「ノルウェー、深海探査をしないで」世界中で反対運動が始まる
10月2日、ノルウェー国会前では環境団体、青年団体、政党青年部など、多くの団体の代表者が集まり、ノルウェー政府に対して「深海で鉱物の探査・採取を開始する計画に反対する」抗議活動を行った。今回のデモは、よくある「国会前のデモ」とは違う。抗議活動は世界中で一斉に開始されたのだ。
今年6月20日、政府はノルウェー大陸棚における海底鉱物の探査を開放する意向を発表した。ノルウェー大陸棚には大規模な鉱物資源が眠っているとされ、ノルウェーにとって大きな収入を意味する。
世界中の環境団体らは海底での鉱物探査・採取計画を断念するよう要求している。ノルウェー国会前だけではなく、世界約20カ国のノルウェー大使館前でも小規模な行動が行われた。
書簡では、ノルウェーが海底での鉱物探査を開放する計画を進める場合、国際海洋パネル「持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル」の議長であるノルウェー首相ヨナス・ガール・ストーレ氏に「議長の座から辞任するよう」要求している。パネルの参加国は「2025年までに自国の海洋・沿岸域の100%を持続可能な形で管理する」ことを約束しており、14か国の首脳メンバーには日本の岸田文雄首相の名前もある。
「ノルウェー史上最大の自然侵害となりうる深海の開放を行ないながら、国際海洋パネルの議長を務めることができないのは明らか。ノルウェーにとって恥ずべきことであり、私たちはそのような役割を担う権利を得ていない」
「深海には地球上のどこにも存在しない素晴らしい野生生物と自然があり、この脆弱な生命が採掘によって脅かされている。私たちは、まだ存在しない種を絶滅させ、世界最大の炭素貯蔵庫を破壊し、医療用成分を破壊し、魚類資源を危険にさらすほど食物連鎖に影響を与える危険を冒している」とノルウェー自然と青年団体のギーナ代表は批判した。
深海で鉱物を見つけるには、水深数千メートルまで潜らなければならない。書簡には「科学者の間では、深海採掘が生物多様性の喪失につながるのではないかという懸念が広がっている」とある。
公共局NRKの報道によると、政府はいくつかの専門機関から厳しい批判を受けたが、環境局は「この影響評価は海域の開放を決定する根拠にはならない。環境保護団体だけでなく、多くの海洋科学者が深海生物についてあまりにも知らなすぎる」と主張している。
SNSで広がる国際キャンペーン
10月2日に一斉に始まったキャンペーンは、SNSでこれから大きな広がりを見せそうだ。筆者がこれまで様々なテーマで取材してきた関係者の多くも参加しており、インスタグラムなどでは若い世代が英語でノルウェー首相に「ノルウェー、深海採掘を止めて」というようなメッセージを発している。ハッシュタグ「#stopdeepseamining」「#lookdown」の投稿は増加中だ。
- CoinUnited.io:ノルウェー、輸入依存度を減らすために商業的深海採掘を提案
- ロイター:焦点:石油から海底鉱物へ、ノルウェーが目指す採掘シフト
- ロイター:Norway moves to open its waters to deep-sea mining
- ロイター:Norway should call off deep sea mining plans, key ally says
- WWF condemns Norway's deep seabed mining plans as "one of the worst environmental decisions Norway has ever made" as government plans to open ocean area larger than UK to mining