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アマゾンがBMW、ランボルギーニ、FCAと提携した理由

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米CNBCによると、米アマゾン・ドット・コムはイタリアの高級車メーカー、ランボルギーニや米国の電気自動車(EV)メーカー、リビアン・オートモーティブなどと車載サービスで提携するという。

 ランボルギーニは、価格が20万ドル(約2300万円)以上する高級スポーツカー「ウラカンEVO」にアマゾンのAIアシスタントサービス「アレクサ(Alexa)」を標準装備する。

 一方のリビアン・オートモーティブも同じくアマゾンのアレクサを今年から量産を始める計画のEVに搭載するという。

狙いはAIサービスプラットフォーム

 このリビアンは、ミシガン州プリマスに本社を置く、従業員数約1000人のスタートアップ企業だ。2018年11月にロサンゼルスで開催されたモーターショーで自社開発のEVを初披露して話題になったが、いまだ量産車を発売していない。

 しかし、開発中のピックアップトラック「R1T」とSUV(多目的スポーツ車)「R1S」を今年後半にも米国市場に投入する予定で、これらにアマゾンのアレクサを搭載する計画だ。

 また、アマゾンは、二酸化炭素(CO2)排出を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すプロジェクトの一環として、リビアンに配送用バンを10万台発注している。これらのアマゾン用バンは2021年に生産を始める計画だが、こちらにもアレクサを搭載するという。

 実はアマゾンは、これまで自動車メーカー10社と同様の業務提携を結んでおり、自社のAIサービスプラットフォームの拡大に力を入れている。

BMWやFCAと動画配信プラットフォームで提携

 アマゾンは1月6日、動画配信でも自動車メーカーと提携したことを明らかにした。提携相手はドイツ自動車大手BMWと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)。

 アマゾンは動画配信端末「Fire TV」のサービスや機能を、提携企業が自社の機器に組み込むことができるプラットフォーム「Fire TV Edition」を提供している。1月6日には、その車載向け「Fire TV Edition for Auto」を発表した。

 車載インフォテインメントシステムを通じて、家庭のテレビと同じように動画を楽しめるほか、前述したアレクサも利用できるという。BMWとFCAは今後発売する乗用車で、これらアマゾンのサービスを提供する計画だ。

 アマゾンがこのプラットフォームの提供を始めたのは2017年1月。すでに東芝やJVCケンウッド、米ベストバイなどのスマートテレビに搭載されている。アマゾンによると、現在、Fire TV Editionは世界規模のプログラムとなっており、提携企業は約20社あるという。今年の年末までに約150の対応機器が登場する見込みだとしている。

  • (このコラムは「JBpress」2020年1月8日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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