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「大谷翔平ボディ」化はいったん封印。2・1離脱から復帰したソフトバンク渡邉陸の新たなる計画

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンク・渡邉陸。バケモノのような選手になると意気込む(筆者撮影)

【5月2日 3軍定期交流戦 ソフトバンク5-8愛媛マンダリンパイレーツ タマスタ筑後】

 福岡ソフトバンクホークス6年目の大型捕手、渡邉陸が4月下旬の3軍・韓国遠征から実戦復帰を果たしている。

 キャンプ初日に悔しい離脱をしていた。2月1日の打撃練習で左背部に痛みを訴えて病院に行くと、「左第1肋骨(ろっこつ)疲労骨折」と診断。長いリハビリを余儀なくされていた。

韓国遠征で復帰

 韓国遠征中は5試合に出場。そして5月2日、今年初めてファーム本拠地・タマスタ筑後で試合(3軍戦・対愛媛マンダリンパイレーツ)に出場した。「3番捕手」でスタメン。出場選手の多くが育成選手という中で格の違いを見せたいところだったが、一ゴロ、二ゴロ、中飛、一ゴロと4打席すべて凡退に終わった。復帰後は15打数2安打。まだ本調子を取り戻すことは出来ていない。

「1打席目は走者を進められて最低限のことは出来ましたが、まだ自分の中のストライクゾーンと実際のゾーンとのズレがあったり、まだまだです。今はまず初球から積極的に振っていくということを考えてやっています」

一昨年に衝撃の活躍

 身長187センチの大型捕手。育成ドラフト入団も3年目に支配下登録されると、4年目だった2022年には1軍デビューを果たした。そしてプロ初スタメンだった同年5月28日の広島カープ戦の第1打席で森下暢仁からプロ入り初安打となる3ラン本塁打を放つと、続く打席でも左翼方向へ2打席連続本塁打をマークする離れ業をやってのけた。その衝撃的な活躍で「猛打の捕手」として期待が高まったが、昨シーズンは一転して1軍出場なしと悔しいシーズンになっていた。

「去年のことを無駄にしないように、オフの間は今までの野球人生の中で一番頑張ったというか、常に野球のことを考えて過ごしたオフでした」

 その一端が肉体改造だった。

「メジャーリーガーを見ているとみんなデカい。何か変えないきゃと思って、まずは体を大きくしようと思いました」

 昨年は92キロほどだった体重を、1日7回の食事や睡眠時の姿勢にもこだわるなどして100キロ超まで増やした。

100キロボディいったん卒業のワケ

「自分は捕手なので守備も大事ですが、やっぱりバッティングが好きなのでそこを生かしながら。いろんな海外の選手や日本のトッププレーヤーの打撃動画を見てモチベーション上げるというか、ここを目指そうと思いながらやってます。特に見ているのは大谷翔平選手です」

 オフの頃にはそのように話していた。そんな矢先、キャンプ初日に離脱。「一気の体重増が体の負担を大きくしたのが少なからず原因だったと思っています」

 そのため100キロボディは「卒業しました」ときっぱり。

「段階的に大きくしていければ。今は97キロくらい。今年はこれで」

 それでも昨年よりパワーアップ。打撃練習では172キロを計測した。プロ1軍の最低条件とされる160キロ超を軽々超えている。

「ここからはもう毎日、毎試合が勝負というか、出せるものを全部出そうと思ってやっています。結果はもちろんいいものをアピールしていきたい」

 現在の立ち位置はまだリハビリ組だが、この3軍の連戦の状況を見てリハビリからも卒業出来る予定だ。

ソフトバンク山本、勝連が2安打2打点

【交流戦 タマスタ筑後 333人】

愛媛     `000302021 8

ソフトバンク `200003000 5

<バッテリー>

【MP】ピダーソン、麻田、立本、土居、羽野――島原

【H】井崎、宮里、藤原、星野――渡邉陸、盛島

<本塁打>

なし

<スタメン>

【MP】6塚本 D岩浪 4上野 7浅井 9漆原 2島原 3石垣 8高橋 5西原

【H】5藤野 8重松 2渡邉陸 9山本 7石塚 4桑原 6勝連 D伊藤 3三代

<得点経過>

1回裏【ソ】山本の2点タイムリー(ソ2-0愛)

4回表【愛】浅井の適時打などで同点。島原が勝ち越し適時二塁打(ソ2-3愛)

6回表【愛】石垣の2点二塁打(ソ2-5愛)

6回裏【ソ】勝連の2点三塁打。伊東が同点の適時打(ソ5-5愛)

8回表【愛】一塁手・佐久間のタイムリーエラー。島原が適時打(ソ5-7愛)

9回表【愛】1アウト満塁から内野ゴロの間に追加点(ソ5-8愛)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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