感で演じていました。(今週から水曜深夜に、フジテレビで地上波放送も開始されます)

また深夜ドラマ『マジで航海してます。』(TBS系)では、船を操縦する航海士を目指す、モーレツに元気な女子学生がドンピシャでした。

シリアス系とコミカル系、どちらもイケる実力派であり、今後が楽しみな若手女優として、前述のテレビ局役員に伝えたもう一人が、この飯豊さんです。

実は、映画『暗黒女子』には飯豊さんも出ていて、清水富美加さんとの「ダブル主演」でした。この作品には、他に平祐奈さんや玉城ティナさんなども出演していました。思えば、なかなか見事なキャスティングによる、若手女優「虎の穴」だったんですね。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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