メジャーデビューしたばかりの新人が敬遠四球で歩かされる。それほどすごい打者なのか
3月28日、ワイアット・ラングフォード(テキサス・レンジャーズ)は、開幕戦に「5番・DH」としてメジャーデビューし、最初の打席は見逃し三振に終わったものの、2打席目にセンター・フライで初打点を挙げ、3打席目に遊撃へのゴロで初安打を記録した。そして、迎えた4打席目。同点の8回裏、2死二塁の場面だ。ラングフォードは、敬遠四球で出塁した。
シカゴ・カブスのクレイグ・カウンセル監督は、デビューしたばかりのラングフォードではなく、次のヨナ・ハイムとの勝負を選んだ。ハイムは、スイッチ・ヒッターの捕手だ。昨年は、出塁率こそ.317ながら、18本のホームランを打った。
また、大谷翔平(当時ロサンゼルス・エンジェルス/現ロサンゼルス・ドジャース)との対戦では、過去3シーズンに17打数7安打(打率.412)を記録し、ホームランも1本打っている。それも、グランドスラムだ。大谷がメジャーリーグで打たれた満塁本塁打は、今のところ、ハイムによる1本以外はない。
ラングフォードが一塁に達した後、ハイムは、二塁ゴロに討ち取られ、イニングは終わった。
MLB.comのサラ・ラングスによると、メジャーリーグ初出場の試合で敬遠四球は、2020年のダニエル・ジョンソン以来だという。それほど、昔のことではない。また、カウンセル監督が歩かせるように指示したのは、ヘクター・ネリスがラングフォードに3球を投げ、いずれもボールと判定された後だ。
3-0のカウントに加え、カウンセル監督は、ラングフォードとハイムのスピードを考慮した可能性もある。ラングフォードが右打者であるのに対し、ハイムは左打席に立つ――ネリスは右投手――が、ラングフォードは、3打席目の内野安打でスピードを披露している。
だが、敬遠四球の理由がカウントやスピードであったとしても、ラングフォードは、5番打者としてデビューした。
昨年のドラフトで全体4位指名を受け、レンジャーズに入団する前は、フロリダ大で通算134試合に出場し、47本塁打と出塁率.471、OPS1.217を記録した。プロ入り後も、マイナーリーグの44試合で10本塁打と出塁率.480、OPS1.157。サンプル数はわずかながら、ルーキークラス、A+、AA、AAAのいずれでも、出塁率は.420を超え、OPSは1.060を上回った。今春も、開幕前のスタッツは、21試合で6本塁打と出塁率.423、OPS1.137だった。
これから、幾度となく歩かされる打者になっていくのかもしれない。
なお、ラングフォードは、こちらも同点の10回裏、1死満塁の場面で、5打席目に立った。当然ながら、ここでの敬遠四球はあり得ない。ラングフォードは、三塁ゴロ(本塁封殺)に仕留められた。
その2球後、ハイムは、2人の外野手、センターとライトのほぼ真ん中へ打ち返し――他の場面であれば、確実に長打となっていた――試合を終わらせた。