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ヘンリー王子、メーガン妃がSUSSEX ROYAL商標登録出願を取り下げ

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:英国知的財産庁ウェブサイト

英王室が、王室離脱するヘンリー王子夫妻に対して、王室の一員であることを表わすSUSSEX ROYAL等の商標の使用を許可しなかったことは周知かと思います(参考記事)。その動きに合わせて王子夫妻の財産管理団体であるSussex Royal The Foundation Of The Duke And Duchess Of Sussexが英国知的財産庁に出願していた商標登録出願SUSSEX ROYAL(UK00003408516)、および、SUSSEX ROYAL THE FOUNDATION OF THE DUKE AND DUCHESS OF SUSSEX(UK00003408521)が2月25日付けで自発的に取り下げになっていました。また、この出願を基礎とした国際商標出願(マドリッド・プロトコル出願)が、オーストラリア、欧州連合、カナダ、米国を指定して出願されていましたが、基礎出願の取り下げに伴い、各国への出願も自動的に取り下げになります(これは、マドリッド・プロトコルの規定によります)。

権利化を望まないだけであれば、登録料を払わない、ないし、知的財産庁からの要求に応答しなければよいのですが、自発的権利放棄を行なうことで、王室との良好な関係を維持したいということかと思います。

上記の参考記事によると、

夫妻は声明のなかで、「女王は英国以外での言葉の使用を禁止する“権限を持たないが”…」と述べ、王室の決定に疑問を持っていることをうかがわせている。

とのことです。確かに商標制度は基本的に各国で独立していますので、たとえば、日本でSUSSEX ROYALを使用することに対して英王室が商標権的な権利を行使することは困難です。しかし、英王室は、別に国の制度に頼るまでもなく「世界のどこでもSUSSEX ROYALの名前を使ったら仕送りを止める」と言えば済む話なのであまり意味のある主張ではないと思います(要は法律がどーしたこーしたの話ではなく、王室と夫妻との力関係の問題です)。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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