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コンブチャ、ビール、フォアグラ… 韓国フード 都内大型展示会で見た「日本にも合いそう!」

筆者撮影

6月21日から23日まで開催された「JFEX -国際 食品・飲料 商談Week-」というイベントに行ってきた。

江東区有明の東京ビックサイトに世界中の食品会社が集まる大規模な展示会。そこに韓国パビリオンが設定された。

韓国から日本にやって来ようとする食品の最新トレンドはどこにあるのか。それを探ってみようと思ったからだ。

25個ほどの出展ブースをグルっと回ってみて、感じるキーワードがあった。「新型コロナのパンデミック時代に生まれた新たな潮流がやってきている」。ずばり「健康志向」。世界的な流れにも乗って、ビーガンやグルテンフリー志向のものも多めだった。

そういったなかで目立った商品をいくつかご紹介を。

「come Beauty コンブチャ」

チョイスジャパン提供
チョイスジャパン提供

輸出元:Natural株式会社(韓国京畿道楊州市)

日本販売元:チョイスジャパン

紅茶の発酵ドリンク。日本の「こんぶ茶」とは異なり、その発祥はモンゴルだ。茶葉に糖類、水そして酵母と酢酸 菌のコロニーであるスコビーという菌株を漬け込んで発酵させた。プレーバーティーに近い甘酸っぱく飲みやすい口当たりだ。

筆者も現場で口にしたが、まずはパウダーが水によく溶けることに驚いた。マドラーいらず。口に入れると微炭酸がじゅわーっと拡がって、心地よい爽快感が残った。この余韻こそが「うわっ~健康っ!」という感じで。

その横で中東系と思しきバイヤーが「ジュース」「おいしい」といってごそっとサンプルを購入する姿を目にした。

ではなぜ「コンブチャ」と言うのかというと…名前の由来はやはり「日本語の影響説」など、ここでは紹介しきれないほど諸説紛々。少なくとも韓国語では、冒頭の「K」の表記が、外来語の発音によく使われる音から始まるため「外国のもの」というイメージもある。

2010年代後半から海外のモデルやハリウッド女優 などの SNSから火がつき、欧米ではかなり人気が定着している健康飲料。「乳酸菌とポリフェノールをたっぷり含んでいる」と話題になった。そういったなかで2020年代からのブームを加速させたのは「Kフード」としてだった。

2021年2月27日に「歴史的事件」が起きた。世界的な人気のK-POP男性グループのメンバーがVLIVE上で「一日2杯飲む」と発言。本人が口にしたのは韓国の同業他社の商品だったが、これが瞬く間に韓国や香港で売り切れ、というニュースが駆け巡った。韓国内では「Kフードの新たな力」として報じられた。その後、韓国内の業界内も活性化。

そこにはこんな背景もあった。今回出展した韓国の輸出元「ナチュラル」のユン・ジュノ代表は言う。

「パンデミックの頃、家に籠もる時間が増えて、日常生活の活動量が減ったでしょう。そこで健康志向が高まったのです。乳酸菌など善玉菌がたくさん入っている発酵飲料であるコンブチャがニーズに合った、という流れもありました。現在も売れていて、弊社の商品は月間50億ウォン(約5億4700万円)の売り上げがあります」

そういったなかでこの商品の何がスゴイのかと言うと、はじめてコンブチャをパウダー化に成功した点。それもドイツの技術を使い、有機粉末の生成に成功している。

「以前、韓国でペットボトル販売したのですが、結果が芳しくなく…その後の企業努力でパウダー化に成功しました。2018年から始まるブームの1年くらい前ですね。世界的ブームのコンブチャの製粉技術を持っているのは韓国だけなのです」(ユン代表)

確かに韓国の世界的超人気男性グループメンバーが「飲んでいる」とした他社の商品も、パウダーだった。

日本ではチョイスジャパン社から発売中の「come Beatuty」はレモン、グレープフルーツ、桃、ブルーベリー、梅の味付けに加え、乳酸菌由来の炭酸成分、肌に良いビタミンを加えた。人工甘味料も加わっているが、いずれも体に入ると排出されるもの。結果、一包17カロリーも実現している。

クラフトビール「クミホ(九尾の狐)」ピーチエール味

筆者撮影
筆者撮影

韓国輸出元:株式会社KABREW(カブリュー)

韓国発のクラフトビール。

日本で反応がありそうなのが「韓国でも女性向けに作った」という「ピーチエール味」。軟質小麦でつくられたビールのベースに天然桃のエキスが加わった。

実際に飲んでみると… まず最初にピーチのフレッシュさが濃厚。これがちょっとびっくりするほどのレベル。その後さらにビールの小麦の風味がさーっと抜ける。アルコール度数4.5%。グビグビいける。

2019年にWorld Beer Awards 受賞。韓国では2019年頃からクラフトビールブームが始まった。同年に酒税の制度が変割った点も後押しした。従来の価格を基準とする課税方式から、酒類の量やアルコール分に比例して課税する方式に変わったのだ。アルコール度数の低いビールにとっては「有利」な状況となった。

そんななか生まれた「KABREW」、名前の由来は韓国でも有名な中国由来の古典文学作品から。韓国でクラフトビールが多様化するなか、ストーリーに出てくる狐のように「沢山の人の心を掴みたい」という願いを込めた。

さらにそのブームを加速したのが新型コロナによる「巣ごもり生活」だった。

「ならば今まで外で飲めなかったものを飲もう、という流れが生まれました。定番以外の商品に注目が集まったのです」(現地に出向いた同社関係者)

日本では新大久保ならイエスマートでのみ販売している(現在流通ルート拡大中)。現地に行って韓国気分を味わう際にお土産として手にするのも良さそうだ。

最後にちょっと違う流れのものを。パンデミックの時を経て、いよいよ日本に進出、というものだ。

「フォアグラ スプレッド」

筆者撮影
筆者撮影

韓国製造・販売元:株式会社インウエフエス(ソウル)

おいしくて新しいフォアグラペーストの食べ方の提唱だ。インウエフエスの「フォアグラスプレッド」は、香ばしい香りと柔らかい触感が売り。フォアグラをスプレッド化し、様々な食品にプラスすることで新たな味わいを生むことを提案している。

現場で「フォアグラ入り味噌」をきゅうりと一緒に食べたが、ふわわわーんとまろやかな風味が後味でやってきて幸せ絶頂。マヨネーズなどに混ぜても日常生活にちょっとした変化を加えられる。

世界三大珍味と言われるフォアグラだが、若干東洋人にはクセのある味わいでもある。これを東洋人の口にも合う味わいにした。

韓国内では特にBtoBでの人気が高く、レストランから「小さな瓶ではなく、パウチで送って欲しい」との依頼が相次ぐほど。

この商品、もうひとつ重要なポイントは「健康なガチョウやアヒルから生成された製品」であるということ。本来フォアグラとは大量の餌を強制的に与え、肝臓を肥大させて作るものだがインウエフエスの商品は違う。この技術は本場フランスを始め11カ国で特許を取得している。

では、なぜフランスのイメージも強いフォアグラを韓国から? 同社のイ・ソクグン代表理事はこう説明する。

「韓国でも鴨料理を食べるのですが、肝臓は食べない。破棄をするならこれをどう活かすのか。そこが原点です。韓国内の大企業の技術を基に栄養士、シェフらと6年間研究したものなのです」

個人的には大阪の文化にもちょっと合うような気がした。「世界三大珍味、フォアグラ入りやで~」と。それが日常の食生活に溶け込んでいるのだ。

新型コロナのパンデミックにより、韓国は変わった。苦しい時代にも新しいニーズから生まれた商品を、東京の地で目にした。東京にやって来れるようになったのだ。時代が移り変わっていく、まさにこの時を感じられる展示会だった。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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