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5月の夏日 記録的ハイペース

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
東京、5月の夏日は記録的な多さ(高橋和也氏撮影:東京・北の丸公園)

今年、東京の5月の夏日(最高気温が25度以上の日)は5日となり、5月上旬としては記録が残る明治9年以降で5番目に多い。全国の夏日も突出して多く、冬から続く高温は衰える気配がない。その背景に日本の南海上で高気圧が強いことがある。エルニーニョ現象は終盤を迎えているが、その影響力は今なお続いている。

5月の夏日はまあ普通です

天気の番組を担当していると、これこれは珍しいのでしょうか?とよく聞かれます。天気に携わっている年月が長いので、大概のことには驚きません。先日も、5月の夏日は珍しいのでしょうか?と聞かれ、まあ普通ですと答えてしまいました。

しかし、よく考えてみると、大型連休のこの時期に、どのくらい東京で、そして全国で夏日になるのか、よく知らないのです。

東京における5月上旬の夏日の日数 多い方順位
東京における5月上旬の夏日の日数 多い方順位

東京の5月、一か月間の夏日の数は平年で9.3日です。今月はきょう(8日)で5日となりました。まだ平年の半分ですが、5月は後半に向かって暑くなることを考えれば、多いと言えるかもしれない。

そこで、5月上旬だけに限って調べてみると、記録が残る明治9年(1876年)以降で、5番目に多いことが分かりました。最も多い記録は1969年の8日です。

次に、全国はどうでしょうか?

今月1日から7日まで、全国で夏日を記録した地点数はのべ1609か所に上り、すでに昨年(2015年)に迫る勢いで、2014年と比べると2倍以上です。

昨年5月は北日本、東日本で1946年以降、最も気温が高くなりました。手元に2014年から2015年までのデータしかないため、断定的なことは言えません。しかし、昔よりも今の方が気温が高くなっていることを考えれば、今年の夏日の数はハイペースで増えていると思います。

このあとも夏日は続くのでしょうか?

全国の週間予報(9日から15日まで,8日11時発表:気象庁)
全国の週間予報(9日から15日まで,8日11時発表:気象庁)

最新の週間予報(8日11時発表)によると、あす(9日)から水曜日(11日)にかけて天気が崩れる(くもりや雨)ため、気温は低くなる見通しです。

しかし、今週後半、再び晴れるようになると、西日本と東日本の各地で25度以上の夏日が予想されています。13日(金)は京都で30度、真夏日の予想です。

そもそも、気温の高い状態は冬から続いていて、本格的な暑さを前に、衰える気配がありません。直接的には日本の南で高気圧が強く、暖かい空気がいつも以上に、日本列島に流れ込んでいることがあります。

ではなぜ、高気圧が強いのか?

それには赤道付近の海や天気が大きく関係しています。最大級と騒がれたエルニーニョ現象は終盤を迎え、まもなく平常な状態に戻る見通しです。すべてがエルニーニョのせいばかりではないけれど、今なお影響力が残っているようです。

【訂正】2016年5月20日

夏日と真夏日を取り違えて比較したことがわかり、3段落「次に全国ではどうでしょうか?」の文章を一部訂正しました。

たいへん失礼しました。お詫び申し上げます。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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