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第29エンド「MD2日目、90%超えのショット率でブラジルに完勝。通算成績を一勝一敗のタイに戻す」

竹田聡一郎スポーツライター
初勝利を挙げ、日の丸を掲げて応援してくれるファンに手を振って応える小笠原。

カナダのレスブリッジで開幕したカーリングのミックスダブルス世界選手権2日目で、日本代表のチーム阿部(阿部晋也・小笠原歩ペア)は、ブラジルに11-4で完勝。試合後、小笠原は、

「イメージどおりのところに置かさって…置かさって? 北海道弁ですね。置くことができているので」

と内容と結果の伴ったゲームを故郷の言葉を交えつつ振り返った。

昨日の初日、小笠原に「ちょっと緊張してたかも。(ショットの質が)私の知っているシン君ではなかった」とイジられていたパートナーの阿部もアイスに慣れ、LSDで10.1という好ショットを放つと、「(ウェイトが)当たってきたという感覚はある」と本人も手応えを得た通り、序盤からレイズ、カマーいったミックスには欠かせないショット、さらにはダブルもしっかり決め、セットアップを続けた。

これに小笠原も「最後に私に楽なショットを投げさせてくれた」と前半4エンドを100%のショット率で応える。ゲームを通しても阿部が93%、小笠原が91%という数字を残し、二人の選手が同時に90%以上のショット率を記録したのは参加39チーム中初である。エンジンがかかってきたと捉えていいだろう。

また、これまでのゲームで相手が形を変えるために、少し早いウェイトでランバック、あるいは重めのレイズで、いわゆる中央を壊しにいくショットを放ってきた場面がいくつかあった。その多くはミックス特有のハウスを狭くするように積まれた石を一度、バラけさせる狙いであり、リスクを軽減させるショットでもある。これはミックスダブルスの勝負を分けるポイントの一つで、ミックス専門にしているペアの多くは形が大きく変わった後に時間をかけて次の一手を練ることが多い。

しかし今のところ、チーム阿部は迷う素振りは見せていない。ハウスを広く使うカーリングはいつもやっているよと言わんばかりに、短い確認だけで次のショットに淡々と向かう姿は、あるいは相手チームにプレッシャーを与えるかもしれない。エンド内でのリスタートの早さと精度は間違いなくこのペアの強みであり、経験豊富なスキップ同士が組む最大の恩恵はここにあるかもしれない。

これで通算成績を1勝1敗とし、グループリーグは残り5試合だ。二人に明日以降の抱負を聞いてみる。

「少ないチャンスのところで、きちんと石を置けるか。詰められるところはあるのでそこをしっかりやっていきたい」(小笠原)

「ミックスの経験はないけど、投げることは一緒だから。(小笠原を)信頼してやっていければ勝てると思う」(阿部)

まずは明日のクロアチア戦、続くベラルーシ戦でしっかり連勝して、世界カーリング機構HPでライブ中継のある25日のハンガリー戦(日本時間26日水曜日朝8:45~)を迎え、日本のファンにいいゲームを見せたいところだ。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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