2017年のiPadを当たり屋アナリストが予想
マックルーマーズやアップルインサイダーなどの米メディア報道によると、米アップルが今年(2017年)発売すると見られているタブレット端末「iPad」には、その製品ラインアップに、ディスプレーサイズが10〜10.5インチの新デザインが加わる見通しという。
「ベゼル幅が狭いiPadを投入」
これは台湾KGI証券のアナリスト、ミン・チー・クオ氏が1月8日に投資家向けに出した調査ノートで報告したもの。クオ氏は、アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しく、独自の調査で新製品や発売時期を当ててきたことで知られる人物だ。
それによると、アップルは現行のiPad Pro小型版やiPad Air 2のような9.7インチモデルと、12.9インチiPad Proの中間に当たるサイズの新製品を市場投入する可能性があるという。
そして、そのモデルはiPadの中でも高価格帯という位置付けで、ベゼル(ディスプレーを覆う縁)が狭いデザインになるという。
これにより、今年発売されるiPadは次ぎの3つラインアップになると、同氏は予測している。
(1)12.9インチiPad Proの第2世代モデル(通称:12.9インチiPad Pro 2)
(2)ベゼルの狭い10〜10.5インチモデル
(3)9.7インチの新モデル
このうち(1)と(2)は高価格モデルで、搭載されるプロセッサーは、現行のiPad Proシリーズの「A9X」を一段階進歩させた「A10X」になるという。
そして(3)は廉価モデルという位置付けで、プロセッサーは現行のiPad Proと同じA9シリーズにとどまる見通しだとクオ氏は報告している。
つまり同氏の観測が正しければ、現在、画面サイズが最も小さい7.9インチ最廉価版「iPad mini」は新製品が投入されなくなり、それに代わりiPad Air 2のような9.7インチモデルが最廉価版になる、ということのようだ。
iPadの落ち込み、10%程度にとどまるとの予測
クオ氏はこれに伴い、「9.7インチiPadは、同製品シリーズで販売比率が50〜60%を占め、最も売れるiPadになる」とも予測している。さらに同氏は、「昨年、前年比で約20%落ち込んだiPadシリーズ全体の販売台数は、今年10%程度の落ち込みにとどまる」とも予測している。
2010年の初代機発売以来しばらく順調に販売台数を伸ばしていたiPadは、2013年10〜12月期をピークに減少に転じ、その後、昨年7〜9月期までの11四半期(約3年間)、連続して前年割れが続いた。
これについてクオ氏は今回の報告で「最悪の時期は過ぎ去った」と指摘し、その要因は3つあると述べている。
1つは製品ラインアップの見直しによる、プロ向け上位モデルの拡充。2つ目は最廉価モデルの性能引き上げ。これらによりiPadの平均販売価格が上昇し、売り上げ増が見込めるという。
3つ目は同じく製品ラインアップの見直しによるコスト構造の改善で、これによりiPadの利益率が上昇するという。
タブレット市場、ようやく回復か
こうしたタブレット端末の市場動向に関する観測は、ほかの調査会社のリポートの内容ともおおむね一致する。
例えば、米国の市場調査会社、ストラテジー・アナリティクスは先頃、今年のタブレット端末の世界出荷台数は2億350万台となり、昨年の2億580万台からの減少率が約1%にとどまる見通しと報告している。
同社によると、タブレット端末の世界出荷台数はこれで3年連続前年割れとなるものの、市場はようやく回復の兆しが見えてきたという。タブレット市場は今後年平均2%の成長率で伸び、出荷台数は2020年に2億2350万台に達すると同社は予測している。
(JBpress:2017年1月11日号に掲載/原題「2017年モデルのiPad、低迷からの脱却果たせるか アップルが10〜10.5インチモデルを市場投入するとの観測」)