佐野研二郎さんのトレース疑惑を検証してみる
【追記】2015/08/19/WED/1:10
コスタリカ博物館とは、電話で担当者とコンタクトが取れず、メールにて問い合わせしているが、返事はまだ届いていない。
東山動植物園のブランド戦略事業部の担当者は、『今回の佐野さんデザインで提案のあった組織に問い合わせてみる』との返答を頂いた。サントリー広報部の担当者は、佐野さんとの接点はすべて広告代理店と行っているとの事。
【追記】2015/08/16/SUN/18:34
デザイン関連の方々から「6点対称」点対称はデザインの基本であり、万国共通で使われているものであるとのご指摘頂戴いたしました。また、「正六角形の対称」なのでそれが30度傾けて一緒になったから疑惑?という指摘は適切ではないといただきました。確かに、「こことここが似てるからパクリ、盗作」とデザインの素人が断定する風潮はよくないことだと思います。文中で注意書きを【追記】させていただきました。
KNNポール神田です!
疑惑を抱かれているデザイナー佐野研二郎氏からの文書が公開された…。
まさかの日本を代表するグラフィックデザイナーがコピペはないだろうということで、「パクリ疑惑は自分でGoogle画像検索してみよう!」を書いたが、佐野氏から「スタッフが第三者をトレースしたとある」。トレースとはなにか?…に疑問は残る。「コピペ」してそれをepsファイル化することを「トレース」と言うのだろうか?それを言うならば、トレースとは「流用」「盗用」「悪用」もトレースの一部かもしれない。
そしてまた文書の中で、佐野氏は、
と本人のトレースに関する関与は一切、否定している。
とぎれないネット上での疑惑
しかし、ネット上では、いろんな疑惑についての議論がなされている。前出のGoogle画像検索からPinterestに至るまで今や、インスパイアできるデザインや入手先は誰もが入手しようと思えば入手できる。
そんな中、twitterで指摘されている疑惑の画像があった。
東山動植物園のシンボルマークがコスタリカ国立博物館のロゴに似ているというのだ。
こちらが、2013年に佐野研二郎氏がデザインした東山動植物園のロゴ
http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/02_events/02_01events/pdf/brand_concept.pdf
そして、こちらコスタリカ国立博物館のサイトのロゴ
http://www.museocostarica.go.cr/
プレゼンソフトのKeynoteで類似点を検証してみる
ネット上での画像加工の敷居は低くなっている。プロ用のAdobeのソフトウェアがなくとも、Mac付属のKeynoteでも簡易の画像処理ができる。ネットで出回る画像の信ぴょう性を確認する為にも、情報の一時ソースに当たり、自身で検証してみることは大事なアプローチだ。
【1】Kyenoteの【スライドを追加】で、東山動植物園のシンボルマークにペーストし、その上からコスタリカのロゴ部分のキャプチャをペーストしてみる
【2】上面にペーストされたコスタリカのブルーを【スタイル】から【不透明度】を【50%】にしてみる
【3】【配置】で【回転】を調整し、【30】で止めてみた…。手からいやな(汗)がでてきた…。
【4】コスタリカ博物館のロゴと一致。コスタリカのビットマップ拡大のにじみが気になるくらいだ。
【イメージ】【インスタントアルファ】でコスタリカの外側を透明化していく
【5】うーん、これ以上はなんだか良心がとがめだすが…。
コスタリカの色を東山グリーンに近づけてみる。
【イメージ】【調整】【イメージ調整】する。コスタリカはすっかり、東山動植物園のロゴに溶け込んでしまった。
【追記】※「対称定規」「6点対称」点対称はデザインの基本であり、万国共通で使われているものであるので、これだけで「トレース」とは断定することはできません。
ネットでの追求力の脅威
twitterでのパクリ疑惑のイラストだけでは、その信ぴょう性を信じることができなかったが、自分なりに、オリジナルの素材を検索し、【倍率あわせて30度傾けて透過してみると】でここまで再現できてしまった。一致してきた時に、一致しないでくれと願ったほどだ。
【追記】しかし、デザインが似ているから、トレースという判断は、デザインの世界では一概に言いにくいことが指摘によって理解できた。このような点対称となる造形物が似ているからというだけで素人的に断定するのはミスリードする危険性を持っている。ここでは文章はそのまま、追記とし、デザイン素人判断の危険性もあわせもっていることを自戒をもって残している。以下の文章は、デザイン素人判断でのウラ取り行動がまき起こす、さらなるメディアの危険性を表すものでもある。指摘をいただけた読者に感謝したい。【/追記】
佐野研二郎氏のトレース疑惑が本当だったら、大変なことになるからだ。
ただ、この時点ではまだコスタリカ博物館に確認がとれていないから、判断はくだせない。コスタリカ博物館側がトレースするという可能性を否定できないからだ。
東山動植物園のシンボルマーク採用が2013年だ。コスタリカがそれ以降に採用したかもしれない。
コスタリカは現在深夜の1時だ。朝になるまで待つことにしよう。
http://www.time-j.net/WorldTime/Country/CR
internet wayback machineによると…
2006年03月7日からコスタリカ国立博物館の、このロゴは確認できてしまった。
https://web.archive.org/web/20060307041722/http://www.museocostarica.go.cr/
この一致は、何を意味しているのだろうか?デザインの素人でもすぐに裏とりができてしまう時代だ。世の中のデザイナーが限られた洋書のデザインからパクっていた時代ではない。誰もがネットで、pinterstでも何でも参照でき、それを再現でき、追跡できてしまう時代だ。そんな時代に万が一でも一線のデザイナーが古き悪しき三流デザイナーのようなことが露呈したとすると、一デザイナーだけの問題ではなく、グラフィックからウェブにまで、デザイン業界に対する社会の評価が大きく変わってしまう。
佐野研二郎さんは、すべての疑惑に真摯に応え続ける責任からは逃れることができない。それが、社会が今まで彼に与えた信頼と評価に値するからだ。