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韓国プロ野球の”開幕投手が全員外国人”はWBC惨敗と無関係ではない!? 韓国人投手が育たない理由とは

金明昱スポーツライター
09年WBC決勝で登板したリュ・ヒョンジンはロサンゼルス・ドジャースでプレー(写真:ロイター/アフロ)

開幕投手に韓国選手の不在は“遺憾”

3月31日に開幕する韓国プロ野球だが、驚きのニュースが飛び込んできた。27日に開催された「2017KBOリーグメディアデー&ファンフェスタ」で10球団の監督が開幕戦の先発投手を発表。そこで全球団が外国人投手になると公表したのだ。

そこには日本に馴染みのある選手もいて、昨年DeNAに所属したザック・ペトリック(サムスンライオンズ)、昨年途中まで埼玉西武ライオンズでプレーしたアンディ・バンヘッケン(ネクセン・ヒーローズ)の名前も確認できた。

開幕投手が全員外国人となったのはリーグ史上初めてのこと。ちなみに15年シーズンの開幕戦では一人の韓国人投手(ヤン・ヒョンジョン、KIAタイガース)を除いて、9人が外国人投手だった。16年シーズンは4人の韓国人投手が開幕戦の先発マウンドに立っているが、今年は完全に外国人投手に押されてしまった。

総合ニュースサイト『メディアス(Media us)』は「韓国人投手が一人も開幕投手となれない状況は遺憾だ。開幕投手としてマウンドに上がるほとんどの外国人選手が、まだ韓国で経験のない選手。開幕戦では技量と経験豊富な韓国人投手を先発にしてもいいのではないかと思う節もある」と伝えている。

ただ、この現実は第4回ワールドベースボールクラシック(WBC)で、韓国代表が1次リーグで敗退した事実と無関係ではない。

韓国高校野球の週末リーグが弊害?

「投手の人材難は何も今に始まったことではありません。これはアマチュア野球に問題があります」

そう語るのはMBC野球解説委員のユ・ソヌ氏だ。

「メジャーリーグで活躍しているリュ・ヒョンジン(ロサンゼルス・ドジャース)、韓国屈指の左腕と呼ばれたキム・グァンヒョン(SKワイバーンズ)とヤン・ヒョンジョン。力のある3人の投手が2006、07年にすい星のごとく登場したあと、スター選手は出てきていません。アマチュア、いわゆる高校野球に問題があるのです。基本的な技術不足もそうですが、選手が育たないのは“週末リーグ”があるからです」

大韓野球協会主催で2011年から高校野球のリーグ戦がスタートした。約50校が地域のリーグ戦でしのぎを削り、成績の良かったチームがトーナメント方式の全国大会に出場するといった形。たくさん経験を積む場所があるのは、選手の実力を伸ばすためにも良いことと思えるのだが……。

「経験は大事です。ただ問題なのは、リーグ戦が始まると一週間に1~2試合なので、エースだけを出してくるチームが現れます。一人の投手に依存する戦略を取るため、その選手は当然酷使されます。仮にその投手がプロになると、そのほとんどが1年も経たないうちに手術するケースが多いのです。一方で、主力ではない投手は試合に出られないので、プロになるのも難しい。つまり、高校野球の選手層は年々薄くなり、その結果、プロになってもスター選手が誕生しないという悪循環に陥るのです」

WBCで惨敗した韓国に足りないのは「投手力」とチームを率いたキム・インシク(金寅植)監督も認めていた。一朝一夕で解決できるものではないが、韓国の大型投手の発掘は急務のようだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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