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なぜ、今年はサクラが早い?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
3月23日までに24か所でサクラが開花。(サクラ開花予想,ウェザーマップ)

 今年はサクラが記録的に早い。背景に12月の低温と3月の高温があり、サクラにとって好条件となった。気温はさらに高くなり、東京では夏日予想も。半袖で花見は珍しい。

5年ぶりのハイペース

 24日、東京(靖国神社:標本木)でサクラが満開になりました。平年と比べ10日早く、観測史上3番目の早さです。

 今年(2018年)のサクラ前線は3月15日、高知県からスタートしました。途中、冷たい雨や雪が降りましたが、23日までに全国(沖縄・奄美を除く)24か所の気象台で開花発表がありました。

 同時期で比べると、2013年以来でしょうか。この年は23日までに30か所でサクラが開花しました。一方、昨年(2017年)は東京だけ。年によってサクラ前線のスピードは違います。

 もう少し詳しくみてみました。こちらのグラフは23日時点の開花地点数を2000年から調べたものです。今年は緑色で示しました。

3月23日までのサクラ開花地点数(全国,著者作成)
3月23日までのサクラ開花地点数(全国,著者作成)

 一番多いのは2002年の32か所です。この年は東京で最も早くサクラが満開となり、彼岸に夜桜見物。あまりに早いお花見に、サクラ祭りが間に合わない名所が続出しました。

 そうかと思えば、2005年のように23日時点では全く咲いておらず、28日になってようやくサクラ前線がスタートした年もあります。毎年、お花見は一大イベント、関係者がやきもきする気持ちがわかります。

どうして、早い年、遅い年があるのでしょう?

 サクラは一般に、夏の間に花芽を作り、秋から冬にかけて休眠します。サクラにとって冬の寒さは花を咲かせるための大事な時期。しっかりと寒さを経験しないと、目覚めが遅くなったり、花芽の成長にむらができたり、きれいに咲きそろいません。そして、3月が暖かければ暖かいほど、花芽が早く成長するのです。

西日本の地域平均気温平年差(12月と3月,著者作成)
西日本の地域平均気温平年差(12月と3月,著者作成)

 

 今年のようにサクラの開花が早かった年を例に考えてみました。共通するのは12月の低温と3月の高温です。今年もこの傾向が明瞭でした。

半袖でお花見も

 東京でサクラが開花して一週間がたちました。まもなく満開というところもあれば、もう少しというところもあるでしょう。冷たい雨や雪から一転して、しばらくは天気に恵まれそうです。

東京、名古屋、大阪、福岡の週間予報(気象庁予報を基に作成)
東京、名古屋、大阪、福岡の週間予報(気象庁予報を基に作成)

 さらに気温が高くなり、東京では29日(木)の予想最高気温が26度です。半袖で花見をする年も珍しい。あまりに暖かすぎるとサクラが咲き急いでしまいますから、ほどほどの気温がいいのですが。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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