Yahoo!ニュース

ダムが近すぎる穴場の秘湯!タンサンの泡が肌を包む黄金の濁り湯を雪見露天で

泉よしか女子目線温泉ライター

温泉ライターの泉よしかです。

今回ご紹介するのは福島県喜多方市にある一軒宿の秘湯「日中(にっちゅう)温泉 ひめさゆりの宿 ゆもとや」です。日本秘湯を守る会の会員宿でもあり、日中ダムのすぐそばにあるこちらの宿は、ぬるめながら炭酸の泡がびっしりと体を包む濁り湯の名湯。

とても感動したお湯なので、ぜひお伝えしたくて記事にしました。

あまりにもダムが近くて驚く!日中ダムに近すぎる日中温泉

正面に見えるのが日中ダム。もう少し道を進むと「ゆもとや」の建物が右手に見えてきます。
正面に見えるのが日中ダム。もう少し道を進むと「ゆもとや」の建物が右手に見えてきます。

ダムが近い温泉として、ほかに岡山県の湯原温泉という所があります。「砂湯」という開放的な露天風呂があり、その露天風呂のすぐ後ろにドーンと湯原ダムがそびえて見えるのです。

しかしお風呂からはすぐそばにダムが見えても、実際に湯原ダムから見下ろしてみると、実はかなり離れていることがわかります。すぐ後ろにそびえて見えるのは目の錯覚ともいえそうでした。

日中ダムから見下ろしたところ。正面より少し左、手すりの間に「ゆもとや」が見えます。
日中ダムから見下ろしたところ。正面より少し左、手すりの間に「ゆもとや」が見えます。

それに対して日中温泉は本当にダムの麓にあると言ってよい立地。日中ダムから見下ろせば、すぐ下に一軒宿の「ゆもとや」が見えています。本当にここはダムから近いんです。

現在の「ゆもとや」。左に見える雪の壁のようなものが日中ダム。
現在の「ゆもとや」。左に見える雪の壁のようなものが日中ダム。

日中温泉の歴史は江戸時代までさかのぼります。現在のゆもとやのご先祖である檜澤佐五右衛門氏は、もともと金を掘る目的で会津藩に届け出を出していました。しかし、ある日山神が夢枕に立ち、鉱泉が湧くところを教えてくれたといいます。

そうして明治時代には3軒の宿が建ち、湯治客でにぎわった日中温泉ですが、幾度も大きな水害に見舞われ、昭和5年には「湯本屋(現在のゆもとや)」を残すのみに。

その後、平成元年には日中ダムが完成し、日中温泉の旧源泉は失われてしまいました。

日中ダムによってできたダム湖「日中ひざわ湖」
日中ダムによってできたダム湖「日中ひざわ湖」

しかし今、新しい源泉を得て日中温泉はよみがえっています。ダム建設中はいったん移転していた「ゆもとや」も、平成5年には再びこの地で旅館業を再開しました。泉質は以前とほぼ同じ、炭酸成分を含む黄金色の濁り湯です。

ちなみに日中ダムは農林水産省が建設した多目的のロックフィルダムで、水害対策のほか農業用水を安定して供給するための灌漑にも使われています。地元にとってもたいへんありがたい存在なのです。

源泉掛け流しの露天風呂と寒い日に嬉しい加温の内湯

正面が「飯森の湯」、右手が「高倉の湯」(「高倉の湯」は冬季はお湯が入っていません)
正面が「飯森の湯」、右手が「高倉の湯」(「高倉の湯」は冬季はお湯が入っていません)

「ゆもとや」のお風呂は男女ともに内湯1つと露天風呂2つです。露天風呂は非加温掛け流しの「飯森の湯」と「高倉の湯」があり、「高倉の湯」の方は冬季はお休みです。
よって、雪見露天風呂を楽しもうと思ったら、「飯森の湯」一択となります。

源泉掛け流し露天風呂「飯森の湯」

女湯の「飯森の湯」
女湯の「飯森の湯」

初めて入る人は「あれっぬるい?」とびっくりするかも。実際に源泉温度は42~43度ほどで、さらに浴槽内では37~38度と体温に近い温度となります。

体温とほぼ同じぐらいの温かさのお湯に入っていると、熱くも寒くもなく、ふんわりと無重力空間に浮いているような不思議な心地が体験できます。さらにのぼせにくいので、長い時間入っていられます。その間、心も体もリラックスして、日常を離れ、時間が経つのも忘れるほどです。

円形の浴槽には木の枕が設置されていて、浴槽の縁に合わせて自由に位置を動かすことができる。
円形の浴槽には木の枕が設置されていて、浴槽の縁に合わせて自由に位置を動かすことができる。

泉質はナトリウム・カルシウム―塩化物・炭酸水素塩泉。金属の香りを強く感じるタイプの温泉です。
遊離二酸化炭素(タンサン成分)は739.8mg/kgで、1,000mgには満たないので泉質名にはあらわれませんが、含有量としては一般的な温泉よりかなり多く、実際に入浴していると、肌にたくさんの泡が付いてきます。

左は湯口から汲んだ温泉、右は湯船から汲んだ温泉
左は湯口から汲んだ温泉、右は湯船から汲んだ温泉

また日中温泉の源泉は、湧いたばかりの時には無色透明ですが、空気に触れることにより茶色(金色)に濁ります。
実際に桶に汲んで色を比べてみました。左が湯口から新しく出てきたお湯、右が浴槽から汲んだお湯。湯口から出たお湯も少しだけ茶色く見えるのは、洗面器の底に既に温泉の色が少し付いてしまっているためです。

男湯の「飯森の湯」
男湯の「飯森の湯」

ところで、「飯森の湯」は露天風呂ですが、男湯・女湯ともに網戸のようなもので囲われています。実はこれは虫よけ。暖かい季節には炭酸成分に惹かれてアブやメジロ(小型のアブの一種)といった害虫が来ることがあり、安心して露天風呂に入れるようにネットで囲ってあるのだそうです。

そして男湯は通年ネットのみですが、女湯の「飯森の湯」に限り、冬季はガラスの囲いも重ねます。密閉されるわけではないので寒く無いとはいいませんが、それでも少し温かく感じます。

雪見風呂は楽しいのですが、雪の季節の露天風呂はやっぱり寒いですからね。

最後に温まるのに最適!加温してある「栂峰の湯」

内湯の「栂峰の湯」
内湯の「栂峰の湯」

遊離二酸化炭素が多く、塩化物泉でもあるお湯は、ぬるめでもよく温まります。とはいっても、やっぱり冬は上がった時にちょっと寒い。そう思ったら最後は内湯の「栂峰の湯」でしっかり温まってください。

こちらは濾過ろ過式で温泉ではありませんが、浴用にちょうどよい温度に調節してあります。

「ゆもとや」のお部屋や食事も紹介

客室一例
客室一例

泊まったお部屋には冬なのでコタツがありました。雪の降る季節でもコタツに入っているとほっこり温かく癒されますね。

お部屋に用意された半纏、タオル、バッグ
お部屋に用意された半纏、タオル、バッグ

浴衣はセルフでサイズを選べます。お部屋には浴室に持って行かれる専用のバッグがあるのも嬉しかったです。

夕食一例
夕食一例

食事は大広間を半個室のように仕切った食事処で。

会津馬刺しと馬モツ刺し
会津馬刺しと馬モツ刺し

鮎の塩焼きも鮟鱇鍋も大変美味しく頂きましたが、特に印象に残ったのが会津馬刺しと馬モツ刺しの盛り合わせ。馬モツ刺しは初めて食べましたが、歯ごたえがありつつもとても柔らかく、不思議な食感でした。

和食がメインですが、クラムチャウダーのパイ包みといった洋風のお料理も出ます。

※食事のメニューは季節やプランによって変わります。

ロビーなど館内のいろいろなところに可愛らしい飾りつけがあるので、見つけて歩くのも楽しいです。

「ゆもとや」のラウンジ
「ゆもとや」のラウンジ

クラシックなラウンジには薪ストーブが置かれ、朝食後にはここでコーヒーやハーブティーがいただけます。

売店には温泉むすめのパネルも。
日中温泉の温泉むすめは、日中早百合さんといって、ぬる湯と喜多方ラーメンとヒメサユリがお好きなんだそう。

売店の温泉むすめコーナー
売店の温泉むすめコーナー

日中温泉の一軒宿「ゆもとや」は、今は日帰り入浴は受け付けていません。ぜひ泊まってあのぬる湯にゆったりと入ってみてください。きっと時間を忘れてお湯にひたる体験ができるでしょう。

日中温泉 ひめさゆりの宿 ゆもとや
住所:福島県喜多方市熱塩加納町熱塩字大畑29
電話:0241-36-2266
公式サイト:日中温泉 ひめさゆりの宿 ゆもとや(外部リンク)

日中温泉の歴史に関する参考文献:日中温泉「ゆもとや」沿革史

女子目線温泉ライター

温泉&旅行情報ライター。有名温泉から穴場の温泉まで、秘湯、旅館、ホテル、共同浴場、スーパー銭湯や絶景温泉など日本全国、思わず行ってみたくなる温泉やオトクな旅行情報を発信します。取材のご依頼は、公式サイト「子連れ温泉ガイド」メールフォームかSNSのメッセンジャーからご連絡ください。 温泉ソムリエマスター/温泉観光実践士/サウナ スパ健康アドバイザー/温泉ビューティー&ダイエットソムリエ

泉よしかの最近の記事