ラグビーTLが開幕! 新人WTB中野(サントリー)、2年目LO秋山(トヨタ)ら若手選手が躍動
2月20日(土)、21日(日)、来年から新リーグがスタートするため、ラストシーズンとなるラグビートップリーグ(TL)が開幕した。
オールブラックスSOボーデン・バレット(サントリー)&SHのTJペレナラ(NTTドコモ)、オーストラリア代表FLマイケル・フーパー(トヨタ自動車)など今年加入した世界的スター選手が活躍する中、多くの新人選手がデビューを飾った。また今年は特別にルーキーとともに新人賞の対象にもなっている2年目の選手も躍動した。
◇多くの新人がトップリーグデビューを飾った!
新人ながら優勝候補のサントリーサンゴリアスで先発したのがWTB中野将伍(早稲田大出身)だ。「サンゴリアスの初めての公式戦ということで、思いっきり自分の持ち味を出して試合をすることを意識して臨みました」。三菱重工相模原ダイナボアーズ戦で75-7の勝利に貢献し、WTB中野は後半12分にトライも奪う活躍も見せた。
大学時代までは身長186cmの体格とフィジカルを武器にCTBとしてプレーすることが多かったが、サントリーに入ってWTBにも挑戦している。
WTB中野は「最初は上手くいかない部分もあったが、自分の持ち味であるボールを持ったときのフィジカル、突破力など生かせるように、コミュニケーションを取りながら(WTBとして)持ち味をだすことに慣れてきた。(CTBでもWTBでも)両方できるように準備しているので、どちらでも自分らしいパフォーマンスをできるようにしたい」と先を見据えた。
他にもサントリーでは昨年、サンウルブズで大きく成長したSH齋藤直人(早稲田大出身)、PR中野幹(東海大出身)の新人2人も後半、ベンチスタートから出場しチームに活力を与えた。
他にも今年、10人の新人が加入したクボタスピアーズ(宗像サニックスブルースに43-17で勝利)ではFB金秀隆(朝鮮大出身)が先発し、SO/FB 岸岡智樹(早稲田大出身)が20分ほど出場した。
一昨年優勝した神戸製鋼コベルコスティーラーズではルーキーSO李承信(帝京大中退)が後半途中からデビューし、その王者相手に善戦したNECグリーンロケッツ(47-38)では身長198cmの新人LO山極大貴(専修大出身)がスタートから出場した。
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス対Honda HEATでは、NTTコミュニケーションズのFB石田大河とHondaのLO中川真生哉(ともに日体大出身)の新人2人が後半途中までプレーした(試合はNTTコミュニケーションズが41-13で勝利)。
他にもリコーブラックラムズ(パナソニックワイルドナイツに14-55で敗戦)では、ベンチからHO武井日向(明治大出身)、CTBメイン平(御所実)の2人のルーキーが後半出場した。
トヨタ自動車ヴェルブリッツに惜敗(33-34)した東芝ブレイブルーパスでは後半28分からWTB桑山淳生(早稲田大出身)が初出場し、兄のWTB聖生とともに兄弟で両翼を担った。
キャノンイーグルスに26-24で逆転勝利したNTTドコモレッドハリケーンズではPR山川力優(天理大出身)が後半18分から出場し、勝利に寄与した。
例年違い、今年は昨年の秋から半年ほどプレシーズン期間があり、どのチームでも新人が十分に戦力になっており多くの選手がトップリーグデビューを飾った。先発で出場している選手は引き続き試合に出続けて、ベンチスタートの選手は先発の座を狙ってほしい。
◇今年は2年目の選手も新人賞の対象に
昨年のシーズンがコロナ禍の影響で6節が終わった次点で不成立となったため、ルーキーの選手たちだけでなく、特別に2年目の選手も今年の新人賞の対象となっている。
東芝に勝利したトヨタ自動車では2年目のLO秋山大地(帝京大出身)が、接点だけでなく、ラインアウトやキックオフの空中戦で大きくアピールした。特に試合終了間際には相手ボールのラインアウトでスチールを成功させて勝利に貢献した。
LO秋山は「自分の持っている力は出し切ることができたと思います。チームから求められるものがタックルの部分。(この)1年間、タックルの精度を上げてきました。試合の中で、ディフェンスから流れをつかむことができたのでいい結果だった」と胸を張った。
また元オールブラックスのキャプテンであるLOキアラン・リード、南アフリカ代表FBウィリー・ルルー、FLフーパーといった世界的な選手と一緒にプレーしていることに関して、LO秋山は「味方にスター選手がいることは心強いですが、(そういった選手に)絶対に頼らない。自分も3人に引けを取らず前に出ようと思っています」と力強く語った。
また、この試合のMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたのは、後半19分、27-21の勝負所で、マイボールキックオフのボールをキャッチするだけでなく、トライも挙げたWTB高橋汰地(明治大出身)だった。共同キャプテンのSH茂野海人は「(高橋は)タックルもそうですが、(ボールを持って)少しずつゲインしてくれるので頼りがいがある。まだ若いですし、成長中の選手なので期待している」と称えた。
もう一人、2年目の選手として出色の出来を見せたのはサントリーのLO辻雄康だ。チーム関係者からも「秘密兵器」と評価は高い。
辻は昨年は手術の影響で1試合もでることができなかったが、2年目は練習試合からアピールし、開幕戦から先発の座を射止めた。SOバレットからオフロードパスをもらってゲインするなど力強いプレーを見せて、初出場でチームの勝利に貢献した。
他にも2年目の選手としては、開幕戦でトライを挙げたサントリーのNO8テビタ・タタフ、2019年ワールドカップの日本代表メンバーのひとり神戸製鋼WTBアタアタ・モエアキオラ(ともに東海大出身)、昨年、大活躍したパナソニックWTB竹山晃暉(帝京大出身)らもおり、上記の選手たちは新人賞の有力候補選手となるだろう。
さらに東芝のLO/FLシオネ・ラベマイ(拓殖大出身)とWTB/FB桑山聖生(早稲田大出身)、キヤノンイーグルスのWTB山田聖也(近畿大出身)、昨年最年少トライ記録を樹立した宗像サニックスブルーズSH藤井達也(ジョンマクグラシャンカレッジ出身)らも2年目の選手である。
いずれにせよ、ルーキーだけでなく2年目の選手も対象となっている今年の新人賞争いは激戦となることは必至である。