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トレード拒否とトレードが、地元で人気だった選手の「帰還」を生んだ!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エリック・ホズマー(ボストン・レッドソックス)Aug 4, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月4日、ボストン・レッドソックスは、カンザスシティ・ロイヤルズのホーム、コーフマン・スタジアムで試合を行った。

 レッドソックスのエリック・ホズマーは、1回表の打席に入る際、観客から拍手で迎えられた。捕手のサルバドール・ペレスと挨拶を交わした後、ホズマーはヘルメットを右手に持って掲げ、観客に応えた。

 かつて、ホズマーは、コーフマン・スタジアムをホームとしていた。2008年のドラフトでロイヤルズから全体3位指名を受け、2011年にメジャーデビュー。そこから7シーズンにわたって、好守の一塁手としてプレーした。ゴールドグラブ受賞は4度。2015年のワールドシリーズでは、MVPこそペレスに譲ったものの、第1戦の14回裏に打ったサヨナラ犠飛を含め、両チーム最多の6打点を挙げた。また、地元の少年ファンの間では「ザ・ホズ」の髪型が流行した。当時のホズマーは、モホーク風にサイドを刈り上げていた。

 ホズマーがコーフマン・スタジアムでプレーするのは、5年ぶりのことだ。2017年のオフにFAとなり、8年1億4400万ドルの契約でサンディエゴ・パドレスに入団。2018年以降、パドレスは、ホームでも会うデーでも、ロイヤルズとは対戦していない。

 トレード・デッドラインの8月2日に、ホズマーは、パドレスからレッドソックスへ移籍した。

 レッドソックスへ移る直前に、ホズマーは、ワシントン・ナショナルズへの移籍を拒んでいる。ホアン・ソトジョシュ・ベルの交換要員の一人とされていたが、契約に付帯していたトレード拒否権を行使した。今シーズン、ナショナルズとロイヤルズは対戦しない。なお、ホズマーのトレード拒否権は、10球団が対象。レッドソックスは、そこに含まれていなかった。

 もっとも、トレードで移籍せず、パドレスにいたままでも、ホズマーの「帰還」は実現していたはずだ。パドレスは、8月26日~28日にコーフマン・スタジアムで3試合を行う。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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