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セックス・ピストルズのポール・クック率いるザ・プロフェッショナルズが2018年12月に初来日公演

山崎智之音楽ライター
The Professionals /courtesy Vinyl Junkie

セックス・ピストルズのポール・クック率いるザ・プロフェッショナルズがスーパーグループに生まれ変わって、師走の日本を襲撃する。

<短命だった伝説のUKパンク・バンドが復活>

1979年にセックス・ピストルズが解散、ドラマーのポール・クックとギタリストのスティーヴ・ジョーンズが結成したのがザ・プロフェッショナルズだ。

『炸裂』ジャケット/courtesy of Universal Music
『炸裂』ジャケット/courtesy of Universal Music

彼らは1981年11月にアルバム『炸裂 I Didn't See It Coming』を発表するが、それと同じ週にメンバー達の乗った自動車が事故に遭い、活動休止を余儀なくされる。その間にドラッグにはまったメンバーがいたりしてバンド継続が不可能になり、1982年にあっさり消滅することになった。

バンドは短命だったが、彼らはUKパンク・ロックの歴史において“伝説”となってきた。「ジャスト・アナザー・ドリーム」のミュージック・ビデオはバンドが巨大化してロンドンで暴れまくり、それを日本人観光客がカメラでパシャパシャ撮影するという内容だったが、バッキンガム宮殿を踏み潰さんばかりに巨大メンバー達が演奏するシーンが“さすが元セックス・ピストルズ!”と感心させた。

1990年代に入って『炸裂』以前にレコーディングされた幻のファースト・アルバム『The Professionals』が公式リリースされるなど、彼らが忘れられることはなかった。

そして2015年にはバンドの全音源を3枚組CDに収めた『The Complete Professionals』が発売。それに合わせて再結成が実現することになった。スティーヴ・ジョーンズは不参加だったものの、ポールとの関係は良好で、2017年に発表された再結成アルバム『What In The World』ではゲスト扱いでギターを弾いている。

この『What In The World』は元THE YO-YO'Sのトム・スペンサーをギター兼ヴォーカルに迎え、ザ・カルトのビリー・ダフィーやデフ・レパードのフィル・コリン、ガンズ&ローゼズのダフ・マッケイガン、ザ・クラッシュのミック・ジョーンズ、アダム&ジ・アンツのマルコ・ピローニらがゲスト参加する豪華なアルバムで、気合いの入ったパンク&ロックンロールで吹っ飛ばす快作だった。

courtesy of Vinyl Junkie Recordings
courtesy of Vinyl Junkie Recordings

<UKパンク界のスーパーグループとなって初来日>

そして2018年12月。ザ・プロフェッショナルズにはさらにメンバー交替があり、歴戦の強者たちが揃った最強ラインアップで初来日公演を果たすことになった。

トム・スペンサー(ギター&ヴォーカル)はザ・ワイルドハーツのダニー・マコーマックが結成したTHE YO-YO'Sのメンバーとしてその実力を知られるようになったミュージシャンだ。今回の来日ではザ・プロフェッショナルズの金看板を背負ったフロントマンとして、その本領がさらに発揮されるだろう。

クリス・マコーマック(ギター)はそのダニーの弟...というより、3カラーズ・レッドで活躍した実力派だ。1990年代にはオアシスやプライマル・スクリーム、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインでおなじみ『クリエイション・レコーズ』のアラン・マギーが彼らに惚れ込んで獲得、「ビューティフル・デイ」「ニュークリア・ホリデイ」などが全英チャートを騒がせた。2004年のドゥノッツとの来日公演の後にバンドは解散、クリスはゲイリー・ニューマンやアダム・アントのバンドで活動してきたが、彼がどんな進化を遂げてきたか、興味が尽きない。

Toshi(ベース)は千葉県船橋市出身、ロンドン在住のベーシストで、ジンジャー・ワイルドハート率いるヘイ!ヘロー!、そしてアンチプロダクトなどで活動してきた。

それにポールが加わった4人はそれぞれ異なるバンドで来日ライヴを行ったことがあり、どうすれば日本の観衆を盛り上げることが出来るかを身体で心得ている。バンド名通りプロフェッショナル集団である彼らのステージは、師走の東京を燃え上がらせずにいない。

日本でどんな曲が演奏されるかは当日のお楽しみだが、再結成以降の英国のライヴでは「ペイヨラ」「ジャスト・アナザー・ドリーム」「1-2-3」「ジョイン・ザ・プロフェッショナルズ」などのクラシックスを連打。さらにセックス・ピストルズの「シリー・シング」も披露されている。

“伝説”の座にアグラをかくことがない、熱気あふれるUKパンク&ロックンロールを真の“ザ・プロフェッショナルズ”が食らわす初来日公演。クリスマスの一足先に、パンク・サンタが強烈なプレゼントを投下してきた。

【公演概要】

●2018年12月5日(水)

THE PROFESSIONALS 40TH ANNIVERSARY SHOW

OPENING ACT: 流血ブリザード

会場:東京 渋谷WOMB

OPEN 18:00/START 19:00

日本公演特設サイト

https://www.creativeman.co.jp/event/the-professionals/

●2018年12月6日(木)

THE PROFESSIONALS vs ギターウルフ

会場:東京 代々木 Zher The Zoo

OPEN 18:30/START 19:00 

courtesy of Vinyl Junkie Recordings
courtesy of Vinyl Junkie Recordings
音楽ライター

1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,300以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検1級、TOEIC945点取得。

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