Yahoo!ニュース

毒親育ちの特徴

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、毒親についてお話したいと思います。
毒親とは、子どもに悪影響を及ぼす親のことです。
子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親のことです。

毒親という言葉は、今から30数年ぐらい前に日本に入ってきました。
それまでは、毒親という言葉はなかったのではないかなあと思います。

私的には、毒親という言葉は、10年20年ぐらい前から、軽いブームになっているのではないかなあ…という印象です。それまでは、アダルトチルドレンという言葉のほうが、より多く使われていた感じでしょうか。

さて、毒親に育てられた人は、次のような性格特徴を持っていることが多いです。
1.自分の気持ちがわからない。
2.常に不安を抱えている。
3.自己肯定感が低い。
4.罪悪感を持ちながら生きている。
5.感情のコントロールが苦手。
6.依存傾向が強い。
7.人に嫌われるのを極度に恐れる。

簡単に説明します。
1.毒親に育てられた人は、親に気を使って、親の気持ちを優先させて生きてきたので、自分の気持ちがわからないことが多いです。
2.毒親に育てられた人は、安心感を得られない家庭で育ってきたので、不安感が強く、常に不安を抱えていることが多いです。
3.毒親に育てられた人は、親に否定されながら育ってきたので、自己肯定感が低いことが多いです。
4.毒親に育てられた人は、「お前なんか生まれてこなければ良かったのに」というメッセージを与えられながら育ってきたので、生きていること自体に罪悪感を持っていることが多いです。
5.毒親に育てられた人は、自分の感情を無視されて生きてきたので、自分が悲しいのか嬉しいのか わからず、感情コントロールが苦手です。
6.毒親に育てられた人は、親から「お前は、私たちがいないと生きていけない」というメッセージを受けながら育ってきたので、人に対して依存傾向が強いです。
7.毒親に育てられた人は、親から「お前は私から嫌われたら生きていけない」というメッセージを受けながら育ってきたので、人から嫌われるのを極度に恐れます。

以上、毒親育ちの特徴をご紹介したわけですが、
ここで私は、非常に重要なことを言わねばなりません。

それは、毒親に育てられた人は、今言った7つの特徴を持っていることが確かに多いのですが、だからと言って、7つの特徴を持っている人の親が必ずしも毒親であるとは限らないということです。

毒親ではない、良い親から育てられた人の中にも、今言った特徴を持っている人はいるし、毒親に育てられたにも関わらず、今言った特徴を持ってない人もいる…ということです。

だから、もしも、今この記事を読んでらっしゃるあなたが、自分の気持ちがわからない人だったとしても、それは親のせいであるとは限らない…ということです。ですから、自分の好ましくない性格を、何でもかんでも毒親のせいだと決めつけるのは早計だということです。

親からしてみれば、不安感が強い子どもから、いきなり「私が不安感が強いのは、あなたたち親が毒親だったからだ」なんて言われたら、さぞショックだろうなあと思う次第です。

この記事を読んでらっしゃるあなたが、自分の親のことを毒親だと思うのは勝手かもしれませんが、そのことで自分をさらに生きにくくさせたり、親との関係を不必要に悪化させるのは、心理カウンセラーの私として、何としても避けて頂きたく思います。


毒親って、実際はどんな親?

今から「良い親、悪い親」という話をします。
1番良い親は、子どもを支援する親です。
2番目に良い親は、子どもに厳しい親です。
3番目に良い親は、子どもに甘い親です。
4番目に良い親は、子どもにほとんど関心がない親です。
5番目に良い親、最悪な親は、子どもを虐待する親です。
毒親というのは、この5番目の親ということになります。

虐待は、言葉の暴力だったり、実際に蹴ったり殴ったり、はたまた性的な暴力だったりします。虐待を受け続けていると、子どもは自分の心に深い傷を負い、自尊心がガタガタになります。そしてそれは、とても悲しいことです。

さて、ときどき、「厳しい親に育てられた」ということで、自分の親を毒親呼ばわりする子どもがいますが、それはとんでもない間違いです。そのような間違いは、自分自身も自分の親も不幸にします。

とここで、何を持って、良い親か悪い親か? 説明すると、良い親は、子どもを幸せな大人にすることができ、悪い親は、子どもを幸せな大人にできない…ということです。これが良い親、悪い親の定義であり、良い親、悪い親の違いです。

厳しい親に育てられた子どもは、社会に出ると、社会が家庭に比べ優しいと感じることが多いので、楽勝で社会を生き延びていくことが出来ます。よって、厳しい親は、毒親ではありません。
毒親とは、子どもの気持ちや子どもの将来のことなど考えず、子どもを自分の欲求を満たすための道具と捉え、感情の赴くままに怒り、子どもを支配しようとする親のことです。

続いて、非常に重要なことを言います。
それは、自分の親が毒親だと思う人には、大きな特徴があるということです。
それはどんな特徴かと言うと、自分の親が毒親だと思っている人のほとんどは、親コンプレックスを持っているということです。

ここで言うコンプレックスとは、劣等感という意味ではありません。
ここで言うコンプレックスは、こだわりという意味です。
自分の親のことを毒親呼ばわりする人の多くは、親コンプレックスを持っている、いうのが私の印象です。

毒親に育てられたことを、いつまでも思い出しては苦しむ人がいるいっぽうで、毒親に育てられたことなど、特に思い出したりしない人がいるのですが、その違いは、「本人が親コンプレックスを持っているかどうか?」です。

世の中には、子どもコンプレックスを持っている人もいれば、配偶者コンプレックスを持っている人もいれば、父親コンプレックスを持っている人もいれば、母親コンプレックスを持っている人もいて、それは生まれたときから、どのようなコンプレックスを持っているか、概ね決まっていて、自分の親のことを毒親だと言って、「毒親育ちの会」などに行く人のほとんどは、親コンプレックスの持ち主だ、ということです。

本人がどのようなコンプレックスを持とうが、そのことによって幸不幸は決まったりはしないのですが、自分がどのようなコンプレックスを持っているか? 知ることは、生きやすくなるかどうか? を大きく左右します。よって、心理カウンセラーの私としては、出来れば、「自分はどのようなコンプレックスを持っているか?」知っておいて欲しいなあと思う次第です。

最後に、
この記事を読んでらっしゃるあなたが、「私が生きづらいのは、親のせいだ。私の親が毒親だったからいけないんだ」と思うのは、あなたの勝手です。どうぞ気の済むまで親のせいにしていてください。
けれど、自分の親を毒親だと思うことによって、今後さらに生きにくくなったり、親との関係を不必要に悪化させるのは、非常に不幸なことです。そのような愚は、何としても避けて欲しいなあと思います。
私としては、毒親という言葉を知ったあなたには、「毒親という言葉は、知る前より知ったあとのほうが、より幸せになれた」と言えるようになって欲しく、そう願う次第です。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

竹内成彦の最近の記事