オランダに勝利!緊迫した90分間でなでしこジャパンが見せた確かな成長の跡(2)
オランダに遠征中のなでしこジャパンは現地時間の6月9日(金)にオランダ女子代表と親善試合を行い、FW横山久美のゴールで1-0で勝利した。
オランダに勝利!緊迫した90分間でなでしこジャパンが見せた確かな成長の跡(1)
以下、オランダ戦後の監督・選手コメント。
【監督・選手コメント(オランダ戦前)】
高倉麻子監督
ーー試合を振り返っていただけますか?
いろいろなことを試しながら、勝てたことは収穫です。選手たちも(試合後は)良い顔をしていました。最後は押し込まれましたけれど、「勝ち切ること」をテーマにした中で、しっかり耐えて、勝って(チームが)前進できるという点では良かったです。
ーー試合ではどのようなことがポイントだったとお考えですか?
コンパクトな陣形を保ちながら守備をやっていく中で、縦の距離感や横のスライドも意識して、できていました。あとは、シンプルに1対1で、相手の7番(FWシャニセ・ファン・デ・サンデン)とか9番(FWビビアン・ミーデマ)とか10番(FWダニエレ・ファン・デ・ドンク)のところで粘り強く対応できたと思います。ボールの動かし方では、前で相手の圧力をかわすようなコントロールやボールの動かし方ができれば、もうちょっとゴールシーンまで行けるのではないかと思います。最後のところでよく耐えて、このチームの最大の課題である、「勝ち切る」というところはクリアできました。
ーー横山久美選手のゴールについてはいかがですか?
彼女のゴールエリアの中での一発というのは特殊な能力だと思うので、大事にしたいですね。どの選手も良さと課題がありますが、彼女の良さである得点というところでは、一番いい仕事をしてくれました。
ーー途中出場で、ジョーカー的な役割を期待したのでしょうか?
いえ、途中で入れて相手が疲れた時に、ということではなく、あくまでも、今チームを作っている中で、いろいろな選手にチャンスを与えています。最初から出る選手と途中から出る選手は、それぞれに役割はありますけれど、今はフラットに見ています。次の(ベルギー戦)ゲームも、先発(メンバー)は結構、変わると思います。いろいろな選手に、先発の雰囲気と、途中から入る難しさというのを味わってもらって、その中で自分の良さや、チームの中で何をすれば良いのかということを捉えてほしいと思っています。
ーー前線からの守備についてはいかがでしたか?
海外のゲームでは捕まえに行くと裏に蹴られることがあって、ジレンマではあるのですが、まず、コンパクトにはめて奪いにいくというところからスタートして、はまらなかったら、どこにポジションを取るかということや、(裏に)蹴られる瞬間の準備で対応できていれば、それはそれで問題ないです。1対1で対峙するところはそれほど怖さを感じなかったですし、裏に蹴られても、分かっているボールに対して競り合う場面が多く、その点でチームの守備はできていました。個人では細かい修正点がたくさんあるので、映像を見て、個人の課題とチームの課題に、また取り組んでいきたいと思います。
ーー交代カードの切り方についてはどのようなプランだったのでしょうか。
6枚代えられる状況で、ハーフタイムに代えたいところは感じてはいたのですが、ちょっと引っ張りながら、少しずつ(カードを)切っていきました。
ーーそれは経験を積ませたいという意図もあったのでしょうか?
そうですね。いつまでそういうやり方をするか分からないのですが、いろいろな選手に出場機会やチャンスを与えながら、競争してもらいたいと思っています。選手は昨日は良くて今日は悪い、ということもありますので。そういうことも含めて、自分でコントロールできるようになってもらいたいですね。
FW 横山久美
ーー試合に入ってすぐにゴールを決めました。あのゴールを振り返っていただけますか?
(ピッチに)入った瞬間に、(阪口)夢穂さんと(中島)依美さんに、「フリーキックを蹴って」と言われて、ちょっとびっくりしたのですが(笑)。ただ、惜しいシュートだったので、うまく流れに乗れたかなと思います。
ファーストタッチは悪かったのですが、ターンが良かったので前を向くことができました。アウトを狙ったわけではないのですが、綺麗に決まってくれてよかったです。
ーーどのようなことを意識して試合に入りましたか?
とにかく、「点を獲れ」と言われて入ったので、そのことしか考えていなかったです。ここ(オランダ)に来てからずっと、シュート練習でも決まる確率が高かったので、思い切って足を振って、狙いにいきました。前半に出ていた選手たちが相手を疲れさせてくれていたので、あまり(オランダの)プレッシャーがなかったんです。一人では点は獲れないですし、チームで戦えた結果だと思います。
ーー今年3月に行われたアルガルベカップで対戦した時と比べて、オランダ代表はいかがでしたか?
アルガルベの時は、立ち上がりに勢いを持って攻撃されたイメージがあったのですが、あの試合をやっていた分、うまく対応できたと思います。
ーー相手の良さを消せた手応えはありましたか?
そうですね。サメ(鮫島彩)さんが、相手の7番(ファン・デ・サンデン)に突破されなかったのは大きかったです。サメさんじゃないと(対応は)無理でしたね。
ーー(7月に移籍する)フランクフルトで、チームメートとしてプレーすることになる選手(MF ジャッキー・フレーネン)もいましたが、意識しましたか?
試合中、ちょいちょい話しかけてきたんですけれど、何を言っているか分からなかったので(笑)、笑顔で対応していました。本当に、楽しみですね。
DF 大矢歩
ーーフル出場した試合を振り返っていかがですか?
試合に長く出られたことは嬉しいことですが、自分の課題も見つかったので、もっとチャレンジしていきたいと感じました。
ーー見つかった課題はどのようなものでしたか?
守備面で、前の選手を動かしたり、カバーをすることなどです。たくさん課題が見えたので、しっかり修正していきたいです。
ーーこの試合では、どのようなことを意識して臨みましたか?
自分の強みや持ち味を積極的に出してみようと思ってチャレンジしましたが、仕掛ける部分では、まだまだいけたかな、と感じました。
ーー日本代表のユニフォームを着てピッチに立って、どのように感じましたか?
代表としての自覚を持つことは大切だと思いますし、これから、もっともっと、こういう機会を増やしていきたいという強い気持ちが芽生えました。
ーー今回のヨーロッパ遠征で、残りの代表活動に向けての意気込みをお願いします。
(個人的には)サイドで攻撃面でチャレンジしたり、(周りには)経験の豊富な方がいるので、たくさん話を聞いて、たくさん吸収して帰りたいです。
DF 熊谷紗希
ーー今日の試合を振り返っていかがですか?
前半のうちに1点欲しかったのですが、後半の良い時間帯に得点できたことと、最後は押し込まれて苦しい時間帯もありましたが、チームで守ってゼロに抑えられたことは、すごく良かったです。
ーーオランダの攻撃陣の良さを消す上で、どのようなことを意識していたのでしょうか?
何度も対戦している相手でしたし、自分たちがアルガルベでやられた形はうまく修正しながら、相手のストロング(ポイント)である7番(ファン・デ・サンデン)のところを抑えられたところは、話し合って修正できました。
ーー昨日(6日)の練習で、大矢選手にいろいろアドバイスをしていましたが、どのような話をしていたのでしょうか?
大矢は、そもそもサイドバックの経験が多くないですし、迷っている部分がある中で、紅白戦では結構、やられているところもありました。ただ、やられて学ぶこともあると思うし、私の要求を聞きながら、うまく割り切ってやって欲しいなと。サイドバックをやって、1日、2日でうまく行く、なんてことにはならないと思います。その中で、今日は彼女の良さが随所に見えたと思うし、彼女自身も、思い切ってプレーできていたと思います。私たちが何かを言うのではなく、のびのび、その選手たちの良さが出るように、ということは私も目指しながらやっていました。今後、(大矢選手が)サイドバックでプレーするかどうかは分からないですけれど、自信になれば、(チーム)内部での競争も激しくなると思います。
ーー4月(のコスタリカ戦)からあまりメンバーを変えていない中で、キャプテンとして、チームが前進している手応えはありますか?
チームが前進していることは間違いないと思います。なかなか勝ちきれていなかった中で、今日はゼロで抑えて、勝利できたことは次につながると思います。ただ、自分たちの良い時間帯がすごくあったのですが、最後の押し込まれた時間帯にどう戦っていくかは、もっと詰めていけるところだと思います。
DF 市瀬菜々
ーー試合を振り返っていかがですか?
やっぱり、高さのところでは勝てなくて、相手に先にボールを触られたことも多かったのですが、インターセプトは高さは関係ないので、その部分は出せて良かったです。ただ、後半はもっとできたのではないかと思います。まだまだ、という気持ちはありますが、今日の試合で出た課題を、これからの練習につなげていきたいと思います。
ーー熊谷選手とのコンビネーションでどのようなことを意識しましたか?
ラインの上げ下げのところも、今日はできていたと思いますし、自分がチャレンジしたらカバーしてくれるので、安心して(前に)いくことができました。
ーー(オランダのビビアン・)ミーデマ選手や、スピードのある選手との1対1の場面ではどのようなことを意識していましたか?
ほとんど、(熊谷)紗希さんやサメ(鮫島彩)さんが止めてくれていたので、その後のカバーをできたらいいなと考えてプレーしていました。
ーーAマッチは2試合目ですが、いかがでしたか?
最初(に代表で出場した)のコスタリカ戦よりは、だいぶ緊張がほぐれていたかなと思います。
GK 山下杏也加(オランダ戦翌日)
ーーオランダは裏を狙ってくる中で、どのようなことを意識してプレーしていましたか?
(試合は)グラウンドに水がまかれた後で、結構、スリッピーだった中で、足が速い7番(FWファン・デ・サンデン)がスペースを狙ってきたので、自分もチャンスがあれば相手のボールをカットして、(オランダの最終ラインの)裏のスペースを狙いたいと思っていました。サメさん(鮫島彩)が7番のスペースを消しながらポジションを取っていたので、相手が7番に蹴りづらくなっていたと思いますし、起点になる7番が潰されると怖くないチームだったので、前半は前で(攻撃で)チャンスを作れていたと思います。
ーー時間の使い方をどのように意識していましたか?
相手は高さがあるので、蹴っても跳ね返されるので、なるべく足下でつなごうとしたのですが、ゴールキックも相手に(コースを限定されて)はめられていたので、なかなか後ろから回せませんでした。後半、高倉監督からキーパーからのビルドアップの準備を早くするように指示があったので、結構、つなげていたと思います。後半、相手の7番(FWファン・デ・サンデン)と9番(FWビビアン・ミーデマ)が交代したので、自分たちの思うようなサッカーができたのかなと思います。
ーー後半、11番のFWリーケ・マルテンスが走り込んで至近距離でシュートを打たれて、ビッグセーブを見せた場面を振り返ってもらえますか?
クロスが来る前に、相手選手がニアにいることは見えていたので、そこにポジションを取りました。それで、相手が(シュートの瞬間に)一瞬、詰まったのか、バランスを崩してシュートを打ったので、その分、自分の準備もできたのかなと思います。チーム(日テレ・ベレーザ)で練習している、クロスからのシュートストップが結果に表れて良かったです。
ーーいつも、練習後に横山選手とシュート練習をしていますが、オランダ戦で決めたシュートは、同じ形でしたね。実際にあのシュートを受けてみて、いかがですか?
あのシュートは本当に、多分、世界レベルだと思います。ドリブルをしながら、しかもあのパワーとスピードで打ってくるので、先に自分が良い準備をしなければいけないですし。横山選手だからこそ打てるシュートだったと思います。
ーー代表ではそういうプレーヤーと一緒にプレーできることも魅力ですか?
そうですね。ベレーザにはないパワーがある選手がいますし、力で打てるような姿勢の良さや、トラップも上手いです。代表では、そういう世界レベルの選手もいるので、一緒にプレーできる機会を大事にしたいです。
ーー今はGK3人が競争していますが、いつも、どのような気持ちでトレーニングに取り組んでいますか?
試合前の練習から、「自分が必ずスタメンを取る」という気持ちでやっています。それと、高倉監督はビルドアップの時に足下で繋いで行くことも求めているので、そういう部分で、もうちょっと自分がアピールしなければいけないなと思っています。池田(咲紀子)選手も足下がうまいのですが、ビルドアップの部分では、練習次第で他の選手よりもうまくなれるように努力したいと思うので、競争の中で頑張っていきたいですね。