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ガンバ大阪がナビスコ杯決勝で逆転勝ちできた戦術的理由

杉山茂樹スポーツライター

監督として獲得した初のタイトル。試合後の記者会見で、優勝を飾ったガンバ大阪の長谷川監督は、たいそう嬉しそうだった。

ガンバ大阪がサンフレッチェ広島に逆転勝ちを収めたナビスコ杯決勝。ガンバは立ち上がりから広島にペースを握られ、前半35分までに2点のリードを許した。

こうした場合、広島がよかったという見方と、ガンバが悪かったという見方と、原因は2つに別れるが、僕の見立てでは後者。ガンバの苦戦は、まさにその内的要因に立脚していた、となる。

ガンバの躍進の要因と言えば、1にパトリックの決定力、2に遠藤、今野両ベテランの存在感、3に宇佐美の成長、4に両サイドハーフ、阿部、大森の成長等々が挙げられる。

しかし、10月10日発行のメルマガでも述べたように、それは個人の問題と言うよりスタイルの問題にあると僕は見る。幅のあるサッカー。左右に奥深さがあるサッカー。もちろんそれは、4番目の理由と深い関係があるが、布陣にはサイドハーフを置かないという選択もあるので、まずありきは監督の意志になる。早い話が、長谷川監督の目指すサッカーに好感を抱いたのである。

だが、この目指すサッカーは、普遍的なモノではない。たまに変わる。このナビスコ杯決勝がそうだった。スタメンに目をやれば、大森の名前はなかった。事前情報として耳にしていたので、驚くことはなかったが、少しばかり落胆したことは事実だった。いつものようなサッカー、簡単に言えば、面白いサッカーは拝みにくくなったと感じたからだ。その魅力は、躍進の原動力そのものと考えていたので、ガンバ苦戦も同時に予想した。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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