ドイツがウクライナ供与のIRIS-T防空システムを4基に増やし、年内に2基供与する予定
11日に駐ウクライナのドイツ大使アンカ・フェルドゥーセン氏は、ウクライナの放送局「Радіо НВ(ラジオNV)」のインタビューで、年内にドイツ製防空システム「IRIS-T」をウクライナに2基引き渡す予定であり、年明けに更にもう2基を引き渡して合計4基の供与予定を明かしました。
独大使、対空ミサイル「アイリスティー」がウクライナに年内に2基引き渡されると説明:ウクルインフォルム
これまでドイツからウクライナへの供与が決定していた防空システムは「IRIS-T SLM」1基のみでしたので、新たに確定した数が4基に増えたことになります。ウクライナ側は10基の供与を望んでいるので更に増える可能性があります。
※ここでいう「基」とはレーダーと複数台の発射機および射撃指揮管制車両、通信車両、予備弾車両などを含めた対空戦闘可能な「高射隊」を構成する防空システム一式のこと。
- IRIS-T SLS 射程12km ※短距離仕様、空対空型よりやや直径を拡大
- IRIS-T SLM 射程40km ※中距離仕様、直径を大きく拡大
- IRIS-T SLX 射程80km ※長距離仕様、開発中
ドイツ製防空システム「IRIS-T SL」シリーズは短距離空対空ミサイル「IRIS-T」を元にして改良し地上発射型にしたものです。中距離仕様の「IRIS-T SLM」は今年1月に開発試験が完了したばかりの最新鋭兵器となります。今回フェルドゥーセン大使は細かい型番を言いませんでしたが、おそらく「IRIS-T SLM」のことになるでしょう。ドイツは最新鋭兵器を自軍に装備する前にウクライナに引き渡します。
西側製防空システム12基以上をウクライナ供与予定
- (独)IRIS-T SLM 4基
- (米)NASAMS 8基
- (西)ASPIDE 数は不明
どれも中距離級の地対空ミサイルです。弾道ミサイル防衛システムではありませんが最新鋭の防空システムが含まれており、ロシア軍が放ってくるイスカンデル弾道ミサイルの迎撃も限定的にですが可能でしょう。そしてカリブル巡航ミサイルやKh-101巡航ミサイルなどの迎撃に大きな力を発揮できる筈です。