主な新興国経済ニュース(5月20日)
5月13-17日のロシアRTS指数、1405.34―下落=BRICs市況
前週(5月13-17日)のロシア株式市場で、RTS指数(ドル建て)は17日終値が前週比1.2%低下の1405.34となった。RTS指数は週初からブレント原油先物価格の軟調や中国の弱い統計結果などで下落し、16日まで4日続落となった。週末17日は原油高や欧米の株式市場が堅調となったことから急反発した。
RTS指数は、4月10日の直近高値1453.81から同月18日の直近安値1327.55までの下落分(126ポイント)は5月8日にほぼ消えたが、10日から16日まで5営業日続落となったため、週末の反発でも6割程度の値戻しに終わっている。2月1日の年初来高値1628.31との比較でもまだ14%値を下げたままだ。
14日はドイツの5月ZEW景気期待指数が予想を下回ったことや、ベン・バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長が13日のシカゴでの講演で、最近の米国株の急ピッチな上昇に懸念を示したことから、ロシア市場で米国株の調整売り懸念が広がり、RTS指数は続落した。
15日も原油安に加え、ユーロ圏1‐3月期GDP(国内総生産)伸び率が前期比0.2%減と市場予想より悪化、国営天然ガス大手ガスプロムも1‐3月期決算の大幅減益で株価が急落、RTS指数は下げ足を速めた。16日も米国の4月住宅着工件数などの統計結果が低調となったため、続落。週末17日は米国の5月ミシガン大消費者信頼感指数の大幅上昇や欧州株の上昇、原油価格が反発、また、独電力・ガス大手エーオン傘下のエーオン・ロシアの増配のニュースなどで、ようやく6営業日ぶりに反発した。
今週(5月20-24日)のロシア市場は、22日に発表される米FRBのFOMC(公開市場委員会)議事録に注目が集まる見通し。また、相場に影響を与える今週の主な統計は、アジアは20日の日本の3月景気先行指数と21日の3月全産業活動指数、22日に日銀金融政策決定会合、欧州では22日のユーロ圏3月経常収支と23日のユーロ圏5月製造業・非製造業PMI(購買部景気指数)、24日のドイツ6月GFK消費者信頼感調査とドイツ5月Ifo景況感指数、米国では22日の4月中古住宅販売件数と23日の4月新築住宅販売件数、24日の4月耐久財新規受注額など。
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ロシア1‐3月期GDP伸び率、前年比1.6%増に鈍化―前期は2.1%増
ロシア国家統計局(FSS)は先週末、同国の1‐3月期GDP(国内総生産)伸び率が前年比1.6%増と、前期(昨年10‐12月)の同2.1%増を下回り伸びが鈍化した。同国の四半期の成長率は昨年1‐3月期の同4.8%増から4‐6月期は同4.3%増、7‐9月期は同3%増と、伸びが鈍化傾向にある。
ただ、明るい材料、経済発展貿易省のアンドレイ・クレパチ次官は今年1‐3月期の伸び率を同1.1%増と予想していたが、今回の結果は政府予想を上回ったことだ。また、これより先、同省は今年の成長率見通しを従来予想の3.6%増から2.4%増に下方修正している。
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ポーランド中銀、一段の金融緩和が必要―IMF代表団
ポーランドを訪問したIMF(国際通貨基金)代表団のジュリー・コザック代表は先週の記者会見で、同国中銀は景気を刺激し経済成長率を高めるため、一段の金融緩和を実施すべきとの見解を明らかにした。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が17日に伝えた。
同氏は、「ここ数年間、ポーランド経済は強靭性を示し、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしているものの、経済成長率はかなり鈍化している」とした上で、「財政出動には限度があるため、景気を刺激するための残された手段は中銀の金融政策だけだ」と指摘している。IMFでは同国の今年の成長率を1.2%増と予想、来年から2.2%増へと景気回復が始まるとしている。
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インドネシア自動2輪大手アストラ・ホンダ、4番目の工場建設に着手
ホンダ<7267>傘下のインドネシア自動2輪大手アストラ・ホンダ・モーター(AHM)は先週末、西ジャワ州カラワンの工業団地で、インドネシア国内で4番目となる自動2輪の新工場の建設に着手した。投資額は3兆3000億ルピア(約330億円)。
新工場の敷地面積は84ヘクタールで、2014年4-6月期に完成する予定。完成後の生産能力は年間110万台。また、同社は新工場の稼働のため、新規に3000人を雇用する計画。
現在、同社はインドネシア国内のサンター、プガンサアン、チカランの3カ所に工場を保有しているが、第4工場の稼働後、同社の自動2輪の生産台数は年間530万台に達するとしている。
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ベトナム通信大手ベトテル、携帯電話サービスの国際事業強化へ
ベトナム通信大手のベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)のグエン・バン・ティン副社長は、2015年をメドに海外での携帯電話サービス事業を強化する方針を明らかにした。ベトナム通信(電子版)が18日に伝えた。
同社は海外事業の展開先として、ミャンマーやケニヤ、ベネズエラ、タンザニア、ブルキナファソ、アルゼンチン、キューバ、スワジランドを検討している。ティン副社長は、「先進国は携帯電話市場が飽和状態となっているため、市場競争が激化していない発展途上国への投資が望ましい」としている。
現在、ベトテルは6カ国で600万件超の契約者を保有し、国際事業部門の売上高は昨年で全売上高の10.6%に相当する15兆ドン(約750億円)となっている。同社のベトナム国内の市場シェアは40%だが、今年度の売上高は前年比15-20%増の162兆ドン(約8100億円)、最終利益は34兆6000億ドン(約1700億円)の達成を目指している。
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ベトナム中期経済見通し、平均で6.5%増に回復へ―英会計事務所
英大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤングが最近発表した「急成長市場(RGM)予測」によると、ベトナムの2013-2016年の中期経済見通しは、平均で6.5%増に回復していくと予想している。地元紙サイゴン・タイムズ(電子版)が16日に伝えた。
同会計事務所は、その根拠として、世界経済の回復とともに、外国からベトナムへの直接投資が活発化し、また、観光や農産物輸出も拡大するとし、その結果、設備近代化に必要な資金調達が可能となり、慢性的な電力不足も新しい発電所の建設が進むことで解消されることを挙げている。
アーンスト・アンド・ヤングの予測では、今年の成長率見通しは5.5%増、2014年は6.9%増、2015年は7.1%増、2016年は6.6%増となっている。昨年は5%増(政府発表では5.03%増)となった。また、インフレ見通しについては、今年は7.7%上昇、2014年は6.4%上昇、2015年は4.8%上昇、2016年は4.5%上昇になると予想している。昨年は6.81%上昇だった。
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ブラジルのマンテガ財務相:インフレは今後数カ月、低下していく
ブラジルのギド・マンテガ財務相は先週、大統領府で開かれた会合で、先行きのインフレ見通しについて、「このところインフレ率を上昇させていた食品価格はすでに低下し始めた」とし、その上で、「(全体の)インフレ率も今後数カ月は低下していく。我々は順調に進んでいる」と述べ、インフレの先行きについて楽観的な見方を示した。ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が16日に伝えた。
特に、同相はブラジルの経済研究・教育機関、ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)が16日に発表した5月第2週のIPC-S(消費者物価指数)が0.38%上昇(5月15日までの月間変動率)と、第1週の0.45%上昇((5月7日までの月間変動率))から伸びが鈍化した点を指摘。とりわけ、食品のIPC―Sが0.68%上昇から0.51%上昇に鈍化したとしている。同相は「これから農産物の収穫期に入るほか、トマトなど生鮮野菜の価格上昇をもたらした雨季も峠を越している。食品物価の低下は、我々がここ数週間経験してきた(インフレ上昇という)問題を起こすことがなくなるので、とても良いことだ」と話している。 (了)