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関東内陸部で雪の日曜日 関東甲信の初雪は去年とは違う

饒村曜気象予報士
霙(みぞれ)のイラスト(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

12月22日の日曜日

 令和の師走は、寒気が南下しても北日本中心でした。

 このため、全国的に暖かい日が多かったのですが、これから年末にかけても、寒気の南下は北日本中心です。

 東日本から西日本では、日本海側の地方においては雲が多くて雨や雪が降る天気が続き、太平洋側の地方では晴れの天気が続くという、冬に多い天気分布になかなかなりません。

 12月22日の日曜日の天気予報では、本州南岸の前線や低気圧の影響で、西日本の太平洋側は雨、東日本の太平洋側は雨か雪の日曜日になりそうです(図1)。

図1 各地の天気予報(12月22日の気象庁による天気予報)
図1 各地の天気予報(12月22日の気象庁による天気予報)

 関東甲信の雨雪判別では、沿岸部では雨ですが、内陸部では雪となっています(図2)。

図2 雨雪判別(12月22日17時の判別予想)
図2 雨雪判別(12月22日17時の判別予想)

 今冬の初雪を観測していない甲府や宇都宮、前橋などでは「初雪」の可能性があります。

 東京でも西部の多摩地区では雪となっていますので、寒気が予想より少し強ければ、東京23区でも雨が雪に変わり、東京で「初雪」を観測する可能性が0ではありません。

変わった関東甲信の「初雪」の平年値

 気象庁では、気象台等で行っている晴れや曇りなどの天気や大気現象、視程についての観測を、職員が目視により行ってきました。

 近年、気象レーダーや気象衛星等を利用して、総合的に大気の状態を把握することができるようになってきたことを背景に、この職員が目視で行ってきた、晴れや曇りなどの天気や大気現象及び視程の観測を順次自動化しています。

 この自動化の第一陣は、平成31年(2019年)2月1日からの関東甲信地方(東京を除く)で、順次全国で自動化の予定です。

 このため、今冬から、東京を除く関東甲信の「初雪」の観測も、職員が目視で行ってきたものから、気温や湿度等の観測を元に自動的に推定するものに変わっています。

 目視で行う「初雪」の観測と、自動的に推定する「初雪」の観測には差があります。

 このため、気象庁では、自動的に推定する「初雪」の平年値を、昭和56年(1981年)までさかのぼって計算した値を元に、新たに作っていますが、目視で行う「初雪」とは、大きな差があります。

 例えば、横浜では、昨冬までは1月7日が初雪の平年値でしたが、今冬からは12月13日が初雪の平年値となります。

 また、横浜の12月13日という自動的に推定する初雪の平年値は、それほど離れていない東京の1月3日という目視で行う初雪の平年値と、一見すると大きな差がでています(表)。

表 関東甲信地方の初雪
表 関東甲信地方の初雪

今冬の関東甲信の初雪

 今冬の関東甲信の初雪は、11月28日に長野で観測されました。

 12時24分から断続的に霙(みぞれ)が降り、16時15分から断続的に雪が降ったためです。

 霙(みぞれ)が降っても、雪が降ったとカウントされますので、長野では、11月28日12時24分に初雪観測となりました。

 また、水戸では12月6日の4時58分から5時20分まで霙(みぞれ)が降ったため、横浜では翌7日に2時55分から断続的に霙(みぞれ)が降ったため、ともに初雪の観測となりました。

 なお、長野、水戸、横浜で初雪があった日の降水量は0.0、降雪量も積雪量も0でした。

 「初雪」のような、極値に関する自動化による観測については大きな差が出ることがありますが、雪が降った日数などの平均に関する自動化による観測については大きな差が出ないのではないかと思います。

 そして、自動化の観測による、素早い状況把握や防災情報への利用拡大など、今後に期待です。

図1、図2の出典:ウェザーマップ提供。

表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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