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「日本でいちばん温泉の数が多い!」温泉ライターが東京から札幌に移住した理由

高橋一喜温泉ライター/編集者

筆者は2021年1月、雪が降り積もる札幌に家族とともに移り住んだ。移住してから3年が経とうとしているが、東京に住んでいた頃よりも、充実した日々を送っている。

縁もゆかりもない札幌への移住を決断したのは、「子どもの教育環境のため」「リモートワークが可能になったため」という理由もあるが、もうひとつ大事な要素がある。

それは「温泉」だ。移住を決める際、「温泉」の面でも北海道は魅力的だった。

温泉ライターを仕事にする以上、温泉へのアクセスは重要な問題だ。なにより温泉が好きなので、できれば温泉に気軽に入れるエリアがいいに決まっている。

妻や娘にとっては、暮らしやすさのほうが大切だが、筆者にとっては「いい温泉があるか」も決してスルーできないテーマだった。

別府でも熱海でもない理由

移住先は、できれば温泉がたくさん湧いているほうがいい。温泉マニア的には、まず草津、別府、熱海、箱根などが候補に挙がった。たしかに、その移住先から出ないのであれば、これらの温泉地にじっくり腰を据えるのも選択肢のひとつだ。

しかし、筆者の場合、全国各地の温泉地に取材に行く必要がある。また、まだ入ったことのない温泉にも足を運んでみたい。その点、草津、別府、熱海、箱根などはアクセスがあまりよくない。全国の温泉地に行こうと思えば、いったん羽田空港や都心のターミナル駅まで出なければならない。それは大きな時間のロスになる。

候補地をひとつずつ潰していく過程で、北海道の札幌が候補に浮上したのは、すでに述べた通りだ。

札幌の市街地は、あまり温泉は湧いていないが、少し足を延ばせば市内に定山渓温泉や豊平峡温泉などがある。さらには洞爺湖、登別、支笏湖、ニセコなどの有名な温泉スポットも日帰り圏内だ。

日本一の温泉地数

なにより北海道は日本一、温泉地数が多い都道府県でもある。日本には2971カ所の温泉地があるが、1位の北海道は243カ所。2位の長野県は205カ所、3位の新潟県は145カ所(2019年度)。他県を圧倒しているのだ。

実際、札幌から東西南北どこへ移動しても、温泉地にぶち当たる。現在3800を超える温泉をまわっているが、それでも北海道には未湯の温泉がいくつもある。温泉マニアにとっては、これほど理想的な環境はない。

また、北海道は明治政府の開拓が始まってから約150年しか経っていない。まだまだ見つかっていない未知の温泉があるはずだし、現存する温泉地がこれから発展する余地も残されている。可能性に満ちているのだ。

ライフワークの温泉の面でも札幌に移住するメリットは大きい。そのことに気づき、完全に心が決まったのである。

温泉三昧の日々

実際、札幌に移住してきてからは、温泉三昧だ。東京に住んでいたときよりも温泉に入る頻度は増えている。

なかでもお気に入りは、札幌市内にある豊平峡温泉。市街地からは車やバスで1時間はかかるが、北海道らしさを満喫できる野趣あふれる露天風呂に入ることができる。

豊平峡温泉のような名湯に日帰りで気軽に入れるのは札幌在住の大きなメリットといえる。その手前には定山渓温泉。札幌の奥座敷と呼ばれる温泉地で、巨大な旅館が立ち並ぶ。

さらには、温泉マニア垂涎の的である支笏湖の丸駒温泉旅館も車なら1時間強でアクセスできる。支笏湖とつながっている露天風呂は足元湧出泉で、湖面にあわせて深さが上下する。まさに自然と一体化した、北海道らしい湯浴みを楽しめる。

北海道は広い。まだまだ入りたい温泉もたくさんある。しばらくは温泉めぐりに精が出そうだ。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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