フランス直撃の爆弾低気圧は『アレックス』誰が付けた名前なの?
急速に発達した低気圧、いわゆる「爆弾低気圧」が、2日(金)フランス北西部を直撃しました。
中心気圧は12時間で29hPaも下降し(996hPaから969hPa)、暴風が吹き荒れました。ベル・イル島では56m/sの最大瞬間風速が観測され、建物が損壊しています。
記録的な大雨も観測されました。サン・マルタン・ヴェジュビーでは、3か月分の雨量に相当する500.2ミリの大雨が24時間で降ったほどです。
この悪候により、フランスとイタリアでは少なくとも9人が死亡、21名が行方不明となっているもようです。
ところで、フランス気象局はこの低気圧を「アレックス(Alex)」と命名しています。欧州では強い低気圧に名前が付けられることがありますが、一体どのような基準で、どういった名前を付けているのでしょうか。
名前の付け方
欧州で強い低気圧に名前を付けるようになったのは、2015年からです。イギリス気象庁とアイルランド気象庁が始め、その後フランス、スペイン、ポルトガルの各気象機関も加わり、2019年からはオランダ気象機関も参加しています。
では、どのような低気圧に名前が付けられるのでしょう。
特に「強風」をもたらす可能性のある強い低気圧に名前が与えられます。ただ時に、大雨や大雪をもたらす低気圧にも名前が付けられることもあるようです。
どのような名前があるのでしょうか。
名前のリストは毎年2つ用意されています。下のリストは、イギリス、アイルランド、オランダの3国の命名リストです。フランス、スペイン、ポルトガルの3国も、共同の別のリストを持っています。
リストは毎年9月1日に更新され、低気圧によって影響を受ける国が、リストに並んだ順に名前を付けていく仕組みです。
その他の命名例
複雑なことに、上記の機関以外にも、ドイツのベルリン自由大学も低気圧や高気圧に独自の名前を付けています。アレックスも、ドイツでは「ブリジット」という名前で呼ばれていましたから、ややこしいことになっています。
ただ面白いことに、ベルリン自由大学の命名権はお金で売買でき、高気圧だと4万5千円、低気圧だと3万円で買えるようです。(ご興味のある方はこちらから)
日本でやったら?
日本でも低気圧に名前をつけてみたらどうでしょう、そんな疑問もわいてきます。たとえば、低気圧「さやか」などといったように。ただ、嵐に人の名前を付けることに慣れていない我々にはどうもしっくりきません。
では、現代の名前がだめなら、万・億・兆・京など漢数字、もしくは卑弥呼・家康といった歴史上の人物の名前などはいかがでしょう。個別の名前を付けることで、一定の注意喚起につながる可能性もあると思うのですが、どうでしょうか。