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主な新興国経済ニュース(5月17日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ハンガリー1‐3月期GDP伸び率、前期比0.7%増―リセッション脱す

ハンガリー中央統計局(KSH)が15日に発表した今年1‐3月期GDP(国内総生産)伸び率(速報値)は、季節・労働日調整後で前期比0.7%増と、前期(昨年10‐12月)の同0.4%減から5四半期ぶりにプラス成長となり、リセッション(景気失速)を脱した。

ハンガリー経済専門サイト、ポートフォリオが13日までにまとめたアナリストの事前予測では、米金融大手シティバンクが1‐3月期は前期比0.3%増を予想していたが、その数値を上回っている。

また、前年比は調整前で0.9%減と、5四半期連続でマイナスの伸びとなったものの、前期の2.7%減からマイナス幅が大幅に縮小した。しかし、前年同期はうるう年で労働日が1日多かったため、その影響を除いた労働日調整後では0.3%減となり、アナリスト予想のコンセンサスである1.3%減を大幅に下回っている。KSHでは前年比でマイナスの伸びとなったのは農業と建設の両セクターは増加したものの、製造業セクターの減少が響いたとしている。ただ、製造業セクターは前期比のプラスの伸びに寄与したとしている。

アナリスト調査では、今年の成長率のコンセンサスは0.2%増(予想レンジは0.2%減~0.8%増)、来年の成長率のコンセンサスは1.5%増(同1%増~2.6%増)となっている。

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ロシア警察当局、仏ソシエテ傘下のロスバンクCEOを収賄容疑で逮捕

ロシア警察当局は15日、仏ソシエテ・ジェネラル銀行傘下のロシア9位のロスバンクのウラジーミル・ゴルプコフCEO(最高経営責任者)がある特定の事業家に対し、融資期間の延長や金利の引き下げなど有利な融資条件を提示する見返りに500万ルーブル(約1600万円)の金銭を受け取った収賄容疑で逮捕したことを明らかにした。また、この収賄事件に関与したと見られる幹部も同様な容疑で身柄が拘束された。モスクワ・タイムズ(電子版)などが伝えた。

また、同CEOは別の事業家に対し融資の提供の見返りに150万ドル(約1億5300万円)の賄賂を要求した疑いも持たれている。

ソシエテ・ジェネラルは2007年にロスバンクの株式の過半数を取得したあとも株式を追加取得しており、現在の出資比率は約82%で、計40億ユーロ(約5300億円)を投じている。ゴルプコフ氏は2008年にCEOに就任している。

ロシアの金融界では融資の見返りに金銭を受け取るのは珍しいことではなく、西側の銀行はロシアの現地スタッフによる融資の円滑化のための金銭の授受行為をなくすことは困難だと指摘している。

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インドンネシア国営石油プルタミナ、グローバル債発行で3千億円超調達

インドンネシア国営石油大手プルタミナは15日、年内に総額50億ドル(約5100億円)のグローバル債を発行する計画の第1弾として、期間10年と30年の2種類のドル建て債を欧米とアジアで発行し、募集予定額の32億5000万ドル(約3320億円)の資金を調達したことを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。

今回の募集は14日に締め切られたが、667人の外国投資家から目標額の4.4倍に相当する144億ドル(約1.5兆円)もの旺盛な需要があったとしている。内訳は、10年債(表面金利4.30%)が16億2500万ドル(約1660億円)で、残りが30年債(5.625%)となっている。

同社は2011年に中長期債を発行し15億ドル(約1530億円)、2012年も25億ドル(約2550億円)の資金を調達しており、今回で社債発行による資金調達は3年連続となる。この背景にはインドネシアに対する投資意欲が強いため、資金調達コストが低水準にあることがある。

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ベトナム中銀、5月末に銀行不良債権買い取り専門会社を発足へ

ベトナム国家金融監督委員会(NFSC)のレ・スアン・ギア前副委員長は15日、懸案となっている銀行の不良債権を買い取り専門会社(VAMC)の発足時期が今月末ごろになるとの見通しを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が伝えた。

不良債権買い取り専門会社は、以下の9項目に従って運用される。

(1)財務省ではなく中央銀行の監督下に置かれ、不良債権の買い取り資金は国家予算から支出されない。

(2)不良債権の解消の目的とした唯一の事業体となる。

(3)銀行はVAMCの発足前に不良債権をVAMCに売却しなければならない。そうでない場合には中銀の検査を受ける。

(4)銀行は不良債権を現在の簿価で売却する。

(5)現金の代わりにVAMCが超低金利で発行する特別債(VAMC債)を受け取る。銀行はそれを担保にして公開市場操作(オペ)で必要資金を借り入れることができる。

(6)VAMCに譲渡した不良資産は引き続き、銀行が管理する。

(7)VAMC債を保有する銀行は年間20%相当の引当金を積み立てなければならない。

(8)VAMCが銀行から買い取った不良資産を売却した場合、売却額の15%はVAMCに内部留保し、残りの85%を銀行に渡す。次に代金を受け取った銀行はVAMC債を中銀に返還しなければならない。

(9)VAMCは100%国営となる。

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インドネシア不動産大手ブミ・スルポン・ダマイ、年内に株主割当増資へ

インドネシア不動産開発大手ブミ・スルポン・ダマイは、年内に株主割当増資(ライツ・イシュー)で1750億ルピア(約17億5000万円)の資金を調達する計画だ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が15日に伝えた。

これは同社が地元紙インベスター・デイリーに掲載した目論見書で明らかになったもの。それによると、新株は1株1691ルピア(約16.9円)で17億5000万株発行する計画で、同社は今月31日の株主総会で了承を得たい考え。1株1691ルピアは15日の同社の株価の終値1780ルピア(約17.8円)に対して5%のディスカウントとなっている。同社は調達した資金で土地購入や不動産開発プロジェクト、運転資金の充実に使うとしている。

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ブラジルのマンテガ財務相、事務次官に観光省のシモン次官起用か

ブラジル財務省ナンバー2のネルソン・バルボサ事務次官が突然、6月に退任する意向を表明したのを受けて、ギド・マンテガ財務相は同次官の後任として、内国歳入庁(IRS)の監査官を兼務する観光省のバルディール・シモン次官を起用する可能性が高まっている。

また、バルボサ氏の前任者だったネルソン・マシャード元次官が復帰するのではないかとの憶測があるが、マシャード氏は否定している。

バルボサ次官は、表向きは、「一身上の理由」として、マンテガ財務相に辞表を提出したとされるが、バルボサ氏のポストを狙うブラジル国庫庁のアルノー・アウグスティン長官との確執があったと見られている。バルボサ氏は2003年に政府入りし、マンテガ財務相が企画・予算・運営相だった当時にマンテガ・チームに参加し、主に経済政策畑を経て、2011年にマシャード氏から次官ポストを引き継いでいる。

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ブラジル中銀1-3月期経済活動指数、前期比1.05%上昇-前年比は1.79%上昇

ブラジル中央銀行(BC)が16日に発表した3月の経済活動指数(IBC-Br、2002年=100)は季節調整後で、前月比0.72%上昇の145.21と、前月(2月)の同0.36%低下から上昇に転じた。しかし、市場予想のコンセンサスの同1%上昇を下回った。

前年比は、季節調整前で1.16%上昇と、市場予想のコンセンサスの1.25%上昇を下回った。季節調整後は3.61%上昇だった。

また、1‐3月期は、前期比1.05%上昇(季節調整後)と、市場予想のコンセンサスの1%上昇をやや上回った。前年比も1.79%上昇(季節調整前)と、これも市場予想のコンセンサスの1.75%上昇を上回った。

中銀の経済活動指数は製造業と非製造業、農業の3部門のデータで構成されており、中銀の政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を決定する際に、ブラジルの経済活動の動向を評価する上で重要な指標となっている。また、政府の公式のGDP(国内総生産)統計は、地理統計資料院(IBGE)が29日に、1‐3月期GDP伸び率を発表する予定だ。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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