パクリ疑惑は自分でGoogle画像検索してみよう!
【追記】2015/08/18
サントリー広報部に確認したところ、佐野研二郎氏側の「トレース(コピペ)」の報告があり、取り下げた。「佐野研二郎デザイン」というトートバッグについては、佐野氏の管理・監修もふくめて「佐野研二郎デザイン」であるという認識である。サントリー自身は、佐野研二郎さんと直接ではなく、すべて広告代理店との提案・企画においての交渉。代理店との今後の折衝は広報部の範疇ではないとのこと。
忙しいなか、対応くださりありがとうございました。
【追記】佐野氏側の、コピペであったという報告もあるようで、連休明けに確認させていただきたく思います。
http://www.suntory.co.jp/beer/allfree/campaign2015/
KNNポール神田です!
今や、デザインやエンブレムは、常にパクリ疑惑の狭間にいると思う。そしてインスパイアとパクリとオマージュの差は僅差であるといってもいい。音楽同様、7つの音階間とリズムで想像されるものや、アルファベット26文字の表現物に類似性が伴って当然だろう。意図せずに似てしまうという事故は自然に発生してしまうものだ。そこに本当の真理をどうやって見出すべきかが問題だ?
佐野研二郎氏のデザインがパクりかどうか大きく揺れている…。オリンピックにケチがつけやすい最中でのパクリ疑惑だったからだ。そして、さらにサントリーでのトートTシャツでの疑惑。サントリーは早々と疑惑のあるトートバッグの掲載をとりやめてしまった。しかし、筆者はカンタンにパクリと断定することは難しいと考えている。
パクリ疑惑に対する広報的対応
日刊ゲンダイさんが直撃したそうだ(直撃ということは、ノーアポということだろう)。妻といえども、広報を担当するのならば、部下の話を聞くまではメディアに対して、ノーコメントとすべきだったろう。一気に空気は、「パクリは部下の責任」という責任のがれ的な声へと変化した。オリンピック、新国立競技場、オリンピックエンブレム、他にもパクリ疑惑、という完全にオリンピックのネガティブな空気を佐野研二郎氏が背負っている気さえする。
かつてはパクリに気づかない時代だった
2009年、スマートフォン関連商品を取り扱うトリニティの星川哲視社長は、出張の際の機内誌の表紙デザインを見て、目を疑った。
星川氏は大手ではない自社のデザインがパクったのかと、一瞬でも疑ったことを悔いている。結果は、相手側のデザイナーが「参考」にしたということを認め、早急な対応策を提示したことによって示談が成立した。
このようなケースは、かつては地域や顧客が限られた場合よく発生していた。
デザイン事務所には発想をインスパイアするための洋書類がたくさんある。デザインエレメントに刺激を受け、合法的にパクる事は、デザイン・クリエイティブのスキルでもあるからだ。真似る、パクるではなく新たなものを想像するためだ。だから、ひとつのデザイン事例を比べて似ている似ていないというのはナンセンスだ。
ネット時代のパクリ鑑定方法はGoogle画像検索
今や、ネットでパクリ疑惑も出てくるのは、そっくりな画像があるから一気にパクリ度が赤丸急上昇で拡散されていき、それをまた、オールドメディアが記事にして、完全にパクリ確信的な記事が露見するようになる。
実際に、佐野研二郎さんのトートデザインをGoogleでググってみると…
本当にパクリかGoogle画像検索で調べてみる
これを見る限り、パクリともいえるが、パクリでもないといえないだろうか?すべての要素エレメントが似ているのだ。
2020年東京オリンピックのエンブレムも画像検索してみた
そして画像検索結果はこちらだ
こちらは、ドンピシャのエレメントが少ないからこそパクリ疑惑が高いのだろう。
Google画像検索が登場してから、デザインの世界は似ているものをすぐに見つけやすくなった。もしかすると、パクリのパクリのパクリ画像まで検索できる。テレビにニュースに並んでいるサクラまで限定されたりするほどだ。これからのデザイナーは、ウェブ閲覧のキャッシュ履歴を提出させ、無実を証明するしかないのか?
さらに公にしないながらも、GooglePhotosは無制限アップロードで公開されない画像でさえもGoogleは検索可能としている。非公開ながらもクラウドで検索できる。それだけ検索機能が高度化しているのだ。
しかし、似ていると言われれば似ているが、それをプロのデザイン事務所がパクることによってのリスクは一般の想像をはるかに超える。そこまでのリスクを抱えてまでパクる事務所側のメリットはほとんどないだろう。たとえパクリの要素があったとしても、そのすべてアレンジしつくしていたのではないだろうか?むしろ別のデザインにインスパイアされ、それに似ないようにクリエイティブした結果、思いがけず、他のものに似てくるという可能性はある。有名なデザイン事務所になればなるほどパクるという概念はあったとしても、それをそのまま使うとは思えない。
少なくとも、このパクリ疑惑ニュースをきっかけに、もしもパクったとすると、どれだけ社会からバッシングを受けるということは容易に理解できるようになっただけでも、デザインやエンブレムに関する知見が社会に広まったことだけは事実である。