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ひろゆき氏と琉球新報のインタビューが中止になった責任はどっちにある? SNSユーザーが論争に

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
インタビュー取りやめを伝えるひろゆき氏のツイート。Twitterより

 辺野古新基地反対の座り込み抗議をめぐり、ひろゆき(西村博之)氏と琉球新報のあいだで公開インタビューが今週予定されていましたが、中止になりました。その責任がどちらにあるのかで、SNSユーザーのあいだで論争が起きています。

ひろゆき「琉球新報側の都合で取りやめになった」

 この問題は10月20日(木)、ひろゆき氏が自身のTwitterアカウントで「琉球新報からのインタビュー依頼があり、金曜日に配信予定だったが琉球新報側の都合で取りやめになった」とツイートしたことから始まります。

 このツイートを受け、いわゆる“ひろゆき派”のSNSユーザーが座り込み抗議問題でひろゆき氏を批判している琉球新報に対して、「あれだけ批判して逃げるのか」といったような批判を強める事態となりました。

琉球新報「取りやめはひろゆきさんが前日に新たな条件を追加したため」

 同日夜、今度は琉球新報がひろゆき氏への取材を見合わせた理由について、「ひろゆきさん側から他メディアのチャンネルでの配信を必須とする新たな条件を提示された」との記事を公開。

 今度はここから“反ひろゆき派”がひろゆき氏に対して批判する流れが起き、両派のあいだで言い争いとなっているのが現状です。

インタビュー見合わせはどちらに責任があるのか?

 公開インタビューが中止になったのは、ひろゆき氏と琉球新報、はたしてどちらに責任があるのか?

 この記事では、ひろゆき氏が直近の動画配信で喋っていたこともふくめて情報を整理してお届けします。

“インタビューの配信”には両者合意していた

 まず、ひろゆき氏の動画の内容やツイート、琉球新報の記事を読むに、両者ともに「インタビューの配信」については合意していたことがわかります。

 見合わせの原因となったのは、「どこで配信するか?」をどちらも早めに確認を取っていなかったことにあります。

琉球新報「配信は仲介者のチャンネルだと思っていた」

 琉球新報の記事を読むと、琉球新報側は配信場所について「ひろゆきさんと親交があり、インタビューを仲介してくれた人物のYouTubeチャンネルを想定していた」とあります。

本紙は10月中旬、ひろゆきさんと親交がある人を介してインタビュー取材を申し入れていた。ひろゆきさんが提示した21日午後7時から取材をインターネットで配信することを前提に調整を進めてきた。配信は仲介者のユーチューブ・チャンネルを想定していた。

ひろゆきさん本紙取材 ひろゆきさん側から条件追加で見送り - 琉球新報デジタル

 つまり、ひろゆき氏のチャンネルではなく、仲介者のYouTubeチャンネルでインタビューが配信されることを前提に話を進めていたことがわかります。

 ただし、これは記事にもありますが“想定”であり、ひろゆき氏と合意していたわけではありません。ここは琉球新報側に一定の責任があると言えるでしょう。

ひろゆき氏は直前まで配信場所を決めていなかった

 一方、ひろゆき氏も「他メディアのチャンネルで配信する」ことを琉球新報に早めに伝えていたわけではありません。

 琉球新報の記事を読むと、ひろゆき氏が配信するチャンネルを伝えたのは19日です。そしてそのチャンネルがいつ決まったのかと言えば、最短でも10月18日です。おそらくは10月19日です。

 なぜ分かるのかと言うと、ひろゆき氏がFM軽井沢と共同で運営しているラジオ番組のYouTubeチャンネル『ひろゆきの行先未来』の10月18日の生放送で、「このチャンネルを配信で使っても良いですか?」とひろゆき氏が確認を取っている様子が配信されているからです(47分25秒あたり)。

 この配信内でひろゆき氏が「偉い人に確認をお願いします」とFM軽井沢側に伝え、FM軽井沢側も「はい、確認します」と答えているのを確認できます。そして番組の配信時間が20時からということを考えると、おそらく翌日の19日あたりに『ひろゆきの行先未来』での配信が決まったのだと考えられます。

 それから琉球新報に配信場所が伝えられ、琉球新報としては想定していた“仲介者のYouTubeチャンネル”ではなく、“FM軽井沢が運営に関係しているチャンネル”だったことから、記事で「他メディアのチャンネルでの配信を必須とする新たな条件を提示された」と説明したのでしょう。

 配信場所をどこにするのかを決めるのはひろゆき氏の自由だと思いますが、その場所を伝えるのが2日前の19日となると、これはひろゆき氏にも一定の責任があると言えるでしょう。

 個人のYouTubeチャンネルならともかく、他のメディアが運営しているYouTubeチャンネルで自社のインタビューを配信するとなると、取材の第一報が他のメディアのものになるわけですから、新聞社として受け入れがたいことは想像に難くありません。

両者に責任がある

 正直なところ、この問題はどっちもどっち。両者に責任があると筆者は考えます。

 ひろゆき氏が配信場所を決めるのであれば、どこでやるのかを早めに伝える責任があります。例えば直前に「今回はTwitchで」と言われたら、配信に慣れていなければ困る企業は多いでしょう。

 一方で琉球新報も「仲介者のYouTubeチャンネルを想定」して動くのではなく、どこで配信されるのかを早めに確認しておくべきでした。配信先から配信方法までインタビュー相手に全部任せる、というのはメディア企業としていかがなものかと思います。

 まあ今回はインタビュー見合わせということですので、次回、今度は最初から配信場所を決めて再調整すれば良いのではないでしょうか?

※ちなみにひろゆき氏がFM軽井沢の『ひろゆきの行先未来』で配信すると決めた理由は、生配信に便利なツール『StreamYard』が使えるからだと10月18日の配信で語っています。

10月23日修正

 琉球新報側に配信チャンネルの情報が伝えられたのを20日としていましたが、記事に19日と書いてあったのを見落としていたため修正しました。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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