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主な新興国経済ニュース(5月13日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ベトナム中銀、政策金利を1%引き下げ―13日から実施

ベトナム中央銀行(SBV)は先週末の金融政策決定会合で、景気を刺激するため、主要政策金利である商業銀行への貸出金利となっているリファイナス金利(再割引金利)を1%ポイント引き下げて7%とするほか、銀行からの債券買い入れ金利である公定歩合と銀行間電子決済で適用されるオーバーナイト金利もいずれも1%ポイント引き下げ、それぞれ5%と8%とすることを決めた。引き下げは13日から実施される。

ベトナム通信(電子版)によると、中銀のグエン・ドン・ティエン副総裁は金融政策決定会合後の会見で、政府が優先セクターに指定している農業や輸出、部品製造などのサポーティング・インダストリー(すそ野産業)、中小企業、ハイテク企業向けの短期貸付金利の上限も1%ポイント引き下げて10%とすることを決めたことを明らかにしている。他方、民間銀行が貸出金利を算出するときに適用する基準金利は現行の9%のまま据え置かれた。

今回の利下げ決定について、同副総裁は、1-4月の経済状況や金融市場の動向に基づいて、生産や経済活動、さらには金融市場を支援し、かつ、金融機関の不良債権の解消を支援する必要があると判断した、としている。

また、ベトナム金融大手ベトコムバンク(VCB)のファム・クアン・ズン頭取は、今回の利下げについて、「中銀は政策金利を引き下げることによって、民間の商業銀行に対し、貸付金利を引き下げやすい環境を作ったというメッセ―ジを伝えた」と、指摘している。

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米加2社、ポーランドのシェールガス開発から撤退へ―商業生産困難で

ポーランドでシェールガス(油分を含む頁岩層から採取される天然ガス)田の開発を進めていたカナダの石油・ガス大手タリスマン・エナジーと米国の同業大手マラソン・オイルの2社はこのほど、将来、商業生産に移行するだけの十分な埋蔵量を確認することができなかったとして、同国のシェールガス探鉱活動から撤退する方針を明らかにした。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が10日に伝えた。

これより先、米石油大手エクソンモービルも昨年6月、同様に商業生産が可能なほどのシェールガスの埋蔵量を確認できなかったとして、撤退を表明しており、ロシア産天然ガスの輸入依存度の引き下げを目指しているポーランドのエネルギー戦略にほころびが生じた格好だ。

現在、大手企業では、米石油メジャーのシェブロンとイタリアのエニ(Eni)の2社だけがポーランドでシェールガス開発を続けている。ポーランド政府はこれまでに100カ所以上のシェールガスの試掘井の掘削を認可しているが、このうち、実際に試掘されているのはわずか43件で、生産開始も2015年以降になる見込みだ。

ポーランドのシェールガス埋蔵量については、EIA(米エネルギー情報局)が2011年4月に、300年間分の国内需要を満たす5兆3000億立方メートルとの推定結果を公表した。しかし、ポーランド地質調査所(PIG)は昨年3月に、同国のシェールガスの可採埋蔵量は3500億‐7700億立方メートルとし、EIAの推定値の10分の1にまで引き下げている。

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トヨタ傘下のトヨタ・アストラ・モーター、今月下旬120億円の社債発行へ

トヨタ自動車<7203.T>傘下のトヨタ・アストラ・モーター(トヨタとアストラ・インターナショナルとの合弁会社)は13-14日に1兆2000億ルピア(約120億円)の社債の募集を開始し、20日にインドネシア証券取引所に上場する計画だ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が10日に伝えた。

同社の目論見書によると、社債は期間1、3、4年の3種類で、表面金利はそれぞれ6.6%、7.6%、7.65%。発行額は1年債が4000億ルピア(約40億円)、3年債は7000億ルピア(約70億円)、4年債は1000億ルピア(約10億円)となっている。共同幹事社はPT・HSBC 証券インドネシアとインド・プレミア証券、マンディリ証券、トリメガ証券。同社は調達した資金を自動車ローンの原資に充当するもよう。

また、アストラ・インターナショナルの金融子会社フェデラル・インターナショナル・ファイナンスも今年、2兆5000億ルピア(約250億円)相当の社債を発行する計画だ。

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5月6-10日のロシアRTS指数、1429.78―横ばい=BRICs市況

前週(5月6-10日)のロシア株式市場で、RTS指数(ドル建て)は10日終値が前週比横ばいの1429.78となった。週前半は米国の堅調な株式市場に支えられ、RTS指数は3日続伸したが、週後半は対独戦勝記念日の9日が休場となったため、利食い売りが広がり、また、週末には原油安が相場を下押した。

前週のRTS指数が横ばいで終わったため、依然として、4月10日の直近高値1453.81から同月18日の直近安値1327.55までの下落分(126ポイント)の値戻しは8割のままだ。2月1日の年初来高値1628.31との比較では、まだ12%も値下がりしている。

週明け6日は、ユーロ圏の3月の小売売上高が前月比わずか0.1%増(前年比2.4%減)と、弱い結果となる一方で、米国の株式市場が上昇して始まったことからロシア市場に買い安心感が広がり強弱交錯する中、RTS指数は前週末比0.16%高となった。7‐8日も米国株の堅調を受けて3日続伸となったが、9日の対独戦勝記念日による休場を控えて、徐々に利食い売りが優勢となる一方で、週末10日には6月限月のブレント原油先物が前日比1.67%安と、下落に転じたことからドル建てのRTS指数は5営業日ぶりに反落した。また、RTS指数はドル建て表示のため、為替相場の変動の影響を受けやすく、週末はドル/ルーブルが急激に上昇したため、RTS指数は低下している。

今週(5月13-17日)のロシア市場については、一部のアナリストは、週末の取引で見られたような前場で、RTS指数が1460-1465の上値抵抗線に接近すると利食い売りが出るというパターンが今週も続くかどうかに注目している。今週の主な統計は、アジアは13日の中国4月鉱工業生産指数と中国4月小売売上高、米国は13日の4月小売売上高と16日の4月住宅着工件数、欧州は14日のユーロ圏鉱工業生産指数とドイツ5月ZEW景気期待指数、15日のユーロ圏1‐3月期GDP伸び率など。

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シティ、インドネシアの銀行セクターの投資判断を引き下げ

米金融大手シティグループ傘下のシティグループ証券シティリサーチ(調査本部)は先週、インドネシアの銀行に対する投資判断を「オーバーウェイト」(ベンチマークよりも高い組入比率)から「ニュートラル」(ベンチマークと同じ組入比率)に引き下げた。ジャカルタ・グローブ(電子版)が10日に外国通信社の報道を引用して伝えた。

引き下げの理由について、シティリサーチは、インドネシアの銀行セクターの株価が年初来で26%高、また、2009年12月以降では125%高と、高くなりすぎていること、さらに、米信用格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)今月初めに同国のソブリン債の格付けに対する見通し(アウトルック)を引き下げたことを挙げている。

個別銘柄ではラヤット・インドネシア銀行(国営インドネシア庶民銀行)と国内4位の国営金融大手バンクネガラインドネシア(BNI)の投資判断を「買い」から「中立」に引き下げている。

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外資系太陽光発電8社、チェコ政府を相手取って損害賠償訴訟へ

チェコで太陽光発電事業を行っているドイツのボルタイック・ネットワークやアンタリス・ソーラーなど欧州のエネルギー関連8社で構成する国際太陽光発電投資家クラブ(IPVIC)はこのほど、チェコ政府を相手取って、損害賠償請求訴訟を起こした。プラハ・デイリー・モニター(電子版)が10日に伝えた。

IPVICによると、チェコ政府は太陽光発電所の建設プロジェクトに外国企業を誘致するため、税制優遇措置を講じたが、その後、太陽光発電所の電力販売収入に26%の税金を課したのは外国企業に対する差別措置で経済的損失を受けたとして損害賠償を求めている。

全体の損害賠償額は明らかにされていないが、関係筋によると25億コルナ(約130億円)になると見られている。この太陽光発電事業所税は3年間の時限立法ですでに導入されており、今年末で期限切れとなる。

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ブラジル政府、グローバル債の発行で810億円を調達

ブラジル財務省は先週末までにアジアと欧米で相次いでグローバル債を発行し、計8億ドル(約810億円)の資金調達に成功したことを明らかにした。中南米専門の通信社メルコプレス(電子版)が11日に伝えた。

同省は10日にアジア市場で5000万ドル(約50億円)のドル建て国債(表面利率2.75%)を発行し、その前日に米国と欧州の市場で7億5000万ドル(約760億円)のドル建て国債を発行している。いずれも償還期は2023年1月の10年債となっている。

ブラジル政府が外国通貨建てのグローバル債を発行するのは2012年9月の13億5000万ドル(約1370億円)以来8カ月ぶり。共同幹事社は英投資銀行バークレイズ・キャピタルと米シティコープ。

ブラジル政府はこのあと、12月にもグローバル債の発行を計画している。同国の外貨建て国債の格付けは、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが「Baa2」、フィッチ・レーティングスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がいずれも「BBB」となっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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