ベテルギウスの超新星爆発で地球はどうなる?最新の研究でその影響が判明
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「ベテルギウスが爆発したら地球からどう見える?」というテーマで動画をお送りしていきます。
●ベテルギウスと超新星爆発について
オリオン座のベテルギウスは、いずれ爆発すると言われている恒星です。
ベテルギウスの寿命が尽きると、超新星爆発と呼ばれる大爆発を起こし、非常に明るく輝きます。
そもそもベテルギウスとは、太陽の約700倍の大きさを持つ赤色超巨星です。
僕がTwitterで投稿した、ベテルギウスのような赤色超巨星が超新星爆発する際の最新のシミュレーション映像がこちらです。
実際の観測データをもとに作成された映像なので、このような現象が実際に起きている可能性が高いと言えます。
超新星爆発によって赤色超巨星は星全体が爆発四散し、まばゆい光を放ち、次第に消えていきます。
そして、オリオン座のベテルギウスは、2019年に劇的に減光し、明るさが3分の1ほどになりました。
当時ベテルギウスの減光は、まもなく爆発が起きようとしているためではないかと、思った方も多かったようです。
ところがその後、天文学者たちによって、ベテルギウスがすぐに爆発することはないだろうと発表されました。
通常、赤色超巨星の寿命が近くなったら、星の明るさが増すことが知られています。
明るさが増す理由は、ガスと塵によって外被が大きくなるためです。
赤色超巨星は表面に太陽よりはるかに大きな対流を持っていて、乱流により星の内側から熱い物質が上昇しています。
星内部の熱い物質が表面まで到達すると、物質の一部が宇宙へ激しく噴出されるため、一時的に明るさが増す原因になるのです。
それに対して、ベテルギウスの場合には、逆に明るさが減っていました。
どうやら研究者たちによると、ベテルギウスから放出されたガスが固まって塵となり、光を遮ったために暗く見えている可能性が高いそうです。
あくまで天文学者たちの予想ですが、最近の詳細な研究から、ベテルギウスの爆発までは最低でも10万年はかかるとされています。
しかし、星の年齢から考えると、あと10万年の寿命は、すぐの出来事です。
それに加えて、ベテルギウスは地球からとても近くにある超新星の候補となる天体であり、興味深い研究対象でもあります。
したがって天文学者たちは、ベテルギウスがいつか爆発して超新星になった際に、地球からどのように見えるかシミュレーションしました。
●ベテルギウスの爆発を地球から見た場合
米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者たちによって、ベテルギウスの爆発による正確なシミュレーションが作成されました。
なおシミュレーションの作成には、過去数百年の間で爆発した中で最も近くで発生した超新星である、「SN 1987A」の観測結果を参考にしています。
シミュレーションの結果、ベテルギウスは爆発後、短くても3か月間は、とても強い光を発することになり、その明るさは半月と同じくらいに達するだろうと計算されています。
以前どこかで言われていたように、満月の数百倍の明るさにまで到達するというほどではないようです。
半月と同じ明るさなので、昼間でさえ見えるため、世界中でその光を目にすることになるでしょう。
昼間に人間の目にも見えるのは、最初のおよそ1年間ですが、その後数年間は夜であれば肉眼で見えるそうです。
ただしこれは現時点でのベテルギウスの理解に基づいたシミュレーションです。
ベテルギウスの性質の見積もりは今後も変化する可能性があり、それに伴って爆発した時の見積もりも変化する可能性もあります。
ベテルギウスがこの長期的な光のショーを終えると、最終的には夜空から完全に消えるため、オリオンは一方の肩を失うことになります。
●ベテルギウスの爆発による影響
それでは、ベテルギウスの爆発によって、具体的に地球への影響は何かあるのでしょうか。
天文学者たちによると、予想に反して早く爆発する可能性がないとは言い切れないため、警戒する必要があると述べられています。
ただし、ベテルギウスが爆発しても、地球上の生命は無傷のようです。
爆発による放射線が生命に害を及ぼすのは、おそらく数十光年までだと言われています。
ベテルギウスは地球からおよそ数百光年離れていて、危険地帯よりもはるか外側に地球があるため安全です。
しかし、爆発によって意外な影響があると、天文学者たちは懸念しています。
天文学者たちは、地球上で起きると考えられる混乱を、3つ予想しました。
まず、地球上の多くの野生動物が、混乱する可能性が考えられます。
ベテルギウスの爆発は、月と同じくらい明るい物体が、空にもう一つ追加されるようなものです。
多くの動物は月をナビゲーション代わりにしており、月によって位置を把握しています。実際に野生動物たちは、電球や蛍光灯といった人工光のために、混乱しているのも事実です。
したがって、ベテルギウスによって強力な光が発せられれば、動物たちが混乱しても不思議ではありません。
そして、強力な光のせいで混乱するのは人間も同じで、その中でも天文学者たちに大きな影響を与えるそうです。
ベテルギウスが爆発すると、しばらく夜が明るいため、天文観測が困難になります。
具体的には、ほとんどの宇宙望遠鏡や地上望遠鏡は、今のように宇宙を観測できなくなるそうです。
よって、小さな光でも見えるように、望遠鏡を改造する必要があるでしょう。
さらに、ベテルギウスによる光のショーに、世界中の人々が注目することが予想されます。
ベテルギウスの爆発で生成されたニュートリノや重力波は、1日前から検出可能です。
事実、超新星1987Aからの可視光が地球に届く数時間前に、ニュートリノが検出器で観測されています。
つまり、ベテルギウスによる光のショーの開催が、世界中で事前に報道されるはずなので、多くの人たちがオリオン座の方向を見ながら、ショーが始まるのを待つはずです。
光のショーが始まると同時に、地球全体で歓声が上がるかもしれません。
以上のようにベテルギウスの爆発は、地球上に暮らす私たち人間を含めた生物に、影響を与えることが予想できます。
ベテルギウスは超新星候補としては非常に距離が近いため、恒星が超新星に至るまでにどのような経過を辿るかを研究するための重要な研究対象であり、内部構造も物理学的に魅力的です。
世界中が混乱に陥る可能性があるとはいっても、これまでで最も正確な超新星の分析を行うことで、天文学が発展するのにも期待せざるを得ませんし、何より世紀の天体ショーを見てみたいものですね。