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「らき☆すた」ブームから15年経過も 地元から「過去最高の売り上げ」の声

河村鳴紘サブカル専門ライター
「らき☆すた」のキャラクター柊かがみ(左)と柊つかさの着ぐるみ=久喜市商工会提供

 人気アニメ「らき☆すた」を活用した町おこしで知られる埼玉県久喜市の鷲宮地区。先月に主要キャラクターの一人・柊つかさの像が同市の鷲宮郵便局で公開され、大みそかには、柊つかさの着ぐるみが披露されました。正月には、姉の柊かがみとの二つの着ぐるみがそろって地元を歩き、話題だったようです。

 「らき☆すた」は、個性的な女の子たちの日常を描いた美水かがみさんのマンガが原作です。アニメは2007年に深夜で放送されると人気になります。地元の鷲宮神社をモデルにした場面が描かれており、アニメファンたちが同地を訪れる“聖地巡礼”現象が起き、ブームとなったのです。

 鷲宮神社は、鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」(大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にもよく登場した史料ですね)にも名前が登場する由緒ある神社であり、「らき☆すた」の放送前の2007年の正月三が日の参拝客も、9万人いました。ところがアニメが放送された次の2008年の正月三が日の参拝者数は30万人に急増。2009年には42万人、2010年には45万人、2011年から14年までは、いずれも47万人でした。

人々と触れ合う柊つかさの着ぐるみ=久喜市商工会提供
人々と触れ合う柊つかさの着ぐるみ=久喜市商工会提供

 普通はアニメの放送が終われば話題性がなくなり、苦戦するはず。しかし鷲宮地区は、アニメでの町おこしと並行して、ユニークな催しを次々と実施したことも好結果になりました。

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 その後、正月の参拝者数は開示されなくなりましたが、来場者数の問い合わせの対応に追われるため未発表になったことが背景にあります。今年も来場者数の問い合わせをしたのですが、やはり「発表してない」とのことでした。

 さて現状ですが、新型コロナウイルスの影響も続いており、ある程度のダメージはあるのかなと思いきや、久喜市商工会鷲宮支部によると「全盛期ぐらいの人出があったのでは」とのことでした。「正月の売り上げは過去最高」と答える地元の店舗もありました。ちなみに以前と比べ、細かく注文する客が多いという話もあり、急激なインフレの影響もあるようです。それでも「過去最高」と答えるのは、なかなかスゴイのではないでしょうか。

 コロナで外出制限が続いた反動が最も大きいのでしょうが、年末に郵便局像と着ぐるみという話題があったのも後押ししたものと推測できます。

 同時に鷲宮地区の正月の来場者が、依然として最大値に近い形で続いているということでもあります。残念ながら来場者数のデータという明確な裏付けこそないものの、肌感覚ながらも参拝者の規模は依然として多いわけで、喜ばしい事といえそうです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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