台風7号接近の北海道 農作物大災害の再来の懸念
台風7号による西日本の大雨と北海道の大雨
台風7号が対馬海峡を通って日本海を北東進しています(図1)。
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台風7号の中心部だけでなく、台風の周辺を南から湿った暖かい空気が流入したため、西日本各地で大雨となっています。
また、北海道は、前線が停滞し、南からの暖かくて湿った空気の流入により大雨となっていました(図2)。北海道に前線が停滞し、断続的な大雨になっているのは6月から続いています。
このため、土壌雨量指数と呼ばれる、土砂災害の危険性を示す土中の水分量は、西日本だけでなく、北海道でも大きな値となっています(図3)。
台風7号は日本海で温帯低気圧に変わり、温帯低気圧として発達しながら北日本を通過する見込みです。大量の水蒸気を持ち込んでいますので、北海道では、再び大雨となる可能性もあります。
北海道の農作物に大きな被害が発生した2年前の大雨が懸念されます。
==北海道を襲った五輪の台風==
平成28年(2016年)の北海道は、多くの台風の影響を受けました。
8月17日には三陸沖を北上した台風7号が襟裳岬付近に上陸しています。北海道に台風が最初に上陸するのは平成5年(1993年)の台風11号が釧路市付近に上陸してから、23年ぶりのことです。
また、8月19日15時にマリアナ諸島で台風9号が発生したのに続き、21時には八丈島の東海上で台風10号が発生しています。そして、翌20日9時には日本の東海上で台風11号が発生し、日本近海には3つの台風が同時に存在しています(図4)。図中で、熱低(熱帯低気圧)とあるのが、台風11号に発達しました。
この時、ブラジルのリオデジャネイロでオリンピック開催中(8月5~21日)であり、天気図上には5輪ならぬ3輪の同心円が並びました。
台風11号は、先に生まれた台風9号、台風10号より先に北西進して東日本に接近し、8月21日23時すぎに北海道の釧路市付近に上陸しました。
また、台風9号は、日本のはるか南海上で発生後、ほぼ真っ直ぐに北上し、8月22日12時半頃に千葉県勝浦付近に上陸し、その後、東北地太平洋側を縦断し、8月23日6時頃に北海道日高地方に再上陸しています。北海道に台風が3個上陸したのは、昭和26年の統計開始以来はじめてです。
北海道に上陸した7号と11号、再上陸した9号に加え、8月15日8時頃に根室半島を通過た6号(短時間で海にでたため上陸扱いではありません)と、東北地方を北部を通って北海道にも大雨を降らせた台風10号を加えると、北海道は5つの台風(五輪)に襲われたことになります。
北海道で農作物の大被害
平成28年(2016年)の北海道は、5つの台風だけでなく、9月6日には日本海の低気圧が宗谷海峡に進んだことから、ほぼ全域で大雨となっています。
このため、石狩川が氾濫するなど各地で洪水が発生し、その水がなかなか引かなかったことから、ニンジン、タマネギ、じゃがいもなど全国一の収穫量をほこる北海道の農作物被害が拡大しています。
このため、ニンジン7割、タマネギ・じゃがいも5割高と、よく使う野菜が高騰し、しかも長期化が懸念されています。
さらに、全国のじゃがいもの種芋は、ほとんどが北海道産ですので、じゃがいもの被害の影響は、翌年、平成29年(2017年)も続いています。
そして、災害の傷が癒え始めた今年、北海道は6月から大雨が続いています。
今年の北海道は、2年前のような、農作物の大災害の再来が懸念されます。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図2、図3の出典:ウエザーマップ提供。
図4の出典:饒村曜(平成28年(2016年))、特異なコースを通った台風が多かった平成28年の夏、雑誌「近代消防」、近代消防社。