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危機管理や人間関係に大切な「バウンダリーズ」とは?

ピッグママチャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー
Photo:pixabay

「バウンダリーズ(boundaries)」という言葉をご存知でしょうか。日本語では「境界」「範囲」「限界」などと訳され、心理学では”自分と他者を区別するための心の境界線”を指します。この境界線が曖昧になることで、どちらかに負担がかかってしまったり、依存関係が生まれることにつながったりもします。危機管理や人間関係においても大切な「バウンダリーズ」について学んでみましょう。

「バウンダリーズ」は幼少期から育んでおきたい意識

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一般的には、大人になるにつれて段々と”個”ができあがり、自分と相手との境界線がはっきりしていきます。しかし、子どものうちは基本的に他者との距離感が近く、バウンダリーもまだ曖昧なものです。また、幼少期に親子間での関係に葛藤があったり、他人に攻撃されて怖い思いをしたり、大切な人を失ったといった体験が、大人になってからも、適切な距離感がわからず、曖昧で脆弱なバウンダリーを抱えて生きているといったケースにつながることも少なくありません。

子育て中の母親が感じる"孤独感"や"不公平感"もバウンダリーに関係するものではないかと考えられます。例えば、「育休を取得し仕事を休むのは母親なら当然」といった考えかたや、「子どもが発熱したら仕事を休んで病院に連れて行くのはママの役目」などといった夫婦間の”暗黙のルール”や社会の”風潮”みたいなものが、母親にとっては負担となっていることは事実でしょう。

こんなときは気をつけよう

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頼んでもいないのに「あなたのため」と押し付けがましくアドバイスしてくる、やたらとマウントを取ってくる、都合を考えずに長話してくる、周りにこういった人はいないでしょうか。知らずのうちに、誰かにしてしまっていることも少なくありません。最近では、SNSでの投稿が他人を悩ませたり、落ち込ませたりするなんてこともあります。

また、仕事において、自分だけ仕事量が明らかに多い、部下や後輩に仕事を任せられない、理不尽な要求に対応してしまう、給料が仕事に見合っていないなどといった問題はないでしょうか。「電話対応やお茶汲みは女性がするもの」といった考えかたや風潮は、まだまだ残っていますよね。共働きであるにも関わらず、家事や育児の負担が母親に多いのも事実でしょう。

親子関係はどうでしょうか。親の顔色ばかり伺っている、期待に応えなければと思いながら生きている、子どもがやるべきことを親がやってしまう、あるいは親がやるべきことを子どもがやってはいないでしょうか。子どもに自分の理想や価値観を押し付けてはいないでしょうか。

心の境界線を作るために必要なこと

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バウンダリーの問題というのは、心の境界線を越えてきたときに「NO」と言えない、他人に支配されやすい、相手との境界線を設定するのが難しいなどがあります。恋愛において、相手からの愛を受け入れることが難しく、深い関係になることを避けようとしたり、自分の意見を主張することが苦手といったこともあるでしょう。

また、「No」と断られたことを受け入れられない、強引あるいは意図的に相手の境界線を侵そうとしたり、相手に罪悪感を植えつけようとする支配的なタイプもあります。はっきりと自分の意思を示すことができない、責任を持つことに対して抵抗する、自分で責任を取ろうとせず、相手に委ねる人も注意が必要です。

①バウンダリーの薄さ、問題に気づく

相手との境界線の薄さ、問題に気づくことで、相手との関係や自分の状況を俯瞰してみることができます。常に「私がなんとかしてあげないと!」と思う、居心地の悪さを感じる、断ることに罪悪感を覚える、人付き合いを避けようとしているときなどは、一度相手との距離感を考えてみましょう。

② 自分の時間をつくる

人と会う機会が多かったり、予定が詰まっているときほど、バウンダリーが薄く曖昧になる機会も増えがちです。自分を労る時間を作り、 自分の心の声に耳を傾けてみましょう。自分のニーズを無視して、相手のニーズを優先してしまうと心の負担は増えてしまいます。自分と向き合う習慣を身につけることで、自然と境界線についても考えられるようになっていくでしょう。

③「iメッセージ」を意識する

コーチングにおいてもよく使われる「i(アイ)メッセージ」は、日常生活でも取り入れやすいと思います。自分の意見や気持ちを言葉にする際に、「わたし」を主語にして話してみましょう。例えば、「私は賛成(もしくは反対)だと思う」など。こういったコミュニケーションスキルは、相手に明確に意思表示ができることはもちろん、「自分はこう思っているんだ」「これをされると嫌なんだ」など、自分にとって大切な価値などを知るのにも役立ちます。

さいごに

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バウンダリーズ(心の境界線)は、目で見て確認することができません。子どもに説明するときは、「両手を広げた範囲はあなただけのスペースだよ」などとイメージしやすいように話してみるとよいでしょう。その範囲に入ってくる大人がいたら警戒するという姿勢が大切です。

日頃から、会話の中でも「YES」「NO」を意識し、自分の考えや意見を発言することも有効です。「私はこう思うけど、どう思う?」という関わりかたや、コミュニケーションをする習慣があるといいでしょう。そうすることで、多様な考えかたがあることにも気づけるでしょう。

チャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー

一児の母として、コーチングや心理学を子育てに応用する方法などを発信。産後うつや育児ノイローゼを経験し、発想の転換や思考の癖などを理解することで克服。実践しやすい「育児や人間関係の問題」に役立つ物事の捉えかたを一緒に考えていきましょう!

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