電車内で女生徒に体液をかけたとされる男 故意を否認する訳は #専門家のまとめ
2年前の11月に東京都内を走行中の電車内で10代の女生徒のスカートに体液をかけたとして、世田谷区役所職員の男が逮捕された。器物損壊の容疑だが、「ティッシュやハンカチが間に合わず体液がこぼれてしまった」と供述し、否認しているという。
男は今年7月に都内の駅で女性の尻を触ったとして迷惑防止条例違反で逮捕されており、その際に押収した唾液などのDNA型鑑定を行った結果、2年前の事件への関与が浮上したのではないか。
痴漢事件は起訴猶予となっており、示談が成立したものと思われる。一方で体液事件だが、男の供述は「故意に体液をかけたわけではない」というものであり、器物損壊罪が故意犯に限られ、不注意による過失だと成立しないことを前提とした狡猾な弁解だとも考えられる。
性犯罪に対する常習性もうかがわれるところであり、具体的な犯行態様やほかにも余罪がないのかといった観点から、警察には徹底した捜査が求められる。
▼男は朝の通勤通学ラッシュの時間帯にズボンのチャックをおろして犯行に及んだとみられている
▼男は「通勤中に2、3回女性に股間をこすりつけたことがある」「女性にかけようと思ったことは一度もない」と供述しているという
▼性欲を満たすためでも、体液を衣服や持ち物にかけたら器物損壊罪、手首などにかけたら暴行罪で逮捕されている
▼器物損壊罪の「損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為を意味し、心理的に使用できなくさせる場合も含まれる
今回のような体液事件は、電車内で女性に自らの股間をこすりつけたり、自慰行為に及んだりしたという点をとらえ、迷惑防止条例が規制する「卑わいな言動」にあたるとして、罪名を条例違反に切り替えて起訴することもよくある。東京都の場合、最高で懲役6ヶ月、罰金だと50万円以下だ。今後の捜査の推移が注目される。