伝来したレシピを受け継ぐ松浦軒本店さんの「カステーラ」懐かしさ漂う卵と蜂蜜引き立つふんわり食感
今ではスーパーやコンビニでも購入できるほど身近な存在になった「南蛮菓子」。南蛮菓子、といわれると、身近という言葉とはいまいち結びつかないかもしれませんね。しかし、小麦粉や卵、砂糖を使用した当時の贅沢品でもある南蛮菓子は令和の世も健在。
飴、ビスケット、ケーキとパンの中間のようなボウロ、そして代表格ともいえるのがカステラ。
カステラといえば長崎ですが、実は岐阜県にもカステラについて語るには欠かせないお店があるのです。創業1796年、栗きんとんでも有名な街、岐阜県恵那市にて和菓子屋さんを営み蘭学医が長崎より持ち帰ったというカステラのレシピを忠実に現代まで受け継いでいる和菓子屋「松浦軒本店」さんの「カステーラ」をご紹介。
現代の一般的なカステラは大きな枠に生地を流し込み、途中でかき混ぜながら焼成したのち切り分けていくものが主体です。しかし、松浦軒本店さんのカステーラは型紙を型に敷いて一本一本焼き上げていくスタイル。パウンドケーキや食パンのような焼成スタイルですね。そのため全体に焼き色がつき、加熱された蜂蜜のこっくりとした香りが立ち上ります。
切り分けていくとわかるのですが、両端のほうはやや目がしっかりとしていて、中心にむかうにつれてふわふわ、ほろほろとした食感に。
しっとりとした食感にするため水飴を配合しているお店も多いのですが、松浦軒本店さんは水飴がはいっておりません。そのため、お砂糖類の甘さよりも卵や小麦粉のほっこりとした旨味や優しい風味が引き立ち、肩の力をストンと抜いてくれるような、初めて召し上がる方でも何となく懐かしと思うような味わい。
両端は蜂蜜の甘さがぎゅっと凝縮され、こちらもまた美味。非常に軽やかな食べ口ですので、あっという間に半分ぺろりと食べられてしまいそうです。
ぜひ、中心と端とふたつの魅力を実感なさってみてくださいね。
かつてはもっと松浦軒本店さんのようなカステーラをお作りになっているお店があったそうなのですが、時代の流れと共に減少。今はこちらの松浦軒本店さんを含め数店舗のみとなっているのだとか。
ぜひ、お土産と共にその歴史も持ち帰って、お茶の時間の話題になさってみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<松浦軒本店>
公式サイト(外部リンク)
岐阜県恵那市岩村町本町3-426
0573-43-2541
8時30分~18時30分